2016.10.14 / ガーデニング術
ボクが自宅の庭でバラを育て始めて丸4年が経ちました。それまで植物に興味のなかったボクがバラを育ててみようと思ったきっかけは、病気で妻を亡くし、妻の好きだったピンク色のバラで庭を埋め尽くして、妻を偲ぼうと思ったからでした。
全くバラの知識がなかったボクは、バラの本を読み漁り、バラのセミナーにも通って、知識や関心を深めていきました。
そんな中で、自分が作っている庭が客観的にどのように見られるのか、どんな評価を得られるのかが気になって来るようになってきました。
普段、建築や街づくりの仕事をしていることもあって、自分が作り出すものが社会的に評価を得られるものになっているのかが気になるのと同じ感覚を覚えるようになったわけです。
そんなこともあって、庭をつくり始めて2年目から、いくつかのガーデンコンテストに、力試しで応募するようになりました。
中でも、日本園芸協会さんが主催されている、「JGS全国ガーデニングコンテスト」は、毎年開催される全国規模のガーデンコンテストで、これまでの受賞作品を拝見しましたら、
どの庭もとても素晴らしく、刺激を受けましたので、自分も是非チャレンジしてみようと思いました。
初挑戦の一昨年2014年にシルバーメダルを頂き、2年目の去年2015年にも2年連続でシルバーメダルをいただくという幸運に恵まれました。
全国規模のコンテストで評価を得られることが、また新たな創作意欲にもつながり、庭をつくるというモチベーションにもつながっていきました。
● 2016年、念願のゴールドメダルを受賞
そして、今年、3度目の挑戦で、念願のゴールドメダルを受賞することができました!
本当に嬉しくて、4年間頑張って庭と向き合って来た努力が報われた気がしました。
写真は、今年の「JGS全国ガーデニングコンテスト」に応募した時のプレゼン資料です。
ガーデンコンテストは、基本、写真による審査になりますので、自分の庭の特徴が伝わる写真を選んで、資料にまとめて応募することになります。
普段から、こまめに写真を撮り貯めておくことが重要になってきます。
● 賞状とメダルをいただくと、改めて実感が湧いてきます。
こちらは、昨年、日本園芸協会さんのガーデンコンテストでシルバーメダルをいただいた時に送られて来た賞状とメダルです。
このように、実際、賞状とメダルを受け取ると嬉しさもひとしおです。
次なる挑戦への意欲も湧いてきます。
● 会報誌で受賞のお知らせと、受賞理由が開示されます。
こちらも、昨年シルバーメダルを受賞した日本園芸協会さんのガーデンコンテストの結果発表とその解説が行われた、日本園芸協会さんの会報誌、『ガーデン&プランツ』です。
受賞した庭の紹介とともに、審査員の先生方が、その庭のどこが良かったのか、こんなところが庭づくりの参考になりますと、コメントを寄せて下さっています。
このようなコメントやアドバイスが、今後の庭づくりの参考になります。
また、他の受賞作品(ガーデン)の素晴らしさに刺激されて、また新たな創作意欲やアイディアが湧いてきます。
このように、ガーデンコンテストに応募することで、自分の作っている庭を客観的に見つめるきっかけになると共に、新たな挑戦に向けてモチーベーションも上がっていくのではないかな〜と思っています。
今年、念願のゴールドメダルを受賞できたのですが、今年のコンテスト応募にあたって、ボクが考えたこと、アピールしたこと等を、少し書いてみますね。
何か参考にしていただければ幸いです。
● 我が家のガーデンの幹となるコンセプトは、「風景をつくる庭」
ガーデンコンテストに挑戦するに当たって、まず重要だと思うことは、その庭のコンセプトを明確にすることではないかと思っています。
「コンセプト」とは、考え方や方向性といった、概念的な意味合いのことをいいます。
我が家の庭は、いくつかのコンセプトがあります。
ひとつは、「亡き妻を偲ぶ追悼の庭」。
これは、ボクがバラの庭をつくり始めたきっかけでもあります。
そして、もうひとつが、「人生を変える庭」です。
亡き妻を偲びながらも、前向きに生きて行くという自分へのメッセージでもあります。
3つめの大きな柱が、「風景をつくる庭」というコンセプトです。
仕事で、建築や街づくりに関わっていることもあり、建物と庭、街と庭がうまく調和する「風景」をデザインする
ということを、とても重要視しています。
まさに、このブログタイトル、『「風景」をつくるガーデニング術』に通じる考え方です。
●「前庭」は、シンボルツリーとつるバラがつくる、「街のオアシス」
我が家の庭は大きく3つのゾーンに分かれています。
前面道路に面した「前庭」、建物に囲まれた「中庭」、そして今年から始めた2階の「バルコニーガーデン」です。
その中でも、特に我が家の顔となる庭が、こちらの「前庭」です。
