お庭からベランダ、エクステリアなどガーデニング回りをスタイリッシュに演出

 

専門家吉谷桂子のガーデンダイアリー ~花と緑と豊かに暮らすガーデニング手帖~

いよいよ春?と思いきや。ですが、春は目の前!!!

吉谷桂子

温暖化と言われて久しく、この冬も暖冬だったと、口々に各種業界の皆が口を揃えていますが

園芸の業界、ガーデニングの世界では、なかなかに....それが...思うように....いかないので

どうしたら、思ったように植物が育てられるのか。その点に苦慮しています。

東京では今朝がた雪が降って我が家の周囲につもりました。

いろいろな地域で異なる様々なこと。起きていると思います。

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先日は、浜松市の「はままつフラワーパーク」へ。 お天気が悪いとはいえ今はまだ寒かったり

雨が降ってくれたほうがホッとするようなところがあります。

私はこちらの庭に関わって今年で10年目を迎えます。

今から10年前に完成したスマイルガーデンでは、新たにこんな感じに、ヨシヤオリジナルのサインを

デザインいたしました。地元のアイアンクラフトマン、じんぱちさんに作っていただきました。

いい感じに作ってくれるクラフトマンがいるのもありがたいことです。

来月末にはここに、世界でも珍しいとわりに大型の白フジが咲きます!!!

そうしたら絵になるフォトスポットになるかしら。 まさにガーデニングの仕事は、

次の季節〜次の季節を想像しながら、創造+想像の賜物。

現実になったときの喜びは大きいものですが、予測できない天候の関係から

思い通りにいかないことも多いので、実にこれから春と言う今の季節は、

なんとなくいつもドキドキハラハラしています。

さて、10年前のスマイルガーデンに始まって、白藤のパラソル仕立てを中心にホワイトガーデン。

そして一昨年前からは、今年開催の浜名湖花博2024のため、新たに庭を2つ、デザインしました。

メインで大きく作ったのがフラワーフォレストと言う名前のしだれ桜を中心にした「花の森」です。

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こちらも アイアンのサイン入り!

華やかさの演出のためにはもちろん、一年草や季節を彩る宿根草もたくさん使っているのですが、

今回新たに作った庭は花の咲く樹木をメインに、灌木類にも注目して多様な品種を植えています。

私自身が数年後。たとえばあと10年後は、このガーデンに来られなくなっていても。庭の基本が残っていくような。

また温暖化に対する持続可能な庭のあり方を模索する上でも、植物たちが元気に生き延びて庭という

景色を形成していける植物と構造のセレクトをしました。

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さて...。 今最も心配なのが暖冬だったせいで、こうしたチューリップのような球根は

寒さに当たらないと開花できない、休眠打破、目覚めないかもしれないと言う問題です。

上の写真は、 去年の4月7日の写真です。本来は桜と同時の開花を予定して、 チューリップには

早咲き、中咲き、遅咲きがあるので、主に中咲き選んだのですが、桜の頃はまだそれほど咲かず

桜とチューリップの同時開花を狙うには、早咲きのチューリップを入れなければいけないと言う結論に至っています。

開花時期と色の出方を計算に入れて、植栽設計するのはなかなか大変なことなのですが

気温の集積で開花するサクラと地温に影響されて咲くチューリップがズレるようになったのが要因のようです。

冒頭で、寒くて雨が降っていると、ほっとすると書いたのはそのためです。

夏はからりと乾燥し、秋から春までは曇りがちで低い気温、雨の多い オランダやイギリス、そして日本の

北陸の天候は、チューリップ栽培に適しているといえそうです。でも、暖かい日々の続く

温暖な地域では目覚めない球根が増えています。以前 私の庭でも、そんなことが起きました。

春になっても、うんともすんともなので、掘り出してみたら、植えたときのまま鎮座してました。

お値段の高かった大型のフリチラリア。

例えばずっと以前に植栽計画で関わった台湾では、温暖な低地、台北の街中では、

水仙やチューリップは咲かないことを知って、現地の方がチューリップを非常に希少な花と

捉えていたので、冷蔵庫で寒さに一旦あてた品種ならと。

ただし、毎年冷蔵庫というわけにもいかず、一度だけ咲かせるのは悲しくてできませんでした。

きっと沖縄でも同じですね。

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さて、 早咲きのチューリップ。クリスマスドリームがこの看板の右側に咲いています。

現在スマイルガーデンの植栽管理ヘッドガーデナーの小澤さんによると、この図表の中でクリスマスドリームに始まって左から早咲きの品種、一番最後にメントンが咲くとのことですが、早咲きの品種の方が確実に早めに咲くので、休眠打破も確実なようなのでした。

これからは、遅咲きのチューリップを植えるのはリスクかもしれないと思った次第です。

毎年のお決まりのムードで元気に咲く花があるとすれば、それは Climate Changeに勝てる植物かもしれません。

この春はそれを注意深く見ていきましょう。

(早咲きは確実に咲く傾向とか)目覚めないチューリップ。腐るかじっとしているか。嗚呼...。


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吉谷桂子

英国園芸研究家、ガーデン&プロダクトデザイナー。7年間英国に在住した経験を生かしたガーデンライフを提案。さまざまなイベントや雑誌などに出演するほか講師を務め、著書も多数。また国際バラとガーデニングショウやレストランなどの植栽デザインを担当。2013年春にファッションブランド「Shade」を立ち上げた。


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