紅白かまぼこはおせち料理に欠かせない食材のひとつですが、紅白かまぼこを入れるのにはさまざまな意味や由来、願いが込められています。ここでは、お正月のおせち料理に紅白かまぼこを入れる意味や由来について解説します。

半月型のかまぼこは、日の出の様子に似ていることから「めでたさ」の象徴として、お正月のおせち料理に入れるようになりました。もともと、おせち料理には縁起の良い食べ物を入れる文化があります。水平線から太陽が昇る様子に似ている半月型のかまぼこは、縁起が良い食べ物として古くから祝い事に取り入れられてきたという歴史があります。

おせちに紅白かまぼこを入れるのには、色の種類によってそれぞれ以下のような意味があります。

・紅：福や魔除け
・白：清浄や神聖

かまぼこの「紅色」と「白色」には、それぞれ上記のような意味が込められています。紅色と白色の組み合わせは縁起が良くめでたいものとされており、紅白かまぼこのほか、紅白まんじゅうや紅白垂れ幕などにも用いられています。

市松模様の飾り切りは、かまぼこを切って並べ替えるだけで完成するため、誰でもすぐに作ることができます。市松模様は、上下左右に途切れることがないことから、「繁栄」や「発展」の意味が込められているようです。

かまぼこの表面に波のような模様ができる日の出の飾り切りは、簡単でありながらも見栄えが良くなる切り方です。お正月の光り輝く日の出を表現できることから、縁起が良いと言われています。

（左側が「松葉」の飾り切りです。）

松はお正月を代表する縁起物であるため、松葉の飾り切りをしたかまぼこも縁起が良いとされています。立体感が出る切り方のため、おせちのお重だけでなく、お盆やお皿などに盛り付ける時にもおすすめの切り方です。

竹に見立てたかまぼこは、松葉と同様に立体感のある飾り切りの方法です。竹は門松などのお正月飾りにも用いられる縁起物で、成長が早くまっすぐ伸びることから、「子孫繁栄」の意味をもつと言われています。

手綱の飾り切りは、上からの見た目が豪華な印象になるため、お重に詰めるおせちにもおすすめの切り方のひとつです。結び目があることから、お正月に食べることで「縁結び」や「家庭円満」に繋がるという意味が込められています。

干支の形のかまぼこは種類によってさまざまな作り方がありますが、クッキー型を使うことで簡単にお正月のおせちを彩ることができます。干支は新年の縁起物であるため、「よりよい1年を過ごせるように」という願いを込めて取り入れたい飾り切りのひとつです。

（中央が「あやめ」の飾り切りです。）

一見難しく見えるあやめですが、かまぼこの形を整えながら折り込むだけで簡単におせちを華やかに演出できます。折り込み部分に豆類やいくらを入れると、お正月を彩る豪華な仕上がりになります。

もう少し豪華に見せるには、白いかまぼこを3ｍｍ幅に切り、中央に切り込みを入れて開いて、そこに紅い薔薇のかまぼこを差し込むと良いでしょう。この方法であれば、爪楊枝を使わなくても薔薇のきれいな形を保つことができます。さらに、葉に見立てたきゅうり、またはきぬさを両端に差し込むと、より雰囲気が良くなります。紅白の色合いを生かした薔薇のかまぼこは、おせちを華やかに演出してくれるでしょう。

菊の飾り切りは、紅白どちらのかまぼこでもきれいに仕上がります。華やかな印象のため、お重に彩りをプラスするのにも最適な飾り切りです。また、菊には「邪気を払う」力があるとされており、縁起のよいモチーフとも言えます。

おせちを可愛らしく彩るハート型のかまぼこは、お正月だけでなく、普段の食卓やお弁当にもおすすめの飾り切りです。子どもにも人気の飾り切りで、爪楊枝やピックに刺してあるため食べやすいというメリットもあります。中央に切り込みを入れる際は、切り離さないよう注意しましょう。

