ディノスさんのサイトで、連載記事を書かせていただくようになってもう3年になる、僕のこのブログ。
2018年、今年一年は、「僕のおススメの〇〇〇」という共通テーマを設定して、バラ園やバラの品種、
ディノスさんで取り扱いのあるガーデングッズなどを紹介させてもらいました。
今回、12月の最後の記事は、前回(11月のブログ記事)の続きで、ロザリアン必須の冬のバラ作業の中から
「僕のおススメのつるバラ誘引方法」と題して、書かせていただこうと思います。
前回(11月)の「僕のおススメのバラの植え替え方法」でも書きましたが、有名なバラの先生方が、
その著書や講演会などで、つるバラの誘引方法について解説されていますので、
あくまでも僕のつるバラ誘引方法ということで、参考程度に見ていただけたらと思います。
我が家では、何本かの大型のつるバラを育てていますが、その中から代表的なつるバラ品種を選んで、
その誘引方法について、たくさんの写真を見ていただきながら、そのポイントをご説明したいと思います。
こちらのディノスさんのブログ記事でも、何度か僕のつるバラ誘引の様子をレポートさせてもらっていますが、
今回はその集大成として、より詳しく、僕のつるバラの誘引方法をご紹介したいと思います。
こちらが、我が家の前庭の様子です。
ここ数年、木立性バラだけでなく、つるバラも増やしすぎてこの有り様です。
庭のほとんどが乱張り石張りとなっているので、地植えのスペースが限られており、
このようにバラの鉢植えが増殖しています。
鉢植えのつるバラは、鉢植えのままオベリスクに誘引したり、何とか地植えのスペースを探して、
庭のあちこちに分散させる予定です。
この冬は、大掛かりなガーデンリフォームを実施中で、多くの宿根草や低木を抜いて、
木立性バラを地植えする予定にしています。
鉢植えのバラの植え替え作業がひと段落したので、次は、つるバラの誘引作業に取り掛かるところです。
まずは、前庭。
建物の外壁面を使って、大型のつるバラを何本も誘引しています。
本来は、葉が落葉してからの誘引作業の方が良いと思いますが、ディノスさんのこのブログで
つるバラ誘引の記事を書かないといけないので、少し早めに(作業日は11月末)誘引作業を始めました。
中庭につながるガラス扉のあるエントランスアプローチの両側の壁面に、地植えのつるバラを誘引しています。
手前(右側)の壁面に、キング・ローズ、レッド・キャスケードを誘引しています。
左側の壁面には、手前から、地植えのジャスミーナ、チェビー・チェイス、鉢植えで、フロレンティーナ、
キング・ローズ、ブレイズを誘引しています。
我が家の庭の三大つるバラのひとつが、こちらのジャスミーナ。
一季咲きのつるバラが多い我が家の庭では珍しい、返り咲き性の強い品種のつるバラです。
ドイツのコルデス社のバラで、非常に剛健で、毎年新しいベイサルシュートを何本も上げてくれます。
しかし、枝が剛直で、棘も鋭く、誘引にはとても手を焼くタイプのつるバラです。
まず、現状の誘引を解くことから始めます。
写真は、昨年の誘引ひもを切っているところです。
誘引ひもを切るのには、金切りハサミが便利で愛用しています。
バラの品種によっては、誘引を解かずに、新しく伸びた枝を整理して誘引する方法もあると思いますが、
僕は、全てのつるバラで、一旦誘引を解いて、古い枝、充実していない枝などを見極め、選別しています。
大きなつるバラの誘引を解いて、壁面から外すので、手前につるバラを広げられるスペースが必要になります。
我が家の前庭は、駐車場ですので、つるバラ誘引作業の際には、車を別の場所に動かして、
大きな空間を確保するようにしています。
誘引ひもを切ったあと、つるバラを壁面から剥がそうとすると、よくこんなことになっていませんか?
