乳酸菌って何?
多く含まれる食品とおすすめの摂取方法を解説。
2023.03.23 UP
「2(にゅう)」「3(さん)」の語呂にちなみ、毎月23日と2月3日は乳酸菌の日。乳酸菌を含む商品をもっと知ってもらおうと、大手食品メーカーが制定しました。お腹の調子を整えるイメージがある乳酸菌ですが、「乳酸菌とは何なのか?」「どのような食品に多く含まれているのか?」など、乳酸菌にまつわる豆知識を日本サプリメント協会理事長を務める後藤典子さんに伺いました。
プロフィール
1.テキスト
『人間の腸内にはおよそ1,000種類、100兆個の細菌が生息しています。それらは「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3つに大きく分けられ、乳酸菌は善玉菌のひとつで、糖を食べて乳酸を作り、腸内の環境を整える働きをしています。
代表的な乳酸菌といえば、ビフィズス菌を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。ビフィズス菌も善玉菌のひとつで、広い意味では乳酸菌の仲間と言われていますが、ビフィズス菌と乳酸菌を現在では分けて考えるのが一般的です。乳酸菌は乳酸を作るのに対し、ビフィズス菌は乳酸と酢酸を作ります。また、乳酸菌は小腸、ビフィズス菌は大腸内を住処とし、乳酸菌は1億個〜1,000億個、ビフィズス菌は1兆個〜100兆個と数も大きく異なるのです。
乳酸菌の研究が本格的にスタートしたのは、1857年にフランスの細菌学者・パスツールが乳酸菌の働きを解明してからです。20世紀に入ってからは、ブルガリアを旅したロシアの微生物学者・メチニコフがヨーグルトと腸内環境の関係を唱え、ヨーロッパ全域にヨーグルトが広がるきっかけを作りました。
日本では、1971年に森永乳業が世界で初めてビフィズス菌を食品に応用することに成功し、ビフィズス菌入りヨーグルトを発売。 同年に明治乳業から国内初のプレーンヨーグルトも発売 されましたが、当時は「ヨーグルト=なんとなく体によいもの」くらいのイメージしかありませんでした。』
近年の日本では、乳酸菌研究に取り組む各メーカーが、自社開発の乳酸菌の名称や機能を商品に表示できるようになったことから、「ガセリ菌」「シロタ株」「LG21」といったさまざまな名称を耳にするようになっています。
2.テキスト
『乳酸菌を含む食品はヨーグルト以外にも、ぬか漬けや味噌、醤油、納豆のような発酵食品が挙げられます。特に、発酵中のぬか床1g中には約1億個の乳酸菌が含まれると言われており、ぬか漬けは注目の食品です。また、麹の量が多い白味噌はスプーン1杯にヨーグルト100g分の乳酸菌が含まれると言われています。
キムチやザーサイ、ピクルス、チーズ、バターなどの食品も乳酸菌を多く含みます。チーズやバターに生息する動物性の乳酸菌よりも、キムチやザーサイに生息する植物性の乳酸菌の方がさまざまな環境に対応できる耐性を持ち、胃酸に負けない細菌が多いと言われています。
身近な食品に含まれる乳酸菌は、朝お味噌汁を一杯飲んでぬか漬けを食べるだけでも十分に摂取できます。ヨーグルトで摂取するなら、乳酸菌のエサになる食物繊維やオリゴ糖と一緒に摂るのがおすすめです。私は、食物繊維とオリゴ糖を含有するきな粉をよく使いますが、はちみつとバナナ、あるいはドライフルーツなどでもおすすめです。
乳酸菌は摂取し過ぎたらダメということはなく、菌数でいうと特に上限は定められていません。ただ、ヨーグルトを食べれば糖分や脂肪分、ぬか漬けや味噌を食べれば塩分も同時に摂取することになるため、そういう意味で食べすぎるとカラダに悪い影響を与えてしまうことがあります。また、摂取した乳酸菌は腸の中にずっと住み続けているわけではないので、毎日継続してとることが大切なポイントです。』
乳酸菌を含む物を食べる際、「生きたまま腸に届く乳酸菌」でないとダメということもないそうです。胃酸に弱い乳酸菌もありますが、腸内で死んでしまっても他の細菌のエサになるため、いろいろな食事をバランスよく摂取することがカギのようです。
まとめ
ヨーグルトやチーズなどの酪農加工品に多く含まれるイメージがある乳酸菌ですが、実は味噌やキムチなどの日々の食卓に並ぶ食品からも摂取することができます。苦手な方は、サプリメントで摂る方法もあるので、積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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