2021.4.15 / DIY
自宅ガーデンで風景を作ろうと、いろいろやっていると、植栽配置だけでは
飽き足らなくなり、つるバラやフジなど、大きく枝を伸ばすつる性植物を
誘引する構造物が欲しくなってきます。
初めは既製品でも満足していたのが、だんだん自分の庭のスペースにピッタリくる
オリジナルのものが欲しくなってくるものです。
オーダーメイドで満足のいくものを注文するのも良いのですが、
それなりに費用も掛かるので、何とか自分で出来そうなものは自分でつくる、
ということで、DIYにチャレンジされる方も多いのではないでしょうか?
今回は、我が家のガーデンで自作した(DIYで作った)木製パーゴラについて
そのデザインや作業工程などを参考までにご紹介したいと思います。
こちらが、我が家の前庭の北側隣地境界沿いに作ったパーゴラです。
建物と敷地境界のブロック塀との間の幅1.5mほどの狭い空間を使って
オリジナルデザインで製作したものです。
このパーゴラ製作のことは、以前にこのディノスさんのブログ記事でも
少し触れているのですが、ほんの障りだけをご紹介していましたので、
今回はもう少し詳しく、その製作過程をレポートしたいと思います。
DIYといっても、僕自身は達人ではありませんし、むしろ専門工具もほとんど持っていないDIYの素人なんですが、
それでも事前の準備をしっかりすれば、危険な工具を使わずとも、電動ドライバーだけを使って
何とか形にすることができる、そんな事例として参考にしていただければと思います。
まず最初にしたことは、パーゴラを設置したい場所の寸法を測って、その場所につくりたいパーゴラのデザインを
イメージしながら、スケッチをまとめますした。
専門的な知識がなくても、この程度の簡単なスケッチで十分つくれてしまいます。
そして、このスケッチに基づいて、材料を手配するのですが、屋外使用ということもあり、
なるべくメンテナンスのかからない、ジャラやウリン、イペといった南洋材を使うことにしました。
(お値段はそれなりにしますが・・・。)
これらの南洋材は耐久性が高い反面、材料の密度が高く、とても堅いのです。
そんな堅い材料を電ノコで切断する場合、跳ね返り等の危険があるので自分ではやりたくありませんでした。
今はネットで、プロが使うような資材を購入することができ、なおかつ必要なサイズにカットしてくれるサービスも
あって、こちらの希望通りの寸法に予めカットして、納品してくれるのです。
こういったサービスを使えば、自分でカットすることなく、材料を調達することができます。
ただ、現場での微調整ができませんので、綿密な事前の計画が必要になります。
DIYの作業は、庭作業が落ち着いた冬(1月~2月末)くらいに行うのが良いですね。
春になって慌ただしく庭作業に追われない、時間のあるうちに、
じっくり腰を落ち着けて行うのがポイントです。
ネットで注文していた材料が届きました。
届いたのは、パーゴラの柱材と梁材です。
設計図(スケッチ)に基づきお願いした所定のサイズにカットされています。
南洋材は、とても密に詰まっていますので、とても重いです。
届いた材料は、素地のままですので、このままでは見栄えが悪いので、
表面に塗装を行います。
使ったのは、水性の木材保護塗料。
これに限らず、なんでも良いかと思いますが、
意匠性を考慮して塗料の色はこだわった方が良いと思います。
早速、保護塗料を材料に塗っていきます。
駐車場スペースにブルーシートを敷いて、三脚を馬にしながら
材料の全ての面に保護塗料を塗布します。
塗り終わった材料は、順次、乾かしていきます。
新たに購入した材料は、柱材とその柱をつなぐ梁材ですが、主要なパーゴラの桁材は、
バルコニーのウッドデッキに使っていた材料を再利用することにしました。
バルコニーのデッキ材がだいぶ傷んできたので、新しい南洋材に入れ替え、
パーゴラの方にこの古いデッキ材を使います。
まず、風雨に晒されて汚れていた材料を水洗いしました。
パーゴラの部材の中で、最も多く必要なのが、「桁材」と呼ばれるパーゴラの天井部分に並べていく材料です。
その端部は、四角い板材そのものではなく、できれば少しカットしてデザインを施したい部分です。
端部をどのようなカットするか、型紙を使っていくつかシュミレーションしてみました。
斜めに切れ込む角度をいくつか試しているところです。
こちらが最終的に決まったパーゴラの桁材の端部のデザインです。