ワイヤーの裏側に、新しく伸びた枝が回り込んでいます。
不要な枝なら、枝の方を切ってしまいますが、戦力になる重要な枝の場合、何とかワイヤーの手前に引き出そうと
試みます。
ただ、うまくいかない場合は、ワイヤーを方を切るか、ワイヤーをいったん外して、架け直すようにしています。
とても面倒な作業ですが、重要な枝を守るために、必ず実施しています。
誘引ひもを掛けるワイヤーは、錆に強いステンレス・ワイヤーを使用しています。
我が家の外壁は、大理石タイルを使っているのですが、その目地部分に、木ネジを打ち込んで、
それにステンレス・ワイヤーを巻き付けています。
ここまでが、つるバラ誘引の前作業になります。
ワイヤーに絡んだ枝を救出し、ようやくジャスミーナが壁面から離れました。
まだ青々とした葉が茂っているので、このあと、葉をもぎ取って、強制的に休眠させます。
葉が残ったままだと、誘引作業自体もしにくいからです。
同時並行で、前庭・建物外壁面のもう一方側、キング・ローズとレッド・キャスケードの誘引も外しました。
こちらは、枝が細く、棘も少ないので、作業はかなり楽です。
ここから、この壁面に来春に向けてのデザインを考えていきます。
どこに、どのバラをどんな風に咲かせるのか、頭の中で妄想するのがとても幸せな時間です。
我が家の前庭のこの建物外壁面では、花色はピンクか赤、遅咲き系のつるバラを配置するようにしています。
白い大理石タイルを背景にした大きな壁面に、咲く花の色を限定し、花期も合わせることで、
一斉に美しいバラが咲き誇る、ダイナミックな風景を描くことを目標にしています。
今年の誘引では、例年と少し変化をつけることにしました。
メインのジャスミーナの隣、エントランスの一番よく見える場所に、パレードというピンクのつるバラを
鉢植えのまま配置することにしてみました。
今年の春は、パレードは中庭に配置していましたが、日陰がちな中庭ではあまり咲かず、
日当たりの良いこの前庭に移すことにしたのです。
来春は、とりあえず試しに鉢植えのまま咲かせることにして、うまくいけばここに定植させることも考えています。
このように、毎年いろいろ試行錯誤を繰り返しながら、バラの配置を考えています。
鉢植えのパレードの壁面誘引が終わったあと、今度は右側の壁面に、ローズピンクの鮮やかな花のキング・ローズと
ミニバラのような小花のレッド・キャスケードを誘引することにしました。
まずは、壁面上部を覆うキング・ローズを誘引します。
古枝や不要枝を剪定したのち、一番元気なシュート(枝)を、円弧状にエントランスの上部に届くように
誘引します。
キング・ローズの一番長い枝は、エントランスゲートの上をまたいで、反対サイドの壁面に到達するようにします。
反対側には、淡いピンクのジャスミーナをこのあと誘引することになるのですが、
玄関アプローチの上部で、2つのバラが交差し、うまく花色が交じり合うことをイメージして誘引しています。
続いて、今度は玄関アプローチの向かって左側、この壁面のメインローズのジャスミーナの誘引に取り掛かります。
まだ残っていた緑の葉っぱをもぎ取って、枝だけにします。
ジャスミーナは、シュート(枝)の更新が早く、毎年新しいシュートを出してくれます。
今年も新しく太い、勢いのあるシュートが数本出ていましたので、古い枝は切ることになります。
壁面の大きさも限られていることから、壁面の大きさに合わせて、使う枝数を見極め、
優先順位を決めて不要な枝を切っていきます。
初心者の頃は、せっかく伸びた枝を切ることに、ためらいがありましたが、
今では何の迷いもなくどんどん不要枝を切ることができるようになりました。
このジャスミーナでも、写真のように太く長い枝を何本も切りました。
右側の壁面のキング・ローズとレッド・キャスケードの誘引を8割がた済ませて、
左側のジャスミーナの誘引に取り掛かっています。
両方の枝を間配りながら、どこにどの花を咲かせるのかをイメージを膨らませながら誘引しています。
我が家の場合、脚立に乗って作業ができる高さ、1階の天井高程度(約3m)の白い大理石タイルを張っている部分
のみに、つるバラを誘引するようにコントロールしています。
赤やピンクのビビットな花を、白い大理石タイル張りの壁面を背景に咲かせることで、
コントラストを効かせ、バラの花を浮き上がらせるように配慮しています。
おおむね、エントランス・アプローチ周りのつるバラの誘引が終わったところです。
エントランスのガラスの扉を取り囲むように、
壁面でアーチを描くように、つるバラを誘引しています。
バラの品種によって、ステム(花茎)の長さが異なるため、
ステムの長いつるバラが、ステムの短いつるバラに覆いかぶさらないよう、
なるべく枝同士がが交差しないように、同心円状(波紋状)に誘引するのが
僕流のつるバラ誘引方法です。
こちらは、ジャスミーナの株元。
古いシュートをだいぶ切ったので、ほとんど新しい枝に変わりました。
