お正月を迎えて新年を祝うおせち料理ですが、中身に入っている黒豆はどういった意味・願い・由来がある縁起物なのでしょうか。ここでは、黒豆を食べる2つの意味を説明します。

お正月を祝うおせち料理の黒豆には、「無病息災・まめに生きる」といった意味があります。黒豆の「まめ」という言葉には丈夫・元気・健康といった意味合いがあり、「まめに仕事をし、まめに生活を送れるように」といった無病息災の願いが込められています。また黒豆のふっくらとした丸い形は太陽を表していると言われ、「日に焼ける程まめに元気で働けるように」という願いもあるようです。

地方によっては、わざと豆にシワができるように煮て、ふっくらとした形にはしないところもあります。これには長寿を願って「シワが寄るまで長生きできるように」という意味が込められているため、縁起が良いことには変わりありません。

「無病息災・まめに生きる」といった意味の他に、黒豆には「邪気を払う」といった意味もあります。黒豆の黒は「魔除け・悪気を祓う色」と言われていることから、黒豆には厄除けの効果があるとされています。黒豆には、「新しく迎える1年の邪気・厄を祓い、元気で健康に働けるように」との願いが込められている食材です。

お正月のおせち料理に入れる黒豆は、煮方次第で以下のように意味合いが変わります。

・関東地方：シワが寄るまで元気・健康に働けるようにといった願い
・関西地方：いつまでも健康に若々しく艶やかにといった願い

関東地方の黒豆の願いには、「シワが出るまで元気に長生きできるように」との理由があります。一方、関西地方の願いである、シワがなく健康で艶やかな様子は「不老長寿」を象徴しています。黒豆は、江戸時代の1830年ごろにはお正月のおせちに入れられていたようです。長い歴史のある黒豆は、新年を迎える有名な縁起物として「祝い肴三種」の一つとされていますが、前述したように地方によって、煮方・願いに違いがあります。

お正月を祝うおせち料理に入れる黒豆は、どのような手順で作れば良いのでしょうか。ここでは関東・関西地方別の黒豆の作り方や、美味しく作るコツを紹介します。

上記の材料・作り方で、関東地方のシワあり黒豆を作ることができます。関東地方のシワあり黒豆は、少し固めで食べ応えがあるのが特徴です。一晩経った黒豆を煮る際、強火だと皮が破れやすいので必ず弱火にしましょう。煮込んでいる最中に黒豆が顔を出しても大丈夫です。空気に触れさせて煮ることでシワができやすくなります。また、みりんを入れることもシワができやすくなります。

関西地方のシワなしの黒豆を作るには、豆がしっかり煮汁に浸かった状態を維持しながら煮ることが大切なので、煮汁から黒豆が顔を出さないように水分量には気をつけましょう。また、黒豆を艶やかにするにはさび釘を入れます。材料にさび釘を足すだけなので簡単です。黒豆をさび釘と一緒に煮て鉄分を得ることで、黒豆の黒い色素を溶けにくくし、照りのある色に仕上げます。五寸釘であれば3本、小さい釘なら10本を目安に入れましょう。釘を入れることに抵抗がある人は、料理小物である鉄玉子を使用するのがおすすめです。

黒豆を失敗せずに美味しく作るには、以下のような煮方・コツを意識してみましょう。

・極弱火で長時間煮る
・前日に煮汁を作って黒豆をつけておく
・鉄分を加えて彩り良く仕上げる

黒豆は極弱火で長時間煮込むことで味が染み込みますが、煮込み始めて最初の1時間程度はアクが出やすいので取り除きましょう。長時間煮込む黒豆は、前日から煮汁につけておくと浸透圧が小さくなり、豆がゆっくりと膨らむので皮が破れにくくなります。また黒豆の色素と鉄分が結合すると色が落ちにくくなるので、鉄分を加えて黒色を引き立たせると良いでしょう。

おせち料理に入っている黒豆は、重箱の何段目に詰めるべき食材なのでしょうか。また、日持ちや賞味期限なども気になります。ここでは、おせち料理の黒豆に関する疑問点を5つ紹介します。

おせちの黒豆は重箱の「一段目」に入ります。一段目にはお正月を祝う「祝い肴（いわいざかな）」と呼ばれる三品が入り、黒豆の他に、数の子や田作り（関西ではたたきごぼう）を詰めます。一段目に黒豆をはじめとする祝い肴のほかに、おせち料理を何品か盛り付ける際は、同系色のものを近くに置かないようにすると見栄えが良くなります。それでも配色が暗くなるようなら、シダ・松の葉などの葉物をあしらったり、小鉢や飾り串を使うなど、色鮮やかな小物などを近くに取り入れてみましょう。

