2016.10.14 / バラと仲良く暮らす
病害虫に強い品種を選び、日照時間や、スペースなど、庭の条件に合った品種を選ぶのが大切です。
よく観察をして、マルチングなどで病気や雑草を防ぎましょう。
■バラの病気一覧
ウドンコ病
■発生期:4月上旬〜7月上旬、9月中旬〜10月上旬
■症状:白い粉がふいたような、菌糸が若葉や白い花首などやわらかいところに発生し、葉や花が奇形になる。昼夜の温度差が大きい時期は注意。空気感染する。
■対策:普段から風通しをよくする。予防に薬剤を散布するとよい。
根頭がんしゅ病
■発生期:通年
■症状:接いだ部分や根にコブができる。多くの場合枯れることがなくそのままで心配がないが、まれに生育障害になる。
■対策:接ぎ口に発生した場合、コブを切除して消毒。苗は信用のおける店で購入すること。
サビ病
■発生期:5〜11月
■症状:葉や枝に橙色〜黄色のイボ状の斑点ができ、サビがついたようになる。ひどいときは落葉する。
■対策:被害部は切り捨てる。
黒点病(黒星病)
■発生期:4〜11月
■症状:葉に黒褐色の斑点ができて黄変し、落葉する。地表などに病原菌がおり、雨水や水やりの跳ね返りで下葉から感染し、茎にも伝わることがある。
■対策:水の跳ね返りを防ぐためにマルチングをする。
ベト病
■発生期:4〜6月、8〜11月
■症状:葉脈に沿って赤紫色の斑点ができる。若葉につきやすく、葉が緑のまま落ちる。ダメージが大きく枯死することもあるので、注意が必要。
■対策:風通しをよくする。発病したらすぐ薬剤を散布。被害部分は切り捨てる。
灰色カビ病
■発生期:4〜6月 10〜11月
■症状: 低温多湿を好み、春先〜梅雨、秋口〜冬の初め頃の気温がやや低く、湿度の高い、雨が多くて日照が不足しがちな時期に発生が多くなる。新芽や花弁に褐色のカビの斑点ができ、腐る。
■対策:水のやりすぎに注意し風通しをよくする。窒素過多にも注意。被害部は早めに切り捨てる。
■バラの害虫一覧
チュウレンジハバチ
■発生期:5〜10月
■特徴:成虫は羽が黒く、腹部はオレンジ色の小型の虫。茎にお尻を刺して卵を産みつけ、羽化した幼虫が一斉に葉を食害。あっという間に葉がなくなるので、早めに発見する。
■対策:卵が産みつけられている場所を見つけたら、針金などでつぶす。幼虫には薬剤散布を。
コガネムシ
■発生期:5〜10月
■特徴:1cm程度の黒光りした甲虫。つぼみや花弁を食害する。幼虫は土の中で根を食害。地植えの場合はあまり問題ないが、コンテナ内で大量発生すると枯死することがあるので、注意。
■対策:成虫は、薬が効きにくいので、捕殺する。鉢替えの際、土の中を確認し、幼虫がいた土は破棄。
カミキリムシ
■発生期:通年
■特徴:初夏から夏に、株元に穴をあけて産卵し、孵化した幼虫(テッポウムシ)が茎の中を食害する。
■対策:成虫は産卵期に飛来するので、捕殺する。幼虫は穴から木屑のような糞を出すので、穴に針金をさして駆除するか、スポイトで薬剤をいれる。
アブラムシ
■発生期:通年
■特徴:緑色や褐色の小さな虫で、若葉や新芽の養分を群がって吸う。ウイルスを運ぶこともあるので注意。
■対策:見つけしだい、ハケなどを使って捕殺。
バラゾウムシ
■発生期:4〜10月
■特徴:体長2〜3mmの黒くて口の長い虫。つぼみのついた茎や新芽に産卵し、黒く枯らす。
■対策:地上部に落ちたつぼみや茎は産卵してあるので処分。見つけたら、捕殺か薬剤散布。
カイガラムシ
■発生期:通年
■特徴:白いロウに覆われた虫で、増えて枝にびっしりと着く。春に産卵し、枝や茎の樹液を吸い、樹を衰退させる。
■対策:成虫はロウの殻に覆われているので、薬剤散布は効果ない。歯ブラシなどでこすり落とすとよい。幼虫発生時は薬剤散布をするとよい。
■薬剤散布のポイント
1.風のない晴れた日の午前中に行う
2.薬品に書かれた希釈倍率などを守ること
3.葉の表裏、両方にしっかり噴霧すること
4.薬品同士混ぜると危険なものもあるので、使用上の注意に従うこと
5.手袋、マスク、メガネを装着し、肌に薬がかからないように装備して十分気をつけること
6.冷暗所で保管すること
■季節ごとのバラの病害虫
◆1~3月の病害虫
病気対策のカギは先手必勝!健康管理に気を配って
病気になってから手を打つより、予防に努めるのが大切。普段から最低限の健康管理に気を配ることで、健全な生育が期待できます。
マルチング材を毎年取りかえるのもそのための作業です。
また、新芽が5cmぐらいになったら、ウドンコ病対策として、市販の薬剤の予防散布をスタートさせます。
休眠期も、水やりは朝に行いましょう。特に、植えたばかりの頃は乾燥厳禁!
