日本全国で昔から親しまれているおせち料理ですが、いつ食べるのが良いとされているのでしょうか。お正月ではなく、大晦日から食べ始めても良いのか気になる人もいるでしょう。ここではおせち料理を食べ始めるのはいつなのかや、いつまでに食べるのかを説明します。

前提として、おせちを食べる日・タイミングは自由とされています。一般的におせちを食べるのは、お正月の朝や昼から夜にかけてが多いと言われていますが、大晦日にあたる12月31日から食べ始める地域もあります。地方・地域ごとのおせちに対する風習により、いつ食べ始めるかは時期が異なるようです。

従来のおせちは、季節の節目に食べられていた料理です。以前は上記の五節句に加えて1月1日のお正月に神様におせち料理を捧げて、その後にお下がりをいただく風習があったようです。五節句に食べる理由は神様との結びを強化し安泰を願うことでしたが、現在ではその風習がなくなりお正月に食べるおせちだけが残っています。

おせち料理は三が日と呼ばれる1月3日までに食べるのが一般的です。おせちは日持ちする料理が多いので、人の集まりが多くなる大晦日・お正月などに手軽に食事を用意できるうえ、洗い物などの手間を減らせます。また正月に料理をすると神様が怒るといった説もあり、日持ちするおせちを事前に作って三が日まで家事をしなくて済むようにしています。

また、三が日まで食べ続ける理由は、「火の神様である荒神様に正月は休んでもらう」という古来の伝承にも由来しています。これには、正月に火を使わないことで火事の発生を防ぐという意味もあったようです。また、料理をすると出る「灰汁」と「悪」をかけて、正月には料理をしない方が縁起が良いとされています。

おせち料理を食べ始める日は、地域によって違いがあるのでしょうか。ここでは、おせち料理を元旦に食べる地域と大晦日に食べる地域はどこなのかを紹介します。

主に関東・関西地方では、おせち料理は一般的に元旦の朝や昼から夜にかけて食べます。関東・関西地方では、お正月を迎えたことをおせち料理でお祝いするといった風習が根付いているようです。それぞれ元旦におせち料理を食べる地域ですが、地方によって具材や味付けなどが異なります。

関東では全体的に甘めの味付けが好まれており、茨城県の鮒の甘露煮や栃木県の水羊羹などが有名です。中には、群馬県の干し大根のなますのようなさっぱりした味わいが特徴的な具材もあります。一方、関西では、おせちの定番であるかまぼこに焼きかまぼこを使ったり、甘い味付けの黒豆を入れたりする特色があります。

北海道や東北、新潟などの一部地域では、おせちは大晦日の夜に食べる料理として定着しています。九州や四国の一部地域でも、北海道などと同様にお正月を迎えることを祝うために大晦日に食べる風習があります。北海道をはじめとする上記地方の一部地域は、おせちは大晦日に食べるものといった説が根付いており、年越しそばと一緒に食べるところもあるようです。

おせちを大晦日に食べる地域でも、お雑煮などの料理は元日に食べるようです。お雑煮は元日におせちと一緒に食べるのが一般的で、おせちを大晦日に食べる地域でもお雑煮の食べ始めは元日になります。また、おせちを大晦日に食べる北海道・東北地方ではおせちを夕方などの早い時間に済ませ、夜に年越しそばを食べて新年を迎えます。

おせちに入っている料理は、以下のようにそれぞれ日持ちする期間が異なります。

・黒豆：5日間
・筑前煮：3〜4日間
・田作り：10日間
・数の子：7日間
・栗きんとん：2〜4日間
・昆布巻き：7日間
・伊達巻き：7日間

おせち料理の中身はそれぞれ日持ち期間が異なりますが、中でも筑前煮は汁気が多いので長期間保存できないのが特徴です。水分を含む料理は、1日1回加熱して粗熱を取ってから食べると良いでしょう。おせちの中身は品数が多く、作るのに時間がかかるものもあるので、日持ち期間から逆算して食べる前日の夜までに完成させておくと安心です。

おせち料理はお正月に食べることが多いと言われていますが、基本的にいつ食べるのかタイミングは自由です。風習によっていつ食べるかは異なりますが、地方・地域ごとのタイミングに合わせて、おせち料理を食べて新年を迎えましょう。

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