（手前が「結び」の飾り切りです。）

結びの飾り切りは、かまぼこが切れてしまわないよう優しく作るようにしましょう。結びかまぼこには「良縁」の願いが込められており、おせち料理のほか、お雑煮やお吸い物に入れるのもおすすめです。

1.板から外したかまぼこを12mmの厚さに切る
2.かまぼこのピンクの部分を皮を剥くように2/3くらいまで切る
3.2で切ったピンクの部分の端を1cm程度切り落とす
4.ピンクの部分を縦に二等分するように切り込みを入れる
5.内側に丸めて、うさぎの耳を作る
6.細いストローで、うさぎの目の部分に穴を開ける
7.3で余ったピンクの部分で目を作り、6の穴に入れたら完成

うさぎの飾り切りは、紅白かまぼこの色合いを生かして作ることができます。うさぎは飛び跳ねることから、「飛躍」の意味も込められた縁起物です。一見難しく見えますが、一度覚えてしまえば短時間で仕上げることができます。

孔雀が羽根を広げた時のような華やかな飾り切りは、お正月のおせち料理に最適です。孔雀には「邪気を払う」「子孫繁栄」などの願いも込められています。細かい部分は、爪楊枝や竹串を使うと折り込みやすくなるため、一度チャレンジしてみてください。

（中央が「鶴」の飾り切りです。）

1.板から外したかまぼこを7mmの厚さに切る
2.かまぼこの下部が上になるように寝かせ、左半分に2mm幅の縦の切り込みを入れる
3.右半分に2mm幅の横の切り込みを入れる
4.左半分は中心から左に、右半分は中心から右に向かって一つずつ折り込んだら完成

鶴はかまぼこの飾り切りのなかでも上級レベルですが、ひとつあるだけで、まるで料亭のおせちのような仕上がりになります。鶴は「長寿」の意味がある縁起物であるため、お正月のおせちにも健康への願いを込めて取り入れたいモチーフです。

存在感のある王冠の飾り切りは、お正月のおせちを豪華に演出してくれます。豪華な見た目ですが、工程はそれほど多くないため、一度はチャレンジしてみたいかまぼこの上級飾り切りです。

おせち料理には、具材ごとに正しい盛り付け方や入れ方のルールがあります。ここでは、かまぼこの正しい盛り付け方を紹介するので、参考にしてください。

おせちのお重が三段の場合、かまぼこは祝い肴（いわいざかな）や口取り（くちとり）と一緒に、一番上の段の「一の重」に詰めると決まっています。祝い肴や口取りは、酒の肴のことを指しており、祝いの場にふさわしい縁起物を中心に詰めるのがルールです。かまぼこは日の出に似た形とめでたい紅白の色から、一の重を彩る縁起物として欠かせない具材となっています。

かまぼこをお重に詰めるときは、「左側に白、右側に紅色」のかまぼこを入れます。これは、華やかなものを右側に置く「右紅左白（うこうさはく）」という古くからの慣習によるものです。おせちのかまぼこを盛り付ける時は、色の並べ方にも気を付けましょう。

三段重の場合の「一の重」には、かまぼこ以外にも複数の具材を盛り付けるため、仕切りを活用するのがおすすめです。仕切りを使うことで、各食材を美しく詰めることができるほか、ほかの具材に味や香りが移るのを防げるというメリットもあります。汁気のある料理には、柚子釜や竹筒などの飾り小物を仕切りとして使用することで、よりおせちを豪華に演出できます。

かまぼこはおせち料理に欠かせない具材ですが、余ってしまうこともあるでしょう。ここでは、かまぼこが余った場合の対処法について紹介します。

おせちのかまぼこが余ったときは、アレンジレシピを作るのがおすすめです。細切りにしたかまぼこを卵焼きに加えたり、パン粉を付けてフライにしたりすると、おせちのかまぼことはひと味違ったおいしさが楽しめます。

また、関西地方にはかまぼこなどの練り物を卵でとじた「木の葉丼」というメニューがあります。シンプルながらもかまぼこの旨味が感じられる1品のため、かまぼこが余った時にはぜひ作ってみてください。