常に若干湿っているぐらいが理想です。
マルチング材の取りかえ時期です。
有機物素材を使用しているなら、古いマルチング材は捨てずに、そのまま土に漉き込んで。肥料だけでは補えない、栄養素を補給することができます。
漉き込む際に土を耕すことで、土中に空気を含ませることもでき一石二鳥。
有機物のマルチング材とは、バークチップ、敷きワラ、腐葉土など。
落葉した葉も使えますが、明らかに病気になっているものは取り除いて。
≪ バラ栽培これだけは ≫
一、 有機物のマルチング材を使用。
一、 古いマルチング材を土に漉き込む。
一、 新芽5cmでウドンコ病対策を開始。
◆4~6月の病害虫
病害虫も動き始める季節。早期の対策なら薬剤の量は激減!
葉は大事な栄養工場。病害虫対策は花を守るというより、この工場を守るためといっても過言ではありません。
気温や湿度が高くなってくると、虫や病気も本格的に活動し始めます。新芽が伸びてきたら対策を開始するのが得策です。
虫や病気の発生には理由があります。少ない薬剤で効果をあげるためにも、初心者が気軽にバラを咲かせる喜びを体験するためにも、このあたりの因果関係を知ってくと、思ったよりラクに対処できるものです。
4月に入ってまず注意したいのはウドンコ病。葉に白い粉をまぶしたようになる病気です。
重症になると、木の生長に影響するほどですが、早めに発見すれば、軽い対策で済みます。
初期段階なら白い部分をふきとってあげるだけでも効果大。菌は夜活動するので、治療は早朝または夕暮れに散布して。
トリフミンで予防、発病したら治療薬のミラネシンを混合して散布すると効果的です。
雨が多くなると黒点病(黒星病)の出番。雨水などの跳ね返りで、土の病原菌が葉に伝染して発生するからです。
最も有効な防除策は、地表をバークなどでマルチングすること。そして薬剤散布は雨が降る前に行いましょう。
予防ならダコニール、治療にはサプロールを散布。害虫は見つけしだい捕殺が鉄則。観察を怠らなければ、大量発生する前に退治できます。
茂みがあって大変な作業も、ねらいたい場所にピンポイントで散布できるよう、長い柄があるものを選ぶとよい。
虫や病気は葉の裏に発生することが多い。葉裏を重点的に散布すれば万全。
病害虫対策といえば、薬剤散布は欠かせません。
まったくの無農薬を目指す人もいますが、それでは咲かせる喜びを知る前に嫌になってしまうかも。
薬剤に頼るのではなく、賢く使いこなしてバラを守っていきましょう。タイミングや方法が減農薬のカギです。
また、朝の5分、様子を見てあげることも有効。
アブラムシも大量発生する前なら、ハケ一本で退治できるのですから。
≪ バラ栽培これだけは ≫
一、 病気の発生理由を知って、効果的な防除を。
一、 薬剤散布は葉の裏に集中的に。
一、 先手必勝! 朝5分の観察で早期発見に努める。
◆春・夏の害虫を知る
この季節になると、さまざまな害虫が動き出します。特有の害虫を知りましょう。
基本は、見つけしだい捕殺。大量発生する前に食い止めることができれば、被害は最小限で済みます。
春や秋の穏やかな気候が好きなウドンコ病や、雨水などの跳ね上がりから発生する黒点病が、目下の的です。
薬剤は、同じものを使用し続けると抵抗力がついてしまうため、2種類以上交互に使うのが理想。
知らない間にモスローズ
*アブラムシ
アブラムシ10匹くらいならハケで一掃。薬剤も不要で速効性も抜群。
「気持ち悪い」と言わず、ペンキ用のハケなど、やわらかい毛足のもので掃き、紙で受けて潰す。
花「咲かせぬ」じいさん
*バラゾウムシ(クロケシツブチョッキリ)
つぼみ・新芽を中心に打撃を与えるゾウムシ。
捕まえようとすると、すぐにコロンと落ちてしまうので、白い皿で受けると捕まえやすい。
その時、オイルを垂らしたり、湿らせたキッチンペーパーを敷くと、逃亡を防ぐのにより効果的。
葉っぱを丸刈り
*チュウレンジハバチ
黄色の体に黒い羽根の成虫自体は、そんなに大きな影響は及ぼさないが、幼虫には注意が必要。葉をきれいに丸坊主にしてしまう。