日光の良く当たる、壁と反対側に多くのベイサルシュートが出ています。
枝をしならせ、壁に沿うように誘引しました。
なかなか美しく収まったかなと、満足してます(笑)。
建物外壁(ここを「パレット」と呼んいますが。)には、
エントランス側にアーチ状に誘引しているつるバラの一群と、
画面手前、縦長の小窓の左側に鉢植えのつるバラを中心に誘引している
エリアがあります。
今回は、ここに赤バラばかりを集めたコーナーを作ることにしました。
鉢植えならではの特性で、毎年、組み合わせるつるバラを変えて、
ベストな組み合わせを見つけ出すべく、試行錯誤しています。
この赤バラゾーンですが、手前(画面右)の鉢から、
フロレンティーナ、チェビー・チェイス、キング・ローズ、ブレーズと
いう感じで並んでいます。
赤バラばかりの組み合わせですが、比較的遅く咲く品種をセレクトし、
同じタイミングで咲くようにしています。
どんな赤い絨毯ができるのか、来年の春が楽しみです。
ちなみに、この白い大理石タイル張りの建物外壁に誘引するつるバラには、
ディノスさんが取り扱っておられる、イギリス・ナッツシーン社の
カラー麻ひも(色は、「レッド」)を使っています。
白い背景に、緑の枝、そして赤い麻ひもが美しいコントラストを作っています。
花が咲く頃には、葉で隠れてしまうのですが、これから春までの半年間、
ツルだけの状態が長く続きますが、その間も、この赤い麻ひもでくくられた
つるバラの風景を見ているだけで、満足感に浸れますよ。
ちょっとした贅沢が、心のゆとりにつながること請け合いです。
さて、前庭のメインの壁面のつるバラ誘引が片付いたところで、
続いては、我が家のモンスターのつるバラの誘引風景をご紹介します。
こちらは、中庭の正面奥、和室(シャッターの閉まっている部屋)の
雨戸隠しのルーバーと、その左側の階段室の壁面、玄関の庇へと誘引している
一季咲きのラージクライマー(大型のつるバラ)、スパニッシュ・ビューティー。
ここ数年、階段室(テラコッタ色の壁面)の窓に被るように誘引しています。
一季咲きのラージクライマーということもあり、このスパニッシュ・ビューティは、
花後にツルを伸ばすことに全精力を使います。
そのため、あちこちでサイドシュートが伸びまくり、手に負えない状態になってしまいました。
大きな反省点です。
花をたくさん咲かせるために、ツルを伸ばせるだけ伸ばせば良い、というのは間違いでした。
その限られたスペースの中で、如何に美しく風景をデザインできるか、如何につるバラコントロールするか、
それが重要だと思い知らされた一年でした。
来春に向けて、今回の誘引では、できるだけコンパクトに誘引しようと頭に思い描きながら、
誘引を解いていきました。
何とか、全ての枝の誘引を解きました。
剛直な枝のため、ある程度自立するタイプのバラですが、何本もの巨大な枝が四方八方に伸び、
その姿はまさにキングギドラ!
これから、そのキングギドラと格闘します(笑)。
誘引を解いたスパニッシュ・ビューティの枝は、まだ青い葉が茂っていましたが、これも強制的に落とします。
こんがらがったあやとりの糸をほぐすように、絡まった整理していきます。
キングギドラの棘は鋭く、何度も取り込まれてしまいそうになります(笑)。
格闘の末、何とかすべての葉を落とし、枝も整理しました。
これだけの枝をすべて使い切ろうとすると、よほどの大きさの空間が必要になります。
今回は、正面奥、和室の窓の雨戸隠しのルーバー部分にだけに誘引しようと思います。
かなり小さなスペースに誘引することになるので、思い切った枝の選別、剪定が必要になります。
咲かせたい場所に、ちょうど良い長さのシュートが来るように、枝の優先順位を決め、
不要な枝から、どんどん切っていきます。
。
剪定した長い枝が、周囲に散らばっていると、誘引の際に引っかかったり
作業効率が悪くなります。
ですので、その都度、切った枝を細かく裁断し、ごみ箱へまとめています。
こうしておくと、剪定枝を廃棄する場合も楽になります。
スパニッシュ・ビューティの株元付近です。
ウッドデッキの一部に穴を開けて、そこに地植えしています。
大小4本の枝が出ています。
これを上のルーバーに持ちあげるために、これまでは白い雨どいに
直接、誘引ひもで括り付けていました。
今回、ディノスさんで取り扱いのある「配管トレリス」という園芸資材を
使わせていただきました。
半円形の断面で、雨どいなどに括り付けて使います。
長さも約2mほどあり、ちょうど良い高さまでカバーできました。
このような形で、麻ひもを使って、配管トレリスを雨どいに固定します。
メッシュ状の配管トレリスに、つるバラ、スパニッシュ・ビューティの枝を
括り付けました。
雨どいに直接括り付けるより、各段に作業効率も良いですし、
見た目にもすっきりして美しく収まりました。
ここでも、ナッツシーン社のカラー麻ひもを使っています。