かまぼこを冷凍する際は、あらかじめ小分けにして冷凍しましょう。解凍する際は自然解凍せず、凍ったまま加熱することでおいしく食べられます。一度冷凍したかまぼこは水分が出やすく、食感が悪くなりやすいため、煮物やうどんなど水分を補う調理法で食べるのがポイントです。

おせち料理にはかまぼこ以外にもさまざまな具材が入っており、それぞれに異なる意味や願いが込められています。ここでは、さまざまな願いが込められた代表的なおせちの具材を紹介します。

・伊達巻
・紅白なます
・栗きんとん
・えび
・黒豆
・数の子

おせち料理は、新しい1年をより豊かにするための特別な料理として、各具材にさまざまな意味や願いが込められています。伊達巻きは、「学業成就」や「子孫繁栄」を願って食べます。紅白なますは、にんじんと大根を紅色と白色の水引きに見立てた料理で、「家族の平和」を祈願する縁起物です。

栗きんとんは「お金が貯まるように」との願いが、えびには「長寿」の願いが込められており、えびの赤色は「魔除け」になると言われています。黒豆のには「まめに暮らせるように」との意味があり、数の子は「子孫繁栄」を祈願して食べられています。

お正月のおせち料理の紅白かまぼこは、日の出の様子に似た縁起の良い食べ物として、「良い1年を過ごせるように」という願いが込められています。この記事で紹介した紅白かまぼこの意味や飾り切りの方法なども参考に、おせち料理には紅白かまぼこも取り入れてみてください。

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おせち料理の意味や歴史、由来について

おせち料理の食材・具材の種類について

おせち料理はいつ食べる？

多くの家庭では、おせち料理は元旦の朝に食べるのが一般的でしょう。
このタイミングは、一年の始まりをともに祝うための重要な時間でもあります。
新年の朝に家族全員が揃って食事をすることで、家族の絆を深めるだけでなく、健やかな一年の始まりを共に祝うことができることも理由として挙げられます。

おせち料理は元旦だけでなく、三が日（1月1日から3日まで）を通じて少しずつ食べることも特徴として挙げられます。
この期間中は、家事を休み、作り置きしておいたおせち料理を楽しむことできるメリットとして、新年の最初の三日間を祝うとともに、過去一年の労をねぎらい、しばしの休息を取ることができます。
また、おせち料理は保存が効くように作られているため、三が日にわたって楽しむこともできます。
食べきれない料理は、フリーザーバッグや保存容器を使用して無駄なく保存しましょう。

現代では、元旦の前日におせちを楽しむ家庭も増えています。家族が集まりやすいタイミングで楽しむのが良いと言えるでしょう。

おせち料理が日持ちする期間

おせち料理の地域別の特色について

全体的に甘口で、保存が効くようにしっかりした味付けが多い。
数の子や紅白なますなど、見た目にも鮮やかな料理が多く使用されます。

関東と違って、栗きんとんの代わりに「えびす（エビ）」や「鰤（ブリ）」が使われることがあります。
関東よりも味が控えめで、素材の風味を活かした料理が多く、豊かな自然や海産物が豊富なため、海の幸も多く用いられます。

海産物が豊富で、豪華な魚介類が多く用いられます。
寒冷な気候を反映し、保存食や発酵食材を用いた料理が見られる地域もあります。

海の幸と山の幸のバランスが取れたおせち料理が特徴。
地元の名物や特産品を活かした独自の味付けや材料が多い。

西京漬けなどの白味噌を使った料理も見られます。
地元の山の幸と、瀬戸内海の海産物が豊富に用いられる地域も見られます。

甘い味付けが特徴的で、味噌や砂糖を多用する地域が見られます。
稲作が盛んな地域なので、米やもちなども多く使われます。

豚肉が多く使われ、健康を願う意味が込められています。
島特有の野菜や食材を使い、軽めの味付けも沖縄地方ならではの魅力です。

おせち料理の盛り付け方について