2016.2. 3 / ガーデニング術
このコーナーに連載を持たせていただくことになって2回目の記事です。
今回は、バラを育てるのが全く始めての素人のボクが、自宅でバラ庭づくりをスタートさせるにあたって、
まず最初にしたことについて書いてみようと思います。
これからバラ庭づくりを始める方にとって、何らかの参考になれば幸いです。
●バラに関する本や雑誌を読み漁る
自宅の庭でバラを育ててみようと思い立って、まず最初にしたことは、「バラの本」を読み漁ることでした。
理系なもので(汗)、まずは本からたくさんの情報を得ようと考えました(笑)。
建物につるバラを這わせることをイメージしていたので、本屋さんに行っては、つるバラの教則本やガーデン雑誌を
買い込み、自分が理想とする「バラの風景」に近い実施例を探すことから始めました。
その中で出会ったのが、つるバラの神様と呼ばれる村田晴夫先生の著書です。つるバラを使って風景をデザインする
様々なアイディアやノウハウが詰まっていて、とても刺激を受けました。
バラを始めた頃は、毎日のようにつるバラ本を読み込んでいました(汗)。
●お気に入りのブログを見つける
そして、次にしたことは、お気に入りのバラブログを見つけることでした。本や雑誌の情報では得られない、
実際に育てておられる方の生の声が聞けるという点で、ブログからの情報はとても有意義でした。
たくさんのブログを訪問させていただいて、特にボクが影響を受けたのが、こちらのサイトにも連載を持たれている
メアリーさんのブログ、「ベランダでバラのコンシェルジュを目指して」です。
ブログランキングで常に上位におられる人気ブログで、ご存知の方も多いと思いますが、
メアリーさんのユーモアとウィットにあふれた語り口調が絶妙で、すぐにファンになりました(笑)。
実際に育てておられる方の品種情報や栽培の苦労話などは、とても参考になります。
是非、お気に入りのブログを見つけられるといいと思います。
メアリーさんのブログに出会えたことは本当にラッキーだったと思っています。
●信頼おけるバラのナーセリー(園芸店)を見つける
もうひとつ、ボクがバラを始めるにあたってラッキーだったと思うことがあります。
バラを始めようと思い始めた頃、たまたま知人にその話をしたら、それなら良い人がいるので紹介したい
ということでお目にかかったのが、京都のまつおえんげいというナーセリー(園芸店)の松尾社長です。
関西バラ界では、知らない人はいないくらいの有名な方ですが、気さくにいろいろと相談に乗って下さいました。
信頼できる専門家の方にアドバイスを頂けるというのは、初心者には本当に心強いものです。
●バラの講習会に通ってみる
そして、もうひとつオススメなのが、バラのセミナーに通ってみることです。本や雑誌、ブログなどで
予備知識は出来て来るのですが、実際にバラを育ててみるに至って、うまく育てられるか不安になります。
そんな時、「良かったら今度バラのセミナーがあるので、来られませんか?」と、松尾さんに声をかけて
いただきました。
そういう勉強会があることすらも知らなかったんですが、思い切って参加させていただきました。
いろいろ実地で教わると、分からないことも解決するし、不安もどんどん解消されました。
少し先行投資をするつもりでバラの講習会に通って知識を深めることが、ひょっとしたら、
上達の近道になるかもしれませんよ。
写真は、まつおえんげいさんの春の風景です。
実地で習ったつるバラの誘引作業が、春にどんな風に咲くのかなども確かめられます。
●バラのカタログで好みのバラを見つける
本やブログ、講習会などでバラの知識を増やして、いよいよ自宅にお迎えするバラの品種選定作業になります。
写真は、まつおえんげいさんのバラカタログですが、何度もカタログを見返しては候補のバラをピックアップ
しました。
一番楽しい時間かもしれません(汗)。
ですが、ここがポイントです。
一旦お迎えして、地植えにしてしまうと、あとから移動させることは結構大変です。
そのバラの特徴や特性などを十分に吟味し、検討することが大切だと思います。
この時、信頼できる専門家に自分の希望やイメージを伝え、適切なアドバイスをもらうことが重要だと思います。
●庭のバラ配置計画を練る
次に、実際のバラの配置計画を練ることになります。
こちらの写真は、我が家のバラ化計画にあたって、最も初期に書いたメモとスケッチです。
つるバラをメインにすることにしていましたので、建物のどの壁面にどのつるバラを植えるのかを
