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専門家「風景」をつくるガーデニング術

ネットでオープンガーデン2024「京北・香りの里/六ヶ畔・花簾庭(京北バラ園)」その1(全景編)

居場英則

今年は、全国的に梅雨入りが遅く、関西では6月下旬になってようやく梅雨入りしました。

さて、今年もあっという間に、5月、6月のバラシーズンも終わってしまいました。

僕がバラ園のデザインをさせていただいた、京都の京北にある「京北・香りの里/六ヶ畔・花簾庭」、

正式名称は長いので、以後「京北バラ園」と略して表記しますが、今年もバラ園のオーナーの厚意で、

期間限定の6日間(5月末~6月中旬の三週末の土日のみ)オープンガーデンを開催いたしました。

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僕も、オープンガーデンの中日(6/2)に現地にうかがい、今年の開花の様子を見てきました。

京都市内より車で1時間ほど北にある、里山風景が色濃く残る京北は、京都市内より気温が低いせいか、

毎年バラの開花のピークは6月上旬と、市内より半月ほど遅いのですが、気球温暖化の影響か、

今年は例年より開花が早く、うかがった時には、早咲きのイングリッシュローズがだいぶ散っていました。

それでも、この見事な開花の様子を見ることができました。

今年も、「ネットでオープンガーデン」と称し、2024年の京北バラ園のオープンガーデンの様子を

今回の「全景編」、次回の「品種紹介編」の2回に分けて紹介したいと思います。

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この日は、小雨が降ったり止んだりの生憎の天候で、しかも、京北地域には大雨注意報が出ていたと

来園者の方がおっしゃっていましたが、大雨になることはなく、むしろ見学の方がいつもより少なく、

ゆっくりと園内を見て回ることができました。

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京北バラ園といえば、この風景、つるバラの群星・群舞による「バラの滝」ゾーン。

近くを流れる上桂川の堰(六ヶ堰)を流れ落ちる水の流れを、バラの花で表現しています。

この日も、このバラの滝エリアが来園者の方々には人気で、フォトスポットとなっていました。

ここからは、園内の各所を巡りながら、ご案内していきます。

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この日は一日中、曇り空だったのですが、一瞬だけ、青空が顔をのぞかせました。

青い空を背景に、群星・群舞の白とピンクの花がつくる絶景がとても美しかったです。

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当初、バラ園オーナーから、ここにバラ園をつくらないかとお話をいただいた際、

4枚棚田の一番下の一枚の田んぼ(約300坪)に、どんなバラ園をつくるか迷ったのですが、

バラ園建設予定地の周辺をいろいろと歩き回る中で、すぐ横を流れる上桂川にある堰(水を貯める施設)から、

水が滝のように流れ落ちる様を見てこれだ!と閃いたのです。

棚田の段差を活かして、一つ上の段から、バラの花を枝垂れさせて、それが堰を流れ落ちる水のように見えるような

デザインとしました。

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数年前から、当バラ園のヘッドガーデナーをしていただいているロコ子さんや、そのサポートメンバーの方々が

試行錯誤されながら、仕立て方を考えて下さり、毎年この美しい風景が出来上がっています。

今年は、クセをつけすぎたのか、少し垂直気味に落ちているようにも見えます。

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反対側から見たところ。

このアングルだと、堰を越えて溢れるように水が流れ落ちる感じが出ているように見えますね。

白いつるバラ群星と、淡いピンクの群舞をランダムにミックスして、より自然に見えるよう、

水しぶきに光が当たって光り輝くように見せています。

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少し引きで見るとこんな感じになります。

奥にある茅葺屋根の古民家(最近、バラ園のオーナーの持ち物になりました。)と相まって、

里山風景に映える「和の趣きのバラ園」というデザインコンセプトを、当初から踏襲しています。

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群星・群生の「バラの滝」ゾーンの手前には、香りの強いオールドローズを植栽しているエリアが広がります。

たおやかに枝垂れるオールドローズ特有の樹形を活かし、「バラの滝」ゾーンから流れ出した水が

川の瀬(岩)に当たって、その水を乗り越えるように見える仕立て方をしています。

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バラ園中央にあるシンボルツリーのエゴノキの足元に、岩を設置し、

その岩の後方にツル樹形のオールドローズを植栽し、岩の手前へと引っ張る誘引をしています。

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その部分を横から見たのがこちらのアングル。

バラの滝から流れ出た水が、右から左へ流れているように見えるよう、

オールドローズの花を咲かせるようにしています。

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田んぼ一枚分、約300坪の園内は、さほど広くなく、どこからでも園内を一望できる規模となっています。

その園内を緩やかに湾曲しながら園路を設けています。

園路を歩くに連れて移り変わる風景(シークエンス)を楽しんでもらえるように設計しています。

こちらは、オールドローズゾーンから、国道側(駐車場側)を望むアングル。

昨年は、春先に近隣からの除草剤の影響で、開花直前のバラが結構、枯れてしまい、残念なことになりましたが、

今年は少し回復しました。

枯れた場所に別のバラを補植したり、徐々に元の風景を取り戻すべく、活動しています。

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園路の両側に植えた宿根草のブルーサルビア(品種は、ブルーヒル)。

