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専門家「風景」をつくるガーデニング術

県立奈良高校・創立100周年記念事業・中庭プロジェクト、その11(工事編:高木植栽工事)

居場英則

僕の母校である、県立奈良高等学校の創立100周年記念事業でつくる中庭プロジェクト。

徐々に出来上がっていく中庭の様子を、ランドスケープアーキテクトの視点でご紹介しています。

工事編11回目は、いよいよガーデンの中核をなす、高木植栽工事の様子をレポートいたします。

CGパース昼景(最終版・枠なし)(奈良高校・中庭PJ).jpg

こちら↑が、中庭の完成予想図。

100周年事業の募金活動用に作成したCGパースですので、緑の樹々が生い茂る様子は、

竣工後、数年経った様子を表現しています。

配置図.JPEG

こちら↑は、平面図。

四方を校舎で囲われた中庭は、ほぼ東西南北に正対しています。

図面でいうと、上が北、下が南、右が東、左が西になります。

校舎は、北棟(本館)と南館が4階建て、東西の校舎は3階建てで、特に4階建ての南棟の影響が大きく、

中庭の南棟付近(図面でいうとした半分)は、秋~冬にかけて、かなり日陰ゾーンになってしまいます。

それらの日照条件も考慮しながら、スタンドベンチや植栽(高木、中低木、宿根草)の配置を行っています。

DSC_3000.jpg

こちら↑の写真は、ひとつ前の記事で書いた、プラトン・アリストテレス立像が移設された日(2024年1月10日)の

中庭の様子です。

白く塗装されたスタンドベンチが楕円を描くように広がり、ベンチと連続するようにロックガーデンの石が

配置されているのが分かると思います。

そして、2つの焦点のひとつに、プラトン・アリストテレス像が本設置されました。

その立像の後方を守るように、R型の壁が立ち上がっています。

ほぼこの中庭の構造が露わになってきました。

次は、ここに植栽工事を行うのですが、まずは、高木から植えていくことになります。

実は、工事予算の関係で、当初予定していた高木よりかなり小ぶりな樹木を入れざるをえなくなってしまいました。

当初、中庭四隅に配置するシンボルツリー的な高木は、樹高6mくらいのものを予定していたのですが、

ほぼすべての高木が、樹高3m程度となってしまいました。

樹高のメリハリ(高低さ)がなくなってしまったことや、樹高3m程度では良い樹形の樹々が選べないなどの

課題がありました。

その条件の中で、出来上がった直後でも、少しでも美しい風景になるよう、樹木選びは慎重かつ粘り強く

行いました。

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協力業者の造園業者さん、そしてさらにその造園会社さんの協力先の植木屋さん(植木の生産者さん)の

樹木圃場(奈良市内)にお邪魔させていただき、奈良高校の中庭に植栽する樹木選びをさせていただきました。

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例えば、こちらは、中庭に中央付近に設置する石ベンチの脇に

緑陰(樹木による陰)をつくるための樹木、アオダモが植えてある場所です。

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こちらは、樹高3mでも枝張りのあるリュキュウバイ。

特徴的な樹形がインパクトをもたらします。

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こちらは、中庭東ゾーンに植栽する、春を呼ぶ樹木のコブシ。

こちらも樹高は3mありませんが、株立ち樹形で広がりがある雰囲気です。

落葉樹は、葉がない時期ですので、葉が展開した風景をイメージしながら

樹木を選んでいきます。

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今回のプロジェクトでは、東洋的な『四神思想』や平安時代の庭の指南書『作庭記』に書かれた作法に従って、

(中庭の)西にモミジをまとめて植栽するエリア(プラトン・アリストテレス立像の両側ゾーン)を設けています。

そこには、こちら↑の写真のようなダイナミックな樹形のモミジ(樹高4~6m)を入れたかったのですが、

工事費減額によって、樹高3m程度のものになりました。

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樹高3mというと、こんな↑感じのモモジになってしまいます。

冒頭の完成予想図に描かれたような樹形、大きさになるには、5~10年くらいは掛かるでしょうか?