詳細に検討していました。
日照条件や、花の色、外壁との相性、一季咲きなのか返り咲きなのか、他のバラとの組み合わせなど、
いろいろな選択肢の中から方向性を決めて行く作業になります。
ここが「風景をつくるガーデニング」の見せ場ですね。
●庭の記憶を受け継ぐバラ
まず最初に決めたのは、元々家にあったつるバラを、「我が家の庭の記憶」として活かすことです。
我が家は二世帯住宅で、ボクがバラを本格的に始める前から、母が育てていたつるバラが庭にありました。
当時は品種名さえ分からなかったんですが、その後、キングローズと判明したのですが、
このバラの存在がなければ、ボクはバラを始めていなかったと思います。
当時、自宅の庭は母が管理していましたが、バラの育て方も分からないまま毎年強剪定されていたこのバラですが、
春になると健気に赤い美しい花を咲かせていました。
妻を亡くして失意の中、このバラに癒されたことがきっかけで、バラを始める気になりました。
このバラを母から引き継ぎ、植える場所ももっと目立つ場所に変えて我が家のシンボルローズにひとつにしました。
そんな庭の記憶を受け継ぐ植物があるといいかもしれませんね。
●庭のシンボルとなるメインのつるバラを決める
記憶を引き継ぐバラに加えて、新たに我が家の庭の「風景をつくるバラ」としてお迎えしたのが、
このドロシー・パーキンスというランブラー品種(大きく育つ品種)のバラです。
亡くなった妻がピンク色のものが好きだったこともあって、庭をピンクの花で染め上げたいと思ったからなんです
が、先に紹介した村田晴夫先生のつるバラ本の中でも採り上げられていたバラで、
大きく育って風景をつくれるバラとしてこのバラを我が家のメインローズにすることを決めました。
今でこそ、我が家の庭のつるバラもずいぶん数が増えましたが、どれもが主役ということではなく、
どのバラが主役で、どのバラが脇役なのか、はっきりさせた方が、庭にメリハリがついて良いように思います。
●想いを込めるバラを選ぶ
バラを始めた当初は、つるバラにしか興味はなかったんですが(汗)、講習会などに参加するうちに、
つるバラ以外の木立性やシュラブのバラにも興味を持つようになりました。
また、バラは他の植物と違って、作出された年代やそれぞれの品種名、作出者など、さまざまな意味やストーリーを
持っていることに興味も湧いて来ました。
例えば、生まれた年に作出されたバラとか、結婚した年や子供が生まれた年に作出されたバラとか・・・。
これまでの人生の中のいろいろな場面やストーリーを思い出しながら、庭にお迎えするバラを選んで行きました。
その中のひとつがこのバラ、マヌウ・メイアン。
フランス・メイアン社のバラで、かの有名なバラ、「ピエール・ド・ロンサール」を生み出した女性、
マヌウ・メイアンさんの名前を冠したバラです。
この美しいピンクのバラを、亡き妻に捧げるバラとして、我が家のガーデンにお迎えしました。
●剪定の勉強になるハイブリッドティ品種を選ぶ
もうひとつ、心に残るバラを紹介しておきますね。
こちらは、ハイブリッド・ティ(HT)品種のバラで、ラジオという名前がついたバラです。
バラの講習会に通い、バラの教則本を読むに付け、バラには「剪定」という独特な作業がついて回ることを
知りました。
もちろんつるバラでも、「剪定」を行い、「誘引」というつるバラ独特の作業がありますが、
何と言っても「剪定」の醍醐味は、HT品種のバラのようです。
なので、剪定の勉強のために、HT品種のバラを育てることにしたのですが、どのバラにするか迷っていたところ、
勧められたのがこちらのバラなんです。
少し早咲きのこのバラが、一番にガーデンで咲いた時の感動は今でも忘れられません。
何と美しいバラでしょう。
品種改良を重ね、美しいものを求める人間の飽くなき欲求の中で生み出された芸術品のようです。
このバラを見てしまったことで、ますますバラの世界にのめり込んで行くことになった、ボクにとっては
まさに記念碑的なバラなんです。
今回の記事では、ボクがバラを始めるにあたって、まずしたこと、そしてバラの品種選定にあたって考えたことなど
を書いてみました。
如何でしたでしょうか?
次回は、バラを始める前の荒れた庭から、ガーデンリフォームを実施した話などを書いてみようと思っています。
乞う期待!
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