ここで問題発生というか、材料を斜めにカットする必要があるのですが、手動のノコギリで切るには
材料が固すぎるし、枚数も多く、加工精度に問題が残ります。
そこで、この頃、家の中をプチリフォームしていたので、出入りの大工さんにお願いして、
電動の丸鋸(ノコ)で材料を切ってもらいました。
プロの電動工具を使えば、あっという間に済んでしまいました。
我が家では、中庭に南洋材を使ったウッドデッキ・テラスを作ったのですが、そのウッドデッキに比べると、
パーゴラはやはり少し難度が上がります。
ウッドデッキ・テラスが平面に広がるカタチであるのに対して、パーゴラは縦方向に材料を組み立てるので、
強度や構造に工夫が要ります。
事前にネットで、いろんな方が披露されているパーゴラの作り方などをチェックしていたのですが、
その中から、強度的にもデザイン的にも自分の好みの方法を学習して上述の設計図(スケッチ)を書くのですが、
より綺麗に見せようとすると、部材の組み方に多少、細工が必要になります。
我が家の場合でも、パーゴラの屋根にあたる部分の桁材と梁材を交差させる部分は、
同面で納めるためには、どうしても材料に「欠き込み」が必要になりました。
これも専門工具がない素人にはできなかったので、リフォーム工事をお願いしていた大工さんに少し手伝ってもらって
作業の合間に、ノコとノミを使って材料の切り欠きをやってもらいました。
素人がやれば大変な作業でも、プロの職人さんなら30分もかからない作業でした(汗)。
もちろん、プロの協力が得られなくても、用途にあった金物などを使えば
十分つくれると思います。
欠き込み加工をしてもらった桁材にも、木部保護塗料を塗っていきます。
塗装作業自体は、面倒ですが、奇麗になっていくので楽しい作業です。
保護塗料を塗った桁材も、順次乾かしていきます。
再利用の材料なので、多少汚れてはいますが、パーゴラではデッキと違って
細い小口面を上にして使いますので、ウッドデッキで使うよりは長持ちすると思います。
続いて、設置場所にパーゴラの基礎を作っていきます。
まず、既成のコンクリート基礎を入れる穴を掘ります。
今回、パーゴラの柱は6本ありますので、穴を6カ所開けています。
コンクリート基礎の下に、通常は割栗石(砕石)を入れるのですが、
なかったので、園芸用の化粧石(小粒)を使いました。
その穴に、コンクリート製の基礎を差し込みます。
このブロック材も、意匠性を考慮して、素地にグレーの色を塗装しています。
基礎コンクリートの水平を水準器を使って確認しています。
コンクリート基礎の周りに土を埋め戻して完成です。
南洋材の思い柱を、そのコンクリート製の基礎の中に差し込みました。
コンクリート基礎の穴の方が大きいので、隙間が空いています。
横から見るとこんな感じです。
柱材は、このままでは動いてしまうので、この隙間にモルタルを流し込んで
基礎と柱を固定するのですが、先に、梁材を仮組みしてからその作業を行います。
ここでは分かりやすいように、基礎固定の次の工程を先にご説明します。
コンクリート基礎と南洋材の間に、モルタルを流し込んだところです。
固まる前に、溢れたモルタルをふき取ってキレイに仕上げます。
続いて、木部の組み立て作業に移ります。
我が家にはコード式の電動ドライバーしかありませんので、
ホームセンターで充電式のインパクトドライバーをレンタルしてきました。
これ以降の作業は、このレンタルのインパクトドライバーのみで可能です。
固い南洋材を組み立てるのには、専用のコースレッド(ネジ)を使います。
こちらも、南洋材を購入したネットショップで注文したものです。
固い材料にこのネジを打ち込んでいくので、強い負荷がかかるインパクトドライバーが必要になります。
6カ所のコンクリート製の基礎に差し込んだ南洋材の柱の頭頂部に
梁材を巻き付けるように組み立てていきます。
この仮組みができた時点で、先ほどの基礎部分にモルタルを流し込み、
柱と基礎を固定します。
反対側から見たところです。
アルミ型材とポリカーボネートで出来た雨よけ的な資材置き場が
前庭から見えるのが気になっていて、それを隠したいという意味もあって
今回、その上にパーゴラを作ることにしました。
柱材と梁材の接合部の詳細。
パーゴラの作り方は様々ありますので、もっと簡単にしているやり方もありますし、
もっと本格的に作っている方もおられます。
そのあたりは、自分自身の力量や、設置場所、求められる強度(耐風圧や地震など)、