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それでも、多様な品種のモミジを混在させて植栽することで、

秋の紅葉、初夏の新緑の頃には美しい風景が描けるように配慮しながら、

樹木を選んでいきました。

協力業者さんも、可能な限り大きく、樹形の良い樹木を出していただけるよう、

協力してくださいました。

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今回の植栽計画では、高木は基本的に1本づつ違う品種を選んでいますので、

少量多品種を揃える必要があり、植栽業者さんは材料(樹木)を集めるのに

大変苦労されていました。

ここの圃場になり品種は、全国より取り寄せていただくことになっています。

こちら↑が、取り寄せていただいた樹木です。

樹高3mという縛りの中で、株立ち樹形など、良いものを集めていただいたと思います。

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掘り上げられた樹木の根鉢も、かなり大きなものがありました。

良いものを集めていただいたので、かなりテンションが上がりました。


【 2024年1月11日 】

いよいよ高木を中庭の植栽する日がやってきました。

ガーデンデザイナーとしては、腕の見せ所になります。

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植栽業者さんの圃場で選んだ樹木、全国から取り寄せていただいた樹木一式が、

トラックに積み込まれて現場に到着しました。

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西側校舎1階のトンネル状の通路にユニック車を入れて、クレーンの届く範囲で、樹木をおろしていきます。

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吊り上げられた樹木が空中を飛んでいます。

根鉢が大きいので、かなりの重量があります。

クレーンで吊り降ろさないとなかなか大変です。

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次々と樹木が下されて、ロックガーデンエリアの土の部分に仮置きしていきます。

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下したところから先へは、人力で運ぶことになります。

今回の中庭工事の段取り上、R壁が設置されて以降、中庭に重機を入れられなくなってしまいました。

ですので、R壁より奥(写真右側)へは、台車もしくは担いでの運搬になります。

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こちらは、一番大きな(樹高4mくらい?)サルスベリの木だと思いますが、

職人さんが3人がかりで担いで運んでいます。

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植える位置は、楕円形のスタンドベンチの外側。

斜面を登らなければなりません。

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何とか担ぎ上げて、スタンドベンチの後方まで運びこめたようです。

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こちらは、実は我が家から持ち込んだ樹木類です。

我が家の庭に植えていた高木のソヨゴ(H=3m程度)や、ヤマモミジ(H=5m程度)を掘り上げて

奈良高校の中庭へ供出しました。

それ以外にも、いろいろコレクションしていた鉢植えで育てていた樹木や中低木、30鉢近くを供出しました。

中庭の植栽スペースが思っていた以上に広く、設計図にスペックしていた樹木の数では足らない感じで、

少しでも樹木の本数を増やしたい思いで、現物を寄付させていただきました。

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午前中は、トラックから下した樹木を、植栽するエリアに「間配り」する作業におおむね要しました。

当初計画した位置に植栽するのを基本としながらも、実際の風景(背景の校舎の窓の位置や室外機の位置など)を

考慮しつつ、運び入れた樹木の樹形や高さなどを、その周辺に植える樹木とのバランスを見ながら

微調整していくことになります。

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こちら↑が、当初計画していた植栽配置図です。

図面の中に緑色の丸印で示されているのが、高木の樹冠(樹々の枝の広がり)ですが、

予算の関係で樹高が低くなり、合わせて樹冠(樹々の広がり)もかなり小さくなってしまいました。

それらも考慮しながら、なるべく完成予想図に描いたような風景に近づくように、植栽配置をしていきます。

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各エリアに間配りした高木を、想定する植える位置に立てていきます。

中庭全体で樹木のバランスを見ながら、配置の調整を行います。

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縛っていた枝もほどき、枝張りも見ながら、最終的な植える位置を決めます。

このエリアでは、後方に見える校舎西棟2階の図書室に上がる今は使われていない屋外階段がサビて美しくないので、

その屋外階段の存在感をなるべく消すように、ソヨゴやハイノキといった常緑樹を配置しています。

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手前には、生駒石のベンチを設置しているのですが、そのベンチに緑陰を落とす樹木(アオダモとシャラ)を

