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専門家「風景」をつくるガーデニング術

今年2022年春、我が家の庭で咲いたお気に入りのシャクヤク紹介

居場英則

まだ少し夏の暑さも残りつつも、一歩づつ秋の気配も近づく今日この頃です。

9月は、何かと慌ただしくしてましてなかなかブログ記事が書けませんでした。

いくつか動画の撮影もあったりして、それらも近いうちに公開になる予定です。


さて、今回と次回は、今年2022年春の我が家の庭から、印象的だった花をご紹介してみようと思います。

第一回目は、『芍薬(シャクヤク)』。

「立てば芍薬(シャクヤク)、座れば牡丹(ボタン)」と、「佳人(美しい人)」のことを例える表現として

使われる芍薬(シャクヤク)と牡丹(ボタン)。

シャクヤクとボタンは、同じボタン科ボタン属(Paeonia)の植物で、その多くは中国を中心とした東洋に分布

しているそうで、木本性(いわゆる木)のものをボタン、草本性(いわゆる草)のものをシャクヤクと区別します。

シャクヤクもボタンも薬用として古来から利用されてきましたが、その花の美しさから、観賞用にも

栽培されるようになりました。

ボタンもシャクヤクも園芸化が進み、様々に品種改良されて今に至っています。

ボタンはどちらかというと「和」のイメージが強いのですが、シャクヤクの中でも特に園芸品種は、

「洋」の庭にもとてもよく調査するので、我が家の庭でも、何種類ものシャクヤクを育てています。

今回は、その我が家で育てているシャクヤクの中から、この春に咲いた、特に花が美しい品種をいくつか

ご紹介したいと思います。

■サラベルナール

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こちらは、サラベルナールという品種。

ライトピンクの八重咲きで、大輪品種。

八重咲きのシャクヤクの中では最も代表的な品種のひとつで、大輪花だけど、品があり、とても美しい品種です。

フランスの女優、サラ・ベルナールにちなんで名付けられた品種で、エレガントさが際立ちます。


■火祭

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こちらは、火祭という八重咲き品種。

少し濃いピンク色の花色で、ディープカップの整った花形をしていて美しいです。

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こちらも、同じ火祭を撮影した写真です。

背景の青い花は、早咲きのクレマチスで、ディアマンディア。

シャクヤクは、早咲きのバラやクレマチスと花期が合うので、

庭の中でも他の植物と合わせやすく、重宝します。

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シャクヤクは花期が短いのが残念ですが、花の美しさはバラにも引けをとらず、

独特の凛とした美しさを備えているように思います。

■品種不明のシャクヤク

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こちらは、はっきりと品種を特定できないのですが、一重咲きのシャクヤク。

淡いピンクの花弁の底が濃くなっていて、その中央にゴールドに輝く蕊(シベ)が見えています

フレッシュグリーンの葉と、ピンクの花弁、ゴールドのシベのコントラストが、庭でとても目を惹きます。


■コーラルチャーム

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こちらは、コーラルチャームという、まさにその名の通りコーラル(珊瑚)色の独特の花色を持つシャクヤク。

我が家で育てているシャクヤクの中でも、最も僕が気に入っている品種です。

十数鉢育てているシャクヤクのほとんどは、鉢植えなのですが、このコーラルチャームは大株に育てたいと思って

前庭の玄関アプローチのシュラブタイプのイングリッシュローズを植えているエリアに地植えしました。

まだ地植えして1年ですが、それでもずいぶん骨太に育って太い茎を伸ばし、その先に見事な美しい花を咲かせて

くれました。

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コーラル色の花色が好きなので、我が家の庭では、このコーラルチャームの他にも、「コーラル」と名前の付く

シャクヤクとして、「コーラルサンセット」「ピンクハワイアンコーラル」という品種も育てています。

「コーラルチャーム」はその中でも、コーラル色が濃い品種です。

濃い花びらの内側には、ゴールドのきらびやかな蕊(しべ)が顔をのぞかせています。

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日が当たると次第に花弁を開いて行きます。

中央でうごめくように重なるゴールドの蕊(シベ)がとても印象的です。

それにしても本当に美しいコーラル(珊瑚)色です。

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地植えしたせいか、今年は花期が例年より長かったように思います。