黒豆は冷蔵保存で約5日、冷凍保存で約1か月間日持ちする食材です。常温で保存をすると傷みやすくなり賞味期限がより短くなるので、必ず冷蔵・冷凍保存するようにしてください。なお黒豆を冷蔵保存する場合は煮汁ごと容器に入れ、途中で再度加熱をして火入れすると約7日間程保存することも可能です。

おせちの黒豆は、一般的に歳の数だけ食べる料理ではありません。しかし島根県と石川県の一部では歳の数だけ黒豆を食べるところもあり、地域・地方によって異なる場合があります。歳の数だけ食べる地域・地方では、節分に歳の数だけ豆を食べるといった風習が、お正月のおせち料理にも伝わっているようです。

おせち料理の黒豆には、以下のような栄養素が含まれています。

・たんぱく質
・ポリフェノール
・食物繊維
・ミネラル
・ビタミンB1
・ビタミンB2

黒豆は特に、良質なたんぱく質とポリフェノールを多く含む食材です。その他さまざまな栄養素が含まれているので、おせちとしての黒豆だけでなく、普段の暮らしの中で黒豆茶や黒豆スイーツなどで取り入れるのもおすすめです。

黒豆は兵庫県丹波地方を中心に西日本で多く栽培されていますが、中でも丹波篠山の黒豆が有名だと言われています。丹波篠山の「丹波黒」という黒豆は、世界でも大きな極大粒サイズで、皮が破れにくく黒色の艶が鮮やかなのが特徴です。丹波篠山の黒豆は、独特な芳醇さと深みのある旨味を味わえます。

おせち料理には黒豆をはじめ、以下のような料理が詰められています。

・数の子
・田作り
・栗きんとん
・えび
・伊達巻き

おせち料理の数の子や田作りは、祝いの場にふさわしい酒の肴であり、子孫繁栄・五穀豊穣といった意味があります。「口取り」と呼ばれ、箸休めの役目がある栗きんとんや伊達巻きには、金運上昇や学業成就との願いが込められているようです。また、おせち料理に華やかな色合いを添える海鮮のえびは、長寿の象徴とされており、元気に健康で長生きできるように、といった意味があります。

おせちの一段目に入れられる黒豆には、無病息災や邪気を払うといった意味が込められています。これらは黒豆の「まめ」が意味する健康や元気、魔除けの色と呼ばれる黒色からきているとされています。お正月のおせちで良質なたんぱく質などの栄養素を豊富に含む黒豆を食べて、元気で健康な身体を作りましょう。

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おせち料理の意味や歴史、由来について

おせち料理の食材・具材の種類について

おせち料理はいつ食べる？

多くの家庭では、おせち料理は元旦の朝に食べるのが一般的でしょう。
このタイミングは、一年の始まりをともに祝うための重要な時間でもあります。
新年の朝に家族全員が揃って食事をすることで、家族の絆を深めるだけでなく、健やかな一年の始まりを共に祝うことができることも理由として挙げられます。

おせち料理は元旦だけでなく、三が日（1月1日から3日まで）を通じて少しずつ食べることも特徴として挙げられます。
この期間中は、家事を休み、作り置きしておいたおせち料理を楽しむことできるメリットとして、新年の最初の三日間を祝うとともに、過去一年の労をねぎらい、しばしの休息を取ることができます。
また、おせち料理は保存が効くように作られているため、三が日にわたって楽しむこともできます。
食べきれない料理は、フリーザーバッグや保存容器を使用して無駄なく保存しましょう。

現代では、元旦の前日におせちを楽しむ家庭も増えています。家族が集まりやすいタイミングで楽しむのが良いと言えるでしょう。

おせち料理が日持ちする期間

おせち料理の地域別の特色について

全体的に甘口で、保存が効くようにしっかりした味付けが多い。
数の子や紅白なますなど、見た目にも鮮やかな料理が多く使用されます。

関東と違って、栗きんとんの代わりに「えびす（エビ）」や「鰤（ブリ）」が使われることがあります。
関東よりも味が控えめで、素材の風味を活かした料理が多く、豊かな自然や海産物が豊富なため、海の幸も多く用いられます。

海産物が豊富で、豪華な魚介類が多く用いられます。
寒冷な気候を反映し、保存食や発酵食材を用いた料理が見られる地域もあります。

海の幸と山の幸のバランスが取れたおせち料理が特徴。
地元の名物や特産品を活かした独自の味付けや材料が多い。

西京漬けなどの白味噌を使った料理も見られます。
地元の山の幸と、瀬戸内海の海産物が豊富に用いられる地域も見られます。

甘い味付けが特徴的で、味噌や砂糖を多用する地域が見られます。
稲作が盛んな地域なので、米やもちなども多く使われます。

豚肉が多く使われ、健康を願う意味が込められています。
島特有の野菜や食材を使い、軽めの味付けも沖縄地方ならではの魅力です。

おせち料理の盛り付け方について