植えますが、後方のロックガーデンに植える樹木との重なりも気にしながら、植栽位置を微調整しています。

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こちら↑の一見、枯れた木のように見える樹木は、「ヤマコウバシ」という落葉樹。

葉が枯れても枝から落ちないということで、「合格祈願の木」と言われています。

大学受験をする奈良高生に、このヤマコウバシの葉をお守りを渡すというような風習になるかもしれませんね。

紅葉がキレイなので、モモジゾーンに近接するように、この場所に植えています。

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石ベンチに緑陰を落とす樹として選んだアオダモとシャラを植栽しているところです。

ここは、楕円形に土盛りした部分に比べて土が固いエリアです。

職人さんたちも植え穴を掘るのに苦労されていました。

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こちら↑は、中庭北西角のロックガーデンエリア。

方角的に、午前中から午後にかけて日が差し込む、中庭で一番条件の良いゾーンです。

こちらには、各種モミジ類に加えて、山採りの自然樹形のヤマツツジ右端)を植えることにしました。

当初計画では、ヤマツツジはもっと見えにくい位置に配置していたのですが、

斜めに張り出すような樹形がとても美しいため、良く見える前面にランクアップさせました。

4月頃には朱赤の花がたくさん咲き、きっと美しい風景を作ってくれると思います。

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こちら↑は、その中庭の北西角、楕円形に盛り上げた土の外側の様子が分かるアングルの写真です。

スタンドベンチやロックガーデンをつくるため、約1mほど盛土をしています。

盛土の外側は、緩やかな勾配で、元の地盤面まで下っていくようになっています。

当初計画では、この楕円形の外側(四隅)に、シンボルツリーとして、大きくなる木(当初から樹高6m程度)を

植栽すべく計画していましたが、工事費予算の減額で、高木の高さがすべて3m程度になってしまいましたので、

盛土の外側の四隅に植栽してしまうと、中庭から、ほぼ樹木が見えないということになってしまいます。

ですので、四隅の高木(シンボルツリー)は、盛り土の中腹に植栽して、

中庭からもよく見えるように配置することにしました。

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スタンドベンチとロックガーデンの際の部分です。

スタンドベンチに座った際、視界を遮らないように、スタンドベンチ前には、高木のみならず中低木の植栽はせず、

今後の宿根草程度の植栽にする予定です。

高木も順次植え付けられていますが、それでも土面のまま(裸地)の部分がとても多いです。

この後の中低木の植栽、宿根草の植栽で、どこまで土のままの部分を減らしていけるかがポイントになります。

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プラトン・アリストテレス立像周りの植栽の状況です。

立像の後方には、校舎西棟へとアプローチする道が見えていますが、その両側の盛土部分には、

多種多様なモミジ類を植栽していきます。

葉や幹の色、紅葉の色がそれぞれに異なるはずです。

微妙なグラデーションで四季を彩るような、中庭の中で最も緑の多いエリアになります。

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こちら↑は、校舎北館(本館)前の、最もスタンドベンチが校舎の近くまで接近するところです。

このスタンドベンチの後ろにも、花の咲く高木を植栽していきます。

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少し引きで見ると、このような感じになります。

楕円形のスタンドベンチに沿って、校舎との間に樹木を配置しています。

このエリアは、春(4月頃)に花が咲く、ハナモモ、ハナカイドウ、ハナズオウ、リキュウバイなどが並びます。

校舎側は、職員室や事務室、校長室が並んでいますが、現在は南からの日差しが強くて

カーテンが閉まったままになっていることが多いのですが、

植栽後は、カーテンを開けて、新緑や花の風景を室内側からも眺めることができるようになるはずです。

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植栽位置や木の向き(表裏)、傾きなどは、設計者である僕が指示を出して決めたあとで、

造園業者の責任者の方が微調整して下さり、植え付けしていきます。

展開図.JPEG

こちら↑は、当初設計した際の中庭の展開図イメージ。

上は、プラトン・アリストテレス立像方向を見た展開図で、両サイドに紅葉するモミジが配置されています。

下の図は、中庭の長辺方向の展開図で、ちょうど北棟(本館)方向を見たものです。

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こちら↑が、実際の同じアングル(本館方向)を見た写真になります。

スタンドベンチの後方に樹木が並んでいるのが分かるでしょうか?