こちらも、以前に夏場の渇水でほぼ全滅してしまいましたが、ようやく同じ品種を入手することができ、

この春に植え付けしました。

まだまだ最盛期のようなブルーの縁取り状態には戻っていませんが、ずいぶんと良くなってきました。

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バラの品種選定を担当してくれたプランティングデザイナーと、ヘッドガーデナーのロコ子さんとで

今年開花状況、木立性のバラの剪定高さなど、検証しているところです。

ここでの反省を踏まえ、また来年に活かしていきます。

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今年は、例年より開花が早かったようで、オープンガーデン2週目の6月2日では、

早咲きのイングリッシュローズが一足先に散ってしまったらしく、

写真手前のイングリッシュローズゾーンが、少し寂しい感じです。

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それでも、元気よく咲いているイングリッシュローズのたくさんありました。

和の趣きのバラ園ではありますが、一番入口に近いこのイングリッシュローズエリアは、

色鮮やかな品種が並び、とても見栄えがします。

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イングリッシュローズゾーンから、コーナー(角)の正面入り口方向を見たアングルです。

写真は、オープンガーデン開催前で、バラ園の正門はまだ開いていない状態です。

オープンガーデン開始後は、こちらのゲートを開けて、来場者の方をお招きしています。

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イングリッシュローズゾーンの隣には、管理用道路も兼ねた、八連アーチゾーンがあります。

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八連アーチを斜め横から見たアングルです。

このアーチに誘引しているつるバラにも、昨年春の除草剤の影響があり、大きく育っていたつるバラが

だいぶ小さくなってしまいました。

それでも、徐々に回復してきています。

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八連アーチを手前(エントランス側)から見たアングル。

この巨大なアーチに、京北在住のアイアン作家の方に制作していただいたもので、和の風景に調和するように、

非対称な妻屋根型をしたアーチを、オリジナルデザインで製作してもらいました。

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一番手前右側の薄紫色のつるバラは、マニントン・マウブ・ランブラー。

その次の黄色いつるバラは、イングリッシュローズのモーヴァンヒル。

別のところ(壁面)から移植したばかりで、まだアーチのてっぺんまでは届かない状態です。

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八連アーチを奥の方から、正面入口方向を見たアングル。

ここには、パレードやキングローズ、スパニッシュビューティなどの著名な品種のつるバラを植えています。

京北では気温が低いからか、早咲きのスパニッシュビューティーと遅咲きのキングローズが一緒に咲いています。

同じ品種を我が家でも育てていますが、早咲きのスパニッシュビューティが終わりかけた頃、

ようやく遅咲きのキングローズが咲くのですが、京北ではそれが一緒に咲くという、とても不思議な現象です。

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こちらは、正面入口から見たバラ園全景。

手前のイングロッシュローズゾーンが、まだまだ本領発揮とは言わないまでも、だいぶ回復してきました。

ブルーのサルビアも、夏を越せれば、また来年さらに大株になって、バラの足元を青く縁取ってくれると思います。

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こちらは、家形の東屋兼パーゴラ。

日陰を作り、来園者の休憩場所になっているとともに、大型のつるバラを、この家形のパーゴラに誘引しています。

手前の株立ち樹形の木(アオダモ)の葉が茂りすぎていて、パーゴラの壁面に誘引したつるバラが見えにくいと

指摘があったため(一枚上の写真)、その場でアオダモの枝を透かし剪定しました。

これでだいぶ見やすくなったと思います。

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こちらは、家形パーゴラ(東屋)の右側の柱から、屋根の上まで持ち上げて誘引しているつるバラで、

メイクィーン。

いつもはかなり暴れていたのですが、今年はとてもキレイな樹形でパーゴラの風景を作ってくれています。

家形パーゴラの奥の低いフェンスには、ヘッドガーデナーの仕立てによる安曇野のドーム型誘引が見られます。

(その2「品種紹介編」でご紹介します。)

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家形パーゴラの裏手にも、大型のつるバラを誘引していて、白い花のランブリングレクター、

ピンクの花はイングリッシュローズのつるバラで、モーティマーサックラー。

いずれ、つるバラでこの東屋全体がうずもれるようになってくれるといいなと思っています。

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オープンガーデン中は、来園者の休憩場所ともなる家形パーゴラ(東屋)。

東屋の中から見るバラ園の風景は、柱と梁で切り取られ、一枚の絵のように見えます。

おススメのポイントです。

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いかがでしたでしょうか?、今年2024年の京北バラ園。

是非また来年も、この風景を見に、お越しいただければ幸いです。

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【 京北・香りの里 六ヶ畔・花簾庭(京北バラ園)について 】

■住所:京都市右京区京北比賀江町口烏谷(くちからすたに)

2024年(令和6年)・オープンガーデン情報(※今年は、終了しています。)

   開催期間:令和6年5月25日(土)、5月26日(日)、

            6月1日(土)、6月2日(日)、6月8日(土)、6月9日(日)の限定6日間

   開園時間:9:00~16:00 

   駐車場:あり 

※ 「維持管理協力金」についてご協力のお願い

  当園は個人の私庭であり、有志ボランティアにより維持管理されています。

  昨年度より、入園されるお客様から、お一人様500円の「維持管理協力金」をお願いしております。

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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

個人ブログChange My Garden

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