茎などにbのような卵を確認したら、幼虫に育つ前に針でつぶす。
幼虫は、見つけしだい捕殺を。幼虫はエアゾール式の殺虫剤でも簡単に退治できる。
*黒点病(黒星病)
土の病原菌が葉に伝染して起こる。
蒸散防止、保水に効果的なマルチング。地表を覆うようにバークやヤシ材を敷いて。
水やり時や雨のはね返りを防ぎ、黒点病(黒星病)の発生を抑える。
*ウドンコ病
葉が白い粉をまぶしたような状態になっていたら、ウドンコ病に感染している。
初期段階なら拭きとるだけで効果大。
◆7~9月の病害虫
日本の夏場の病害虫にご用心!ハダニと黒点病(黒星病)対策
葉が乾燥しがちなこの季節に増えるのがハダニです。
特にベランダで栽培している方は注意が必要。
ハダニは水を嫌うので発生しやすい葉の裏側を中心にシャワーをかけるだけでも予防できます。葉に黄変が現れてしまったらバロックを散布しましょう。
また、台風や夕立ちで激しく雨が降ると、土のはね返りから黒点病(黒星病)が発生しやすくなります。
薬剤の散布やマルチングで予防を。黒斑を発見したらサプロールを散布しましょう。
病害虫対策は予防あるのみ!
季節特有の発生しやすい病害虫を知っておけば大丈夫。
暑さが苦手なウドン粉病は、夏のピークを迎えるこの季節にはあまり発生しなくなります。
おもだった敵はハダニ&黒点病(黒星病)。予防・早期発見を目指し、対策に集中しましょう。
鉢に日光が当たるのを防ぐため、大きめの鉢にすっぽりと丸ごと入れてカバー代わりに。この作業だけでも鉢内部の温度は格段に下がる。
蒸散防止、保水に効果的なマルチング。地表を覆うようにバークやヤシ材を敷いて。水やり時や雨のはね返りを防ぎ、黒点病(黒星病)の発生を抑える。
虫や病気は葉の裏に発生することが多い。葉裏を重点的に散布すれば万全。
株元に穴があき、おがくずのようなものがモコモコと出ていたら、カミキリムシの幼虫が住み着いている証拠。
穴の中に殺虫剤をまくこと。夏に生まれて1年間住みつき、株が枯れてしまうことがあるため早期発見が求められる。
害虫を寄せつけにくくするには...?
あらかじめ、害虫を寄せつけない天然100%の植物保護液を散布しておきましょう。
ミミズやミツバチには害がないので安心。
◆10~12月の病害虫
戦いはすでに始まっている!今秋と来年の庭に思いを託す季節
秋の開花を楽しむ時期です。春と秋とで微妙にニュアンスが異なる花色を楽しみましょう。
そのためにも、病害対策をしっかりとしておくことが必要。夏の間に猛威をふるっていたハダニが姿を消し、秋は、夏の間休んでいたウドンコ病が活発になる時。
予防には、やはり葉の裏をシャワーで洗い流すのが一番です。万が一、イラストのような病気を発見したら、早期治療を施しましょう。
黒点病には、やはりマルチングが効果的。やがて来る冬の防寒対策も兼ねて、マルチングを施しましょう。おすすめのマルチング剤は、腐葉土やパークたい肥といった、土に還る天然素材のもの。逆におすすめできないのは、ビニールなど空気を通さない素材のものです。
黒点(黒星)病とベト病は、一見して区別がつきにくいですが、特徴は異なります。いずれも、見つけたら早期治療をし、黄変し始めたら葉をとり除きましょう。
水やりの回数は、休眠期に向けて3日に1回、5日に1回、1週間に1回と徐々に減らしていきます。日が高くなる前の朝のうちにあげるようにしましょう。
●秋冬の病気を知る
・黒星病
黒褐色の斑点。葉は次第に黄変していく。
・ウドンコ病
やわらかい部分に白い粉がふいたようになる。
・ベト病
葉脈に沿って赤紫色の斑点が出現する。
・サビ病
葉や枝にイボ状の斑点ができ、さびのように見える。
黒星病や秋になると発生するウドン粉病、昼が暖かくて夜が寒い初秋に出やすいベト病・サビ病などを予防しましょう。
ベト病と黒星病は特徴が似ていて見分けがつきにくい病気。
葉脈に沿って赤紫色の細いブチができるのがベト病でランダムに丸いブチができるのが黒星病。
ダコニールやマンネブダイセンなど適した薬剤を。
はじめてのバラ コラム一覧
Vol.3 バラの病害虫一覧