冬で落葉しているので、絵のような雰囲気にはなりませんが、ゆくゆくはイメージ図のような感じに

近づいていくと思います。

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こちら↑は、校舎東館方向を見たアングル。

昇降口から中庭へと入ってくるアプローチ部分です。

工事中の現在は閉鎖されていますが、正面が中庭への出入り口になります。

こちらも出入口の両側に、高木が並ぶように配置されています。

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今回の中庭プロジェクトでは、植栽配置において、前述したように、「四神思想」や「陰陽五行説」、

平安時代に編纂されたとされる「作庭記」に記述された庭づくりの作法などを引用しています。

ひとつ上の、昇降口のあるエリアは、四神思想では「青龍」にあたる場所になり、ここには青系の花の咲く、

セイヨウニンジンボクやライラック、レウコフィラムなどを植栽しています。

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昇降口から中庭へ入ってすぐの場所です。

スタンドベンチが、盛り土された斜面に沿って段上に並んでいるのがよく分かります。

スタンドベンチの足元の土の部分には、芝生ではない宿根草を植え付ける予定です。

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スタンドベンチの後方には、協力業者さん(植栽業者)さんの圃場で見た、樹形の美しいコブシを植えています。

演歌にも歌われる春一番に白い花が咲くコブシが、春の訪れを彩ってくれるはずです。

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こちら↑は、中庭南東の角方向を見たアングル。

この四隅のシンボルツリーは、四神でいう「朱雀」(赤)に近いエリアのため、鮮やかな赤花を咲かせる

サルスベリを植栽しています。

このサルスベリは重要な花(「朱雀」を表す花 )であることから、晩夏~秋にかけて、

実際に赤い花が咲いている様子をわざわざ確認に行って選んだ樹になります。

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南東方向のベンチの連なりと、手前から赤紫系のライラック、サルスベリ、エゴノキなどが並びます。

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こちらは、中庭中央から、真南方向を見たところです。

中庭は四周を校舎で囲まれていますが、この南館だけには、中央付近に赤いレンガタイルが貼られています。

象徴的な壁面であるため、このレンガタイルのセンターに中央広場のセンターがピタリと合うように

設計しています。

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そのレンガタイルの正面に、植えているのが、針葉樹のプンゲンストウヒ・ホプシーという珍しい樹です。

青い葉がとても美しいのと、成長が著しく遅い樹としても有名ですが、

奈良高校のクリスマスツリーとして、学生たちに楽しんでもらおうと選んだ樹木です。

一般的なモミの木とかコニファー類だと、一気に大きくなって、他の樹木を凌駕してしまい、

風景を台無しにしてしまうので、ここでは成長が遅く、葉も樹形も美しいホプシーを選びました。

成長が遅い分、価格も高く、この2mほどの樹高ですが、今回植栽した高木の中で

一番価格の高い樹なんです。

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実は、このプンゲンストウヒ・ホプシーの大木を、仕事先の長野県白馬村の近く、

長野県大町市にある、ラ・カスタ・ヒーリングガーデンで見ました。

高さ10mはあろうかというほど大きくなって、樹形も美しい円錐型をしいています。

ここまでの大きさになるには数十年は経っていると思われますが、本当に美しい樹なのです。

※ プンゲンストウヒ・ホプシーの美しい写真は、僕がレポート記事を書いている

 「ラ・カスタ ナチュラル ヒーリングガーデン ~その1(前編)~」をご覧ください。

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このホプシーを植栽したエリアは、校舎南棟の影響で、最も日陰になるエリアです。

基本的に、日陰でも生育しやすい樹木を選んで配置しています。

加えて、我が家から供出した鉢植えの紫陽花(10鉢程度)も植栽し、群生させて風景をつくるように

イメージして配置しています。

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それから、当初予定していなかった樹木を急遽、中庭に加えることにしました。