日が経つに連れ、濃い花色は次第に退色していきますが、その花色の変化を観察するのも楽しいです。

■ボウル・オブ・ビューティ

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こちらは、ボウル・オブ・ビューティという園芸品種のシャクヤク。

「翁咲き」と呼ばれる、雄しべが弁化して花の中心に集まったような独特のフォルムをしています。

様々な咲き方をするシャクヤクの中でも、この「翁咲き」と呼ばれる咲き方をするシャクヤクが好みで、

このボウル・オブ・ビューティの他にも、後述する「プリマベーラ」や「ビロード・クィーン」、「乙女桜」、

「さつき」などの品種を育てています。

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翁咲き品種のシャクヤクの中でも、このボウル・オブ・ビューティは、濃い鮮やかなピンクの花弁にクリーム色の

雄しべのコントラストが、とても西洋的で、バラなどの洋の庭にとてもよく調和するシャクヤクです。

実は、このボウル・オブ・ビューティという品種のシャクヤクを知ったのが、

ガーデニング王国・イギリスの名園、「キフツゲート・コート・ガーデンズ」に植栽されているのを、

多くの方のブログなどで見ていて、その美しさに魅了されてしまったのです。

我が家の庭でも是非育ててみたいと思ってずっと苗を探していたところ、何とか手に入れることができて、

今、育成しているところです。

まだ小さな花しか咲きませんが、そのポテンシャルの高さに期待しているシャクヤクです。

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ちなみに、2018年のチェルシーフラワーショーに、世界的ガーデンデザイナーの石原和幸さんのサポートメンバー

して帯同させてもらった際、作業のない休日に「キフツゲート・コート・ガーデンズ」を見に行ったのですが、

その時の記事がこちら↓(バックナンバー)にありますので、ご興味があれば、そちらもご覧になってください。

  ※ イギリスで訪ねた庭レポート Vol.5 → キフツゲート・コート・ガーデンズ


こちらの記事の3枚目の写真に写っているのが、シャクヤク・ボウル・オブ・ビューティだと思います。

■プリマベーラ

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前述したように、シベが花弁化する「翁咲き」のシャクヤクがとても好きでコレクションし始めているのですが、

その中でも、この「プリマベーラ」という品種は特別なシャクヤクです。

白やピンク系の花が多いシャクヤクにあって、この「プリマベーラ」は、白い花弁の内側に鮮やかなイエローの花弁

を持つ、とても美しい花を咲かせます。

黄色やアプリコット系のバラと合わせると、とても調和するのではないかと思って期待しているシャクヤクです。

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咲き進むと、外側の白い花弁が開いて、内側の花弁化した黄色いシベがメインの花のように見えます。

シャクヤクと思えない、劇的な品種改良の生まれた美しい花で、将来的には、我が家の前庭のキャンディーゾーン

と呼んでいる、黄色やアプリコット系のバラを集めたゾーンに地植えしたいなと思っています。

ボウル・オブ・ビューティの紹介のところでも書きましたが、2018年にチェルシーフラワーショーに初めて行く

機会に恵まれて、その際に、イギリスの様々なナーセリーが展示している美しい花や新品種の植物を見ることが

できました。

改めて、その時に書いた記事を読み直してみたのですが、チェルシーフラワーショーのパビリオンの中で展示されて

いた美しい植物の数々に圧倒されました。

シャクヤクのことも紹介していますので、良かったらそちらの記事もご覧下さい。

  ※ チェルシーフラワーショー2018・レポート記事はこちら → ショップ&パビリオン


如何でしたでしょうか?

シャクヤクは、バラに比べると花期も短いし、つるバラのように「群」となって風景を作るには少し不向きな

植物ではありますが、バラとはまた違った独特の美しさがあるガーデンプランツだと思います。

花期が短いゆえに、切り花として部屋の中に飾る方が向いているのかもしれませんが、僕はキフツゲート・コート

・ガーデンズのように、ガーデンの中で特に目を惹くゾーンをこのシャクヤクで作ってみたいと思っています。

皆さんも是非、シャクヤクの素晴らしさに注目していただければ幸いです。


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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

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