普段は駐車場となっている前庭空間は、道路に面してオープンで、街の景観を形成する場所となっています。
何本かの高木(シンボルツリー)を植え、建物の壁面につるバラを誘引しています。
5月のバラのシーズンとなると、壁面を埋め尽くすように、ピンクのつるバラが咲き誇ります。
街に開かれた前庭は、街に緑と花をお裾分けする「オアシス・ガーデン」でもあります。
●「前庭」はバラだけでなく、季節の花を咲かせる「ステージの庭」
我が家の前庭は、バラだけの庭ではありません。
我が家の庭は、極端に土の部分が少ないこともあって、「鉢」を多用して、季節毎の旬な草花を咲かせるようにしています。
写真は、今年の6月、様々な色や形の紫陽花の鉢植えを玄関アプローチに並べて、「紫陽花の小径」を作っています。
紫陽花以外にも、3月にはクリスマスローズ、4月にはチューリップ、6月にはアガパンサスなど、その季節毎の旬な花を主役に引き立てて、街の人に見ていただくという「ステージの庭」を、「前庭」のコンセプトにしています。
●「中庭」は、色とりどりの花が咲く、「ビジューボックスガーデン(宝石箱の庭)」
こちらは、我が家の中庭風景です。
5月のバラの花の最盛期の頃の様子です。
「前庭」が道路の面した「パブリックなガーデン」とすると、我が家の中庭は、隣接建物と我が家の建物に囲まれた静謐な「プライベートガーデン」です。
この中庭にも、壁面に誘引したつるバラと、鉢植えを中心とした木立性のバラが多数あります。
前庭はピンクのバラが多いのに比べ、中庭は色とりどりのバラの花が咲き誇り、まるで宝石箱をひっくり返したような賑やかさです。
中庭には香りの強いバラを選んでいるので、建物で囲まれた狭い空間にバラの芳香が立ち籠めて、ここに佇むだけで癒されます。
● バラ以外にも色とりどりの花々で満たされる中庭
こちらは、今年4月の中庭風景です。
中庭も、ほとんど土の部分がないため、その多くを鉢植えの植物を配置して構成しています。
3月には、水仙などの早咲き球根、4月にはチューリップが咲き乱れます。
まさしく、「ビジュー・ボックス・ガーデン(宝石箱の庭)」です。
フォーマルな「前庭」に対し、少し崩したカジュアルな風景を作り出しています。
● 視点を変えてガーデンをデザインする
こちらは、今年5月初旬の中庭を、2階から見下ろしたアングルで撮った写真です。
先ほどの2枚の写真は、中庭をアイレベルで撮影したものですが、こちらは、鳥瞰、いわゆるバーズ・アイ・ビューです。
庭をいろんな角度から見ることで、その空間が持っている特徴が見えてきます。
我が家の中庭は、敷地の南側に位置しますが、南側の建物が近接していることで、かなり日影の部分が出来てしまいます。
都市部の小さな庭では、日影や風通しの悪い場所がどうしても出てしまいます。
それらの弱点を理解した上で、うまく逆手に取って活用して行くか、アイディアと工夫が必要になってきます。
そのためにも、いろいろ視点を変えて、庭を客観視することが重要になってきます。
● 今年始めたばかりの第3の庭、「バルコニー・ガーデン」
こちらは、今年つくり始めたばかりの庭で、我が家では「第3の庭」と読んでいる「バルコニー・ガーデン」です。
バラの庭をつくり始めて4年目になり、自分の庭づくりも少しマンネリ化して来たのでは?という危機感を持つようになりました。
そこで、新しい視点で、新しい庭にチャレンジしてみたくなり、始めたのがこの「バルコニー・ガーデン」です。
奈良盆地を見渡す高台にある我が家は、2階からの眺望が抜けているので、その眺望と、バラの芳香を楽しむ庭としてデザインしました。
限られた狭い空間をどれだけ演出できるか、狭い空間ほどアイディアと工夫が必要になってきます。
ここでは、なるべく眺望を遮らないようにするとともに、立体的にバラを配置する演出を実施しました。
1年目のバルコニー・ガーデンですが、予想していたよりはうまくいったかな〜なんて思っています。
以上のように、我が家の庭は、3つの異なるテーマを立て、それぞれの空間的特徴をうまく活かしながら、全体として共通のコンセプト、「風景をデザインする庭」を構成するように作っているつもりです。
庭づくりにおいて、幹となる「コンセプト」をつくり、そのコンセプトからブレないように、庭と向き合って作っていけば、時間の経過とともに細かい変化はあったとしても、自分らしさを見失わずに表現して行けるのではないかな〜と思っています。
そして、定期的にガーデンコンテストなどにも挑戦することで、自分の庭づくりを客観視して、さらなるモチベーションの糧にできればと思っています。
如何でしたでしょうか?
皆さんの庭づくりに何かの参考になれば幸いです。
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