世界を魅了する インドの手仕事
太古の昔から今なお続く、インドの“布づくり”。世界の至宝といえる美しい手仕事が誕生する現場に立ち会いました。
往古の皇妃が愛した典雅なイノセンス
白に白を刺す清楚な刺しゅうは、北部ラクナウー地方に伝わる“チカンカリ”。起源は7世紀にさかのぼると云われ、ムガル帝国の王妃も寵愛した古典手芸の代表格です。とても細い糸を使って蔓草や花のモチーフを表現した手刺しゅうは、間近で見ると息を呑むほど繊細。熟練の技術を駆使しても、一枚を完成させるのに1週間以上かかるのだとか。今号ではオーガンジーを使ってデコルテや袖口に華やぎが浮き立つ仕掛けに。カフタン風のシルエットだから、日常からラグジュアリーな場所まで幅広く着られる一着です。刺しゅう部分は、裏にシフォンを充てて透けを抑えたのも、清らかな美貌の理由に。
≫ POINT
前後差のある身頃は薄手のコットンリネン混素材。