好みのデザインによって変わってくる部分かと思います。
あくまで、参考事例のひとつと考えていただければと思います。
柱と梁を接合しパーゴラの概ねの形ができたところで、次は意匠性と機能性のための「桁材」を取り付けていきます。
まず、外から見える、前庭に面した部分(幅1mほどですが)に、桁材を架けていきます。
大工さんに切り欠きを作ってもらった部分を、梁材に被せていきます。
下から見ると、こんな感じ。
この時、まだ桁材は仮置きしているだけで、このあと、コースレッド(ネジ)を揉み込んで固定していきます。
なるべく等間隔になるよう、接合位置を微調整しています。
コースレッドを打ち込んで、固定完了しました。
少し引いて、見たところです。
建物の横から、前庭に伸びるように、パーゴラがせり出しています。
反対側(パーゴラの奥側)にも、同様の跳ね出しがあるデザインです。
実は、こちら側は玄関を開けてガラス窓を通して正面に見える位置になるのです。
その部分にもつるバラを誘引したいと考えてのデザインです。
敷地境界のブロック塀に上って、上から見下ろしたところです。
横に細長いパーゴラの両端に、翼を広げたような、とても珍しいデザインとなっています。
通常のパーゴラは、長手方向に直角に桁材を架けるのですが、今回は長手方向と並行に、
しかも全体ではなく、その両端にだけ迫り出し式で桁材を架けています。
理由は、パーゴラの両端、前庭側と玄関から真正面に見える坪庭側に迫り出させたかったからです。
続いて、真ん中に空いた部分にも桁材を設置しました。
両端の迫り出し部分と直交する方向に桁を架けているのが分かると思います。
このようなパーゴラは既製品にはなく、自分で作るしかなかったというのが、DIYを決意した理由です。
こちらが、冒頭で紹介したパーゴラの製作図(スケッチレベルの拙いものですが・・・。)
当初、手前のスケッチのように、迫り出し部分は右側(前庭側)しかありませんでしたが、
途中から、坪庭側にも迫り出させたいと思い、パーゴラの長手方向の両端に迫り出し部をつける、
2枚目の図面(スケッチ)のように変わっていきました。
パーゴラを横から見たところ。
長手方向には5m近くもある、かなり巨大な工作物です。
ひととおりの組み立てが完了しました。
出来上がったパーゴラを、前庭側から見た全景です。
こちらからは幅が狭いので、苦労した割にはあまり見えないのが残念ですが・・・。
パーゴラを下から見上げたところ。
素人施工の割には、そこそこうまくできた方ではないでしょうか?(笑)
パーゴラの反対側(奥側)。
こちらにも迫り出した桁があります。
写真はもう5年以上も前で、現在はパーゴラの上の2階のサービスバルコニーも、
外壁塗り替え工事の際に撤去したのでもっとスッキリしています。
こちらが、玄関を入って正面、大きな嵌め殺しのガラス窓の向こうに見える
坪庭の風景。
ちらりと、パーゴラの迫り出した先端が見えていますが、
その部分に日陰でも咲くつるバラ、コーネリアを誘引しています。
バラの咲く季節になると、玄関側からコーネリアの淡いピンクの花を見ることが
できます。
再び、前庭側に戻ってみます。
隣地境界のとても狭いスペースですが、立体的につるバラを咲かせるために
作ったパーゴラです。
当初は、パーゴラの手前(前庭)側から、ランブラー品種のつるバラ、
ポールズ・ヒマラヤン・ムスクを誘引していました。
成長が早く、あっという間にこのパーゴラを覆い尽くす勢いでしたが、
このつるバラ、とても鋭い棘で、狭いこの場所で誘引作業を行うには無理があり、
現在は、京北バラ園・花簾庭の方に移植してしまいました。
最盛期には、ポールズ・ヒマラヤン・ムスクの淡いピンクの小花と
建物外壁面に誘引した赤いつるバラ(キング・ローズとブレイズ)がコラボし、
イメージ通りの立体的な風景を作ってくれていました。
現在は、このパーゴラには、前庭側からアメリカフジ(アメジストフォール)を
誘引しています。
苦労してDIYしたこのパーゴラ、これからも我が家のガーデンで立体的な風景を
つくる良い舞台となってくれることでしょう。
如何でしたでしょうか?
今回は、DIYで製作した我が家のパーゴラづくりの様子を詳細にレポートしてみました。
皆さんの庭づくりの参考にしていただければ幸いです。
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