2023.8.30 / 訪ねてみたい名庭園
僕は、現在、長野県の白馬村のスキーリゾート施設の外構、ガーデンづくりに関わっておりまして、
その関係で、白馬村近郊にある有名なガーデンをいろいろ訪れています。
今回は、前回に続き、白馬村の隣町、長野県大町市にある「ラ・カスタ ナチュラル ヒーリング ガーデン」を
ご紹介します。
化粧品会社が運営されているガーデンですので、美しいことはもちろん、「植物の生命力と癒し」をテーマに
五感(眺める、触れる、香る、聴く、味わう)で感じる、「美と癒しのガーデン」となっています。
前回は、エントランスから導入部分、そして、見どころのひとつである「コニファーガーデン」まで、
約半分ほどのエリアをご紹介してきました。
今回は、それ以降のエリアを写真をもとにご紹介していきます。
こちらは、ガーデンの一番奥にある「ファクトリー」と呼ばれる建物です。
化粧品の製造に使われる北アルプスの天然水を地下100mからくみ上げているそうです。
この建物の内部も見学可能で、希望者は、オリジナルのフレグランスなどを調合することもできるそうです。
この「ファクトリー」と呼ばれる建物の前には、美しい芝生の円形広場があります。
その円形広場の外側をぐるりと園路が取り巻いています。
この日は青空が美しい天候で、整備された美しい緑の芝生との対比がとても印象的です。
円形広場の前庭、北アルプスを水源とする水がたたえられた「ウォーターガーデン」が広がっています。
ウォーターガーデンの前に、配置されていたシルバーグリーンのリーフカラーが鮮烈な背の低いコニファー。
ウォーターガーデンの水の底の色とリンクして、とても目を惹きます。
「ウォーター・ガーデン」の正面には、滝が流れ込んでいます。
池の周りに植栽された植物は、多種多様で、赤い葉のノムラモミジやシルバーグリーンのホプシーなど、
一見すると合わなさそうなものがうまく同居していて、大変参考になりました。
「ウォーターガーデン」の脇には、東屋も設置されています。
澄んだ水をたたえる池には、小石を敷き詰めた「州浜」のようなものも
つくられていました。
植物も、うまく池(水)の方に枝垂れるように張り出しています。
こちらは、「ウォーターガーデン」から「ファクトリー」方向を眺める東屋。
シンプルなデザインですが、その足元には、フウチソウやギボウシ、
ツワブキなど、日陰のゾーンに似合う涼し気な植物をうまく配置してありました。
こちらは、「ウォーターガーデン」の手前に広がる「メドゥガーデン」エリア。
背丈の低いグラス類が植栽される中に、赤い葉を持つ高木なども配置され、印象派の絵画のようなシーンが
作られています。
こちらは、前述の「コニファーガーデン」と「メドゥガーデン」の境界あたりのシーンです。
コニファーの手前に、薄紫色のアリウムが群生しています。
こちらも「メドゥガーデン」。
イネ科の植物の花穂が風になびいて、牧歌的な風景が演出されています。
こちらは、「ウォーターガーデン」の西側エリアの「シーズンガーデン」。
その名の通り、季節感を演出する植栽ゾーンです。
訪問したのは6月でしたが、鮮やかなピンクや紫色の宿根草がランダムにミックスされて、
とても美しいシーンがつくられていました。
そのアップです。
本当に、印象派の画家の作品を見ているかのような風景が目の前に広がります。
同じ「シーズンガーデン」のエッジ部分です。
岩を並べた縁石と、その手前に芝生がはられています。
如何にナチュラルに演出するか、ディテールまで作りこまれています。
「シーズンガーデン」の奥に、カフェスタンドのようなものがありました。
この風景も、本当に絵画のようです。
同じようなアングルですが、横位置の画角でもう一枚。
カフェスタンドの屋根にも植栽がかぶさり、風景と一体化しているように見えます。
「シーズンガーデン」の横(次)に見えてくるのは、「ロックガーデン」。
ここでは一般的なロックガーデンではなく、オレンジ色の植物が効果的に
植栽されているのが気になりました。
小さいコニファー系の針葉樹が植えられている反面、乾燥地帯に自生する
アガベのようなワイルドな植物も同居していて、何とも不思議な空間でした。
こちらは、ロックガーデンの合間にところどころに植えられていた濃いオレンジ色の花が咲く植物。
ビタミンカラーがアクセントになっていて、とても個性的なロックガーデンでした。
ロックガーデンから、奥の「ファクトリー」を見返した様子。
建物もとてもしっかり作られていて、ガーデンと建物、
すべてのクオリティが高く、とても美しい風景がそこかしこに見られます。
ロックガーデンの中庭、小さな水の流れが作られています。
やはりこのガーデンでは、「水」がテーマとなっていて重要なアイテムなのです。
ロックガーデンの奥には、赤い枝垂れモミジが植栽されていました。
枝垂れモミジは和のイメージがありますが、ここでも、「オレンジ色」が
つながって、違和感は感じませんでした。
「ロックガーデン」を抜けると、「ウッドランド」と呼ばれる森のゾーンに
なります。
写真の右手が、駐車場ゾーンです。
高木が林立し、木陰が優しいゾーンとなっています。
こちらは、「アロマガーデン」と呼ばれるエリアです。
ガーデンのオーナーが化粧品会社さんということもあり、香り植物がまとめて植栽されていました。
このエリアでは、自由に植物に触れることができるので、数十種類もあるハーブの葉を直接触ることができ、
その香りの違いや、自分の好みの香りを見つけることができるようになっています。
これで概ねガーデンを一周してきました。
そんなに大きなガーデンではありませんが、様々なコンセプトのエリアが作られ、
それぞれのクオリティが非常に高いのが、素晴らしかったです。
また、常に整備、清掃され、いつでも美しいというのがこのガーデンの特長です。
「植物の生命力に癒され、美しさを堪能できる」ガーデンです。
是非、長野県の安曇野、白馬方面にお出かけされる方は、立ち寄っていただければと思います。
次回は、このガーデンの手前に、新たなガーデンを作り始めておられます。
その新しいガーデンを作っている様子をご紹介できればと思っています。
乞うご期待!
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