それは、ドウダンツツジという、4月頃にスズランのような白い花をたくさん咲かせるツツジの一種です。

その開花の様子が満天の星空になぞらえることから、和名で「満天星」とも書かれることもあります。

また、ドウダンツツジは、三叉になった枝の形が灯台を支える台をイメージさせることから、

「灯台躑躅」とも表記されます。

『誕生樹~日々を彩る366の樹木』(椋周二著、八坂書房刊)によると、

明治2年(1869年)11月1日、日本初の洋式灯台である三浦半島の観音崎灯台が着工されたことから、

この日は「灯台の日」とされています。

実は、11月1日は、奈良高校の創立記念日でもあることから、中庭にドウダンツツジを何としても植えたいと

思うようになりました。

それで、学校側の了解を得た上で、校内にあるドウダンツツジを一本、中庭へと移植させていただけることに

なりました。

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ドウダンツツジは、春の白い花が無数に咲く風景も美しいのですが、秋の紅葉も素晴らしく美しいのです。

こちらは、昨年11月の奈良高校の正面玄関前のドウダンツツジの生垣です。

この一番右端の一株を掘り上げて、中庭へと移植します。

DSC_3152.jpg

こちらは↑、掘り上げられたドウダンツツジです。

樹高1.5mほどの小さな株ですが、根鉢も大きく、結構な重さがありました。

一輪車に載せて、中庭へと運んでいきました。

DSC_3154.jpg

中庭でそのドウダンツツジを移植する場所はこちら↑。

中庭北西角のモモジ(紅葉)ゾーンの端、山採りのヤマツツジの右横、移設した時計塔の足元に植栽しました。

このあたりは、ワイルドな樹形の樹々が並ぶ、見ごたえのあるゾーンになっています。

DSC_3104.jpg

夕暮れ前、ようやく高木の植栽作業が概ね終わりました。

この日は、とりあえず高木の配置、植え付けを行いましたが、職人さんたちは明日も続きで、

高木に支柱を取り付けたり、関連の作業を行っていただくことになっています。

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昇降口から、中庭全体を見渡したところです。

手前の赤いコーンが立っている場所が、楕円形の「もうひとつの焦点」、『羅針盤』と呼んでいる

石板プレートが設置される場所になります。

やなり、冬なので、ほぼ枝しか見えないので、植栽(高木)が植わった感はあまりありませんね。

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こちら↑の写真は、高木植栽当日の午後、陽がかげり始めた頃に撮影した写真で、空は青いのですが、

中庭は大部分が校舎の影になっています。

冬はこのような環境になるということがよく分かる写真です。

高木植栽配置図.jpg

こちら↑は、この日の高木植栽を終えた後に、実際に植えた樹木の配置を改めてプロットした図面です。

樹木の位置は、当初計画から若干は変わっていますが、ゾーン毎の植栽コンセプトは変わっていません。

大きく違うのは、樹冠(枝の広がり)の大きさです。

図面は目分量で描いていますが、ほぼ実際に近い感じかと思います。

本文途中でお見せした当初計画の植栽平面図とは、樹木の広がり感はだいぶ変わってしまいました。

また、高木をなるべく内側に寄せて植栽したこともあり、中庭の四隅に大きな空間が出来てしまっていることも

今後の課題になるかと思います。

それでも、ようやく土面に植物が入ったので、ガーデンらしくはなってきました。

次の中低木、そして最後の仕上げの宿根草の植え付けで、さらに良くなるよう、仕上げていきたいと思います。

乞うご期待ください!

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【 奈良高校・創立100周年記念事業について 】

今回の奈良高校・創立100周年記念の中庭プロジェクトは、50年前の創立50周年の時と同じく、

OBOG(卒業生)をはじめとした、様々な方々の寄付によって創られる事業になります。

「奈良高校 100周年記念特設サイト」も、2023年9月1日よりオープンしております。

  [ 奈良高校 100周年記念特設サイト] は、こちら ⇒ 奈良高校 創立100周年 (narahs100th.jp)

 
 創立100周年を機に、ますます発展する奈良高校へご支援いただけましたら幸いです。   

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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

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