長く美しく愛するために。レザー、ファー等冬アイテムのお手入れ方法
2016.4.20
秋冬シーズンに活躍したレザーやファーなどのアイテム。来シーズンにも素材感や艶感をそのままに、それ以上に保つには、クローゼットに仕舞う前のお手入れがポイントです。陰干しやブラッシング、布ふきなど。お気に入りのアイテムに愛着を込めて"ひと手間"をかけてください。
次のシーズンもきっと、装いに自信を持たせてくれるはず。そう、次の秋冬のお支度はもう始まっています。今回は、レザー、フェイクレザー、スエード・ヌバック、ファー、エナメルなどのお手入れのおさらいです。
レザー(表革)
レザー(表革)は思った以上にデリケートな素材。空気の乾きが肌の水分を奪う冬、実はレザーも悲鳴を上げていたのです。革の表面から養分を失ったレザーはカサカサとしてシワが寄りやすくなっています。シワに入り込む汚れや埃が質感を奪い、買ったばかりの頃の艶感を失わせるのです。これを防ぐには日頃からこまめなお手入れが欠かせませんが、クローゼットに仕舞う前にはさらに充分なお手入れを。
まずは専用ブラシで埃を除きます。レザーの表面は人の肌と同じように無数の穴があります。そこに入り込んだ埃をかき出すつもりで。洗顔と同様に優しく丁寧に、強い刺激を与えずに。ジャケットやアウターなどの場合は、皮脂が溜まりがちな襟元や袖口、裾などを丹念に。その後は防水保護。穴の表面からこれ以上の汚れ浸透を防ぐため、レザーウェア専用の防水スプレーを全体に吹きかけます。最後はレザーの保湿。顔の皮膚と同じように、栄養分をしっかり補ってあげてください。
レザー専用のコスメローションを塗り込んだら、艶めきが蘇り来シーズンまでゆっくりと休ませることができます。直射日光や蛍光灯の当たらない、風通しのいい場所で寝かせてあげてください。
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フェイクレザー(合皮)
メンテナンスフリーが魅力のフェイクですが、その分本革と違って寿命があります。特にポリウレタンは劣化が早く、シーズン初めに取り出してみたら表面がひび割れていたなんてことも。ですが1日でも長く愛用したいものですね。お気に入りならなおさらです。そこで、ポリウレタンが最も嫌う「湿気」の除去が要となります。充分に絞ったタオルで拭いたら、風通しの良い日陰に干してしっかり水分を除去。保管の際には乾燥剤をしっかり効かせて。春、夏、秋の各シーズンに陰干しをしてあげるのも効果的です。
スエード、ヌバック
スエードやヌバックはお手入れを怠ると劣化が顕著となる素材です。その豹変ぶりは本革の比ではありません。スエードやヌバックの柔らかな質感は起毛そのもの。これが魅力を支えているにも関わらず、この起毛に汚れや埃が溜まりやすいので、全体の色あせ感やテカりにつながります。起毛を清潔に保つことが大切ですが、扱うお道具も慎重に。ナイロン製などでブラッシングすると、摩擦が起毛を弱らせ、静電気が空気中の埃を呼び寄せてしまいます。天然毛のブラシで優しく汚れをかき出して、粒子の細かな防水スプレーで仕上げてください。その際は、起毛を柔らかく保つ成分や静電気を抑える成分が入っているタイプのものを選ぶと、より効果が期待できます。
[MARNA/マーナ 洋服ブラシ]
ファー
デリケート素材の代名詞ファーはお手入れに最も神経を使います。ですが慎重に手をかけた分だけその艶感が維持できる、手をかけた分きちんと応えてくれる素材です。長い毛足にまとわりついた埃は毛並みに逆らわないようにブラッシングして落とします。その際、静電気が起きないように静かにゆっくりと。ファー専用の天然毛ブラシがあれば心強いですね。埃を落とした後は、ファーがため込みやすい汗や匂いの除去。ただしファーは非常にデリケート、化学物質を含む消臭スプレーは色落ちの原因ともなりますので、天然素材のスプレーがおすすめです。
最も大切なのが「保管」。特に外国製のファーは日本の湿気が大敵です。不織布でくるみ、除湿剤も活用します。防虫剤も消臭スプレーと同様に天然素材のものが色落ちの心配がありません。
[シンプル衣装カバー]
エナメル
昨今、革のクリーニング専門店に持ち込まれる件数が増えているのがエナメルだそうです。利用者が「頑丈そうな素材」と間違った認識を持つことが原因なのだとか。表面のコーティングは冬の乾燥や高温・多湿に弱く、直射日光に色落ちしやすく。実は繊細な素材というのがエナメル。乾いた布で表面の汚れを除去したら、エナメル専用のローションで栄養をたっぷりと染みこませます。すこし時間をおいたら、乾いた布で表面をなでるようにケア。保管の際は、他の革製品にくっつかないように、また、通気性の良い不織布をかぶせておけば安心感が高まります。
来年も、その先も長く愛するために
「汚れを落とす、栄養分を与える、休みやすい場所で保管する」が基本のレザーやファー。お肌の手入れのようなものです。ただ、素材にあったお道具や保湿法、乾燥法に、各素材らしさが表れます。それぞれの魅力や個性に合わせて、購入した時の美しさを保ち続けるのは"ひと手間"次第。秋冬シーズンに取り出した際、昨年同様の輝きを放ってくれていたら、さらに愛着が湧くはずです。大切な秋冬のアイテムを休ませるときは「来年もよろしく」の思いをこめて、丁寧にケアしてあげたいものですね。
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