くわいは、お正月以外ではあまり食べる機会のない野菜です。お正月のおせち料理にくわいを入れるのは、どのような意味や由来があるのでしょうか。ここでは、おせちにくわいを入れる意味や由来について解説します。

一般的に、くわいはめでたさや出世祈願を象徴しています。くわいの実には大きな芽が出るため、「芽出たい（めでたい）」の言葉を連想させる縁起が良い野菜です。そのほかには、空に向かって真っすぐに芽が伸びる様子が出世する人の姿に見えることから、立身出世の願いも込められています。

また、かつて昔の人は「か」を「くわ」と表記していたため、くわいを食べると「快（かい）」となり一年間を快く過ごせるようになるとも言われています。

そもそもくわいとはどのような野菜で、おせちに使われない地域もあるのでしょうか。ここではくわいの特徴や、お正月のおせちに入れるくわいの味付けの地域差のほか、くわいの種類について解説します。

くわいは、中国を原産地とする里芋に似たオモダカ科に属する野菜のことを指します。見た目は小さく丸い実に芽が生えており、この実の部分が里芋に似ています。くわいと里芋との違いは、色や皮・アクなどです。里芋の実は白っぽい色をしているのに対してくわいは青色を帯びた灰色をしており、里芋よりも皮が剥きにくくアクが強いのが特徴です。

くわいは関東・関西のいずれもおせちに使われていますが、地域によって味付けが異なります。国内でくわいの生産量が最も多いのは広島県であることから、くわいを煮付けた「くわい煮」は関西地方で有名な料理です。そのため、くわいは関西のおせちだけに入っていると誤解されることがありますが、実際は関東や東海のおせちにも使われています。

しかし、くわい料理は関東の人にとってまずいと感じることがあり、関西の人に好まれている傾向があります。おせち料理に入れるくわいは、関西では出汁が効いた薄味に、関東では濃い味付けで仕上げるのが特徴です。

くわいには、「青くわい・白くわい・吹田くわい」の3種類がありますが、一般的におせちには青くわいが使われています。青くわいは国内で最も流通数の多い種類のくわいで、白くわいと吹田くわいよりも柔らかく、食べると芋のようなホクホクとした食感があります。白くわいは中国では頻繁に食べられており、中華料理の食材として使われている品種です。

美味しいくわいの選び方は、芽が張っていて丸い実につやがあり、硬いかどうかを確認してみましょう。

くわいの煮物を作る時は、縁起の良い芽を取り除かずに残したままにします。くわいを六角形または八角形に成型するのは、万年生きると言われている亀をかたどって、「不老長寿」を祈願する意味があります。

くわいを煮込んでいる最中に苦味の元となるアクが出たら、おたまなどを使って取り除いてください。くわいの煮物を一度冷ますと、味がしっかりと染みて美味しくなります。くわいは煮崩れしにくい野菜ですが、煮込み過ぎると芽の部分が崩れてしまうため、加熱時間を守って作るようにしましょう。くちなしを使うと、鮮やかな黄色い色のくわいの煮物が作れます。

くわいは、お正月料理のおせちに入っている煮物以外で、どのような料理で食べられているのでしょうか。ここでは、煮物以外のくわい料理の作り方を3つ紹介します。くわいを使った中華料理も紹介するので、参考にしてください。

くわいの薄皮が取り除きにくい時は、包丁を使って剥いてください。くわいを水洗いした後に水分が残っていると、油で揚げた時にはねるので、実の水分をしっかりと拭き取っておくことがポイントです。

オイスターソースとごま油を使うことで、簡単に中華風の味付けに仕上がります。初めに豚肉の色が変わる程度まで加熱した後にくわいとピーマンを炒めると、豚肉を炒め過ぎて固くなるのを防ぐことができます。使う豚肉は、牛肉や鶏肉に代えて作っても構いません。

くわいを焼く時は、フライパンに蓋をして、弱火で実の中まで時間をかけて火を通すことがポイントです。フライパンにくわいを投入したら、均一に熱が行きわたるように、時々フライパンをゆすってください。

おせちにくわいを入れる際に、気になることがある人もいるでしょう。ここでは、お正月のおせちに入れるくわいに関するよくある疑問について、Q＆A形式で紹介します。

くわいは、おせちのお重の「与の重」にあたる四段目に入れるのが一般的です。ただし、地域や風習によって何段目に入れるかは異なる場合があります。

おせちの「一の重」と呼ばれる一段目には、祝い肴（いわいざかな）として、黒豆・田作り・数の子などの縁起物を入れます。二段目の「二の重」に詰める縁起の良い料理は、紅白なますや酢れんこんなどの酢の物、栗きんとんなどの口取り（くちとり）です。「三の重」は魚介類を使った焼き物で、タイやえびなどを入れます。「与の重」と呼ばれる四段目には煮しめを入れるため、くわいは煮物のひとつとして四段目に入れることが多いです。

加熱したくわいを食べると独特の苦味やえぐみを感じるため、子供からはまずいと言われることが多いようです。アク抜きをしても苦味が残る場合があり、苦手意識を感じている大人も多いです。一方で、ほろ苦い味わいやホクホクとした食感がクセになるといった意見もあり、お酒に合うおつまみとして食べられることもあります。

くわいは、おせちのお重の「与の重」にあたる四段目に入れるのが一般的です。ただし、地域や風習によって何段目に入れるかは異なる場合があります。

おせちの「一の重」と呼ばれる一段目には、祝い肴（いわいざかな）として、黒豆・田作り・数の子などの縁起物を入れます。二段目の「二の重」に詰める縁起の良い料理は、紅白なますや酢れんこんなどの酢の物、栗きんとんなどの口取り（くちとり）です。「三の重」は魚介類を使った焼き物で、タイやえびなどを入れます。「与の重」と呼ばれる四段目には煮しめを入れるため、くわいは煮物のひとつとして四段目に入れることが多いです。

お正月のおせちにくわいを入れるのは、「めでたい」の言葉が連想できる野菜であることと、「立身出世」の願いが込められているためです。おせち料理に縁起物であるくわいの煮物が入っていたら、くわいに込められた願いや意味を思い出しながら、美味しく食べましょう。

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