テラコッタ色の外壁とのコントラストを考えて、
ここでは「ライムグリーン」色を使いました。
和室の雨戸シャッター隠しの木製ルーバーに、スパニッシュ・ビューティの枝を
誘引しているところです。
誘引完成の様子。
昨年に比べると、各段にコンパクトになりました。
枝が少ない分、花数は減ると思いますが、花後の枝の暴れも減ると思います。
トータルで考えると、こちらの方が良かったと思えるといいのですが・・・。
前庭のジャスミーナ、中庭奥のスパニッシュ・ビューティに続いて、
我が家にある三大ラージクライマー(つるバラ)のひとつ、
ピエール・ド・ロンサールの誘引を紹介します。
中庭のサンルームのガラスの壁面に誘引しているのが、
名花・ピエール・ド・ロンサール。
ここでも、アーチを使わずに、サンルームの壁面と母屋側につなぐ棒で
アーチ状になるように誘引しています。
ピエール・ド・ロンサールは、ジャスミーナやスパニッシュ・ビューティほど
枝を更新しないタイプのつるバラで、古い枝も温存しながら、誘引しています。
少し日陰の場所ですが、上の方では、今年も結構、枝を伸ばしています。
(サンルームの中が汚いのは、作業中なので、どうかご容赦願います(汗)。)
ピエールも誘引を解き、枝を下におろしました。
先の方では、結構枝分かれをしています。
頂芽優勢の法則で、やはり高い位置の枝が多くなってしまいます。
我が家のサンルームは、その壁面がガラスになっているため、
薬剤散布の積み重ねで、ガラス面が白く汚れてしまっています。
つるバラを外すタイミングで、まずは、ガラスを磨き、奇麗にしてから
つるバラを誘引することにしています。
誘引作業は楽しいのですが、そこに至るまでの作業が煩わしいのです。
そして、いきなり誘引完成!
サンルームの中は汚いままですが(笑)、ガラスはピカピカになりました!
今年の誘引のポイントは、ワイヤーを使わずに枝同士を交差させ、
固定することで誘引を完成させていることです。
例年、ガラス面の枠(木の部分)にネジを打ち、ステンレスワイヤーを張って、
そこに麻ひもを使ってつるバラを誘引しているのですが、
ガラス面の手前にワイヤーが浮き出てしまうのが嫌で、
今年はワイヤーをなくしました。
枝を留められるポイントは減り、枝の取り回しは多少難しくなりましたが、
ほぼ例年通りの誘引ができました。
ワイヤーがなくなったことで、ガラス面がスッキリし、美しくなりました。
あとは、サンルームの中を片付けるだけです(笑)。
枝同士を誘引ひもで括っている部分の詳細です。
枝同士だけだとガラス面から浮き上がってしまうので、ところどころ、
木に打ち込んだ木ネジに、誘引ひもを絡めて、固定しています。
今回は、サンルームの内部のブルーグリーンの板塀に合わせて、
ナッツシーン社のカラー麻ひもの「アクアマリン」色を使いました。
ワンポイントのアクセントになって、とても気に入っています。
こちらが、今回使わせてもらった、イギリス・ナッツシーン社のカラー麻ひも。
定番で使っている「レッド」に加え、今年は鮮やかな色合いの麻ひもを使わせていただきました。
手前左から「ライムグリーン」、その右が「アクアマリン」、その左後ろが「オリーブ」、一番奥が「レッド」。
前述したように、白い大理石タイル張りの壁面では、「レッド」、テラコッタ色の壁面では「ライムグリーン」、
サンルームのブルーグリーンの板塀を背景にした時は「アクアマリン」。
ここでは紹介しきれませんでしたが、オベリスク仕立てのつるバラには「オリーブ」と、いろんな場所で、
それぞれの背景や特性に合わせて、誘引ひもの色を変えながら使っています。
ナッツシーン社のカラー麻ひもは発色が良く、地味なつるバラ誘引風景の中で、
ワンポイントのアクセントを作れるので、とても重宝しています。
バラの開花時期は、一年のうちほんの一か月程度。
枝だけの時期の方が遥かに長いので、その枝だけの期間を、美しく彩るためにも、
このナッツシーン社のカラー麻ひもは、僕にとって欠かせないガーデングッズとなっています。
皆さんもおススメします。
是非使ってみてください。
さて、この一年間、「僕のおススメの〇〇〇」というシリーズで書かせていただきましたが、
いかがだったでしょうか?
多少なりとも、皆様のガーデンライフのお役に立てていれば嬉しいです。
来年2019年も、このディノスさんのガーデニングサイトで、定期的に記事を書かせていただけることになりました。
現在進行中の、「イギリスで訪ねた庭レポート」もまだ半分ほどしか書けておりませんので、
引き続き来年も、2018年チェルシーフラワーショーの合間に訪ねたイギリスの庭の紹介をさせていただければと
思います。
「イギリスの庭レポート」の他にも、新たなテーマで記事を書かせていただく予定ですので、
是非、そちらもよろしくお願いいたします。
今年一年、お世話になり、ありがとうございました。
来年2019年も、どうぞよろしくお願いいたします。
■おすすめ特集