難易度★

トウガラシは、ナス科トウガラシ属の野菜の一種です。同じトウガラシ属の仲間として広義にはパプリカやピーマン、シシトウなども含まれますが、辛味があり、香辛料として使用する鷹の爪などの小さな果実タイプを、一般的にはトウガラシとして扱っています。ただし、日本で独自に進化した甘味種の万願寺とうがらしや沖縄の島とうがらし、メキシコのハバネロやハラペーニョなどの海外の品種も、トウガラシとして認知され、昨今栽培用苗も比較的手に入りやすくなっています。日本ではどれも一年草として扱われますが、熱帯地域では多年草です。種から栽培する場合、発芽温度、育成温度共に高めなので、５〜６月に苗の植え付けをするためには、寒い時期に暖かい環境を作って種まき、育苗を行う必要があります。ですので、園芸初心者は苗からの栽培が簡単でおすすめです。トマトやナス、ピーマン、じゃがいもと同じナス科の野菜で、連作を嫌います。同じナス科を育てた場所には植えずに３〜４年は間隔をあけるようにします。５月以降に植え付け、６月ごろから花が咲きはじめます。その後夏から初秋にかけて次々と実をならせます。

中南米原産の野菜だけあり、生育初期の低温にはとても弱い性質があります。植え付けは、しっかり温度の上がった５月中旬以降に行えば、その後の栽培は比較的簡単です。畑で栽培する場合は、あらかじめ堆肥と苦土石灰、緩効性肥料を畝にすき込んでおきます。地温を上げるために黒マルチを張ってあげると、雑草防止にもなりおすすめです。畝は７０センチ程を確保し、株間は１５〜２０センチ程あけます。もちろんベランダなどでのプランター栽培も可能です。その場合、８〜１０号（φ２４〜３０センチ）の丸鉢に１株、もしくは長方形プランターであれば６０センチの鉢に２株を植えます。土は野菜用の土を使います。植え付け後、苗が風で揺さぶられないよう、初期の生育を良くするためにも仮支柱を立て誘引します。最初の整枝までの間は細い支柱を斜めにさして、苗を結いて固定します。乾燥と泥はね防止として、ワラ素材などでマルチングをします。

鷹の爪など、実が上を向いてつく実の小さなタイプは、整枝をせずにそのまま育てて問題ありません。ですが、万願寺トウガラシや伏見トウガラシなどやや大きめの実が下を向いてつくものは、効率的にたくさん収穫するために整枝・芽かき作業が必要です。植え付け後、一番花が咲いたら、この作業を行います。一番花のすぐ下についている側枝、それより上についている枝を残し、それより下についている脇芽（葉の付け根に出ている新芽）を全て摘み取ります。これを芽かきと言います。また最初の一番花も、株の成長を優先して摘み取ります。支柱は仮支柱を取り外して、１m以上ある長い支柱をまっすぐ、苗の横に立てて茎と誘引して補強します。

辛味成分カプサイシン。この成分は、トウガラシの生育過程でストレスが多くかかると増える傾向があります。例えば肥料不足や水不足も、辛くなる原因の１つ。せっかく辛味の少ない甘味のある品種だったとしても、そのようなストレスがかかる事で辛味が増します。特にトウガラシは根っこを浅く張る植物なので、水切れしないように注意します。地植えは乾燥防止でマルチングをして乾燥を防いであげましょう。プランター栽培は特に水切れしないよう、乾いたら水をたっぷりあげます。最初の追肥は果実がつきはじめてから、その後は２〜３週間おきに追肥を行います。

新芽にアブラムシ、乾燥するとハダニの被害にあいやすくなります。アブラムシは爆発的に増えるので、見つけ次第取り除きます。またベランダなど雨水がかからない場所ではハダニが発生しやすいので、時々シャワー状の水を株全体にかけて予防します。アブラムシは肥料成分が多すぎても発生しやすくなるので、追肥をあげる際、適量を守るようにします。タバコガの幼虫が実に穴を開けて侵入する事があります。穴のあいた実を見つけたら被害が広がらないよう、取り除きます。育てる場所の水はけが悪く、高温が続くと突然株が萎れたたようになる青枯病にかかる事があります。こうなるとその株は復活はできないので、伝染しないように株ごと抜き取ります。こうならないためにも、ナス科を連作せず、水はけよく育てる事が大事です。

青い未熟な果実を青唐辛子として、熟した赤い果実を赤唐辛子として収穫ができます。青いトウガラシを収穫する場合、実をハサミで切って収穫します。ですが、完熟した赤いトウガラシを収穫する場合は、全ての実が赤く色が変わってから、株ごと引き抜き収穫します。その後、枝を逆さにして涼しい風通しの良い日陰でしっかり乾燥させます。数が少ないようであれば、果実だけを取って乾燥ネットなどに果実だけを並べて乾燥させます。

実を収穫するトウガラシの他にも、観賞用トウガラシがあります。これはおしゃれな紫のカラーリーフや、斑入り葉品種もあります。実の色も赤や黄色、紫などカラフルで花壇や寄せ植えのアクセントになります。大抵夏の終わりから秋の始まりの頃、これらの観賞用トウガラシが出回ります。お庭の彩りとして、この観賞用トウガラシはおすすめの植物です。ただし、これらはあくまでも観賞用で、成長過程で薬剤などをかけている可能性があります。果実を収穫するのは避けて、見て楽しむだけにしましょう。

まずは、日当たりの良い場所で、８〜１０号の鉢に１株で、野菜用の土を入れて育ててみてください。鉢が小さすぎたり、日当たりが悪かったりすると、やはり育ちも良くありません。肥料を全くあげなくても育ちが良くありません。その反対も然り、窒素分（N）の肥料をあげすぎて葉ばかり茂る事もあります。実際、肥料は少なすぎてもあり過ぎても良くありません。ナス科の植物なので、同じくナス科を育てた後の同じ土で育てると、生育が悪かったり、病害虫の被害も増えたります。思いあたる原因はありましたか？

様々な品種があり、それによって利用の仕方も違ってくるトウガラシ。色々な品種を育て味比べをしても楽しいし、未熟な果実を収穫する用と熟した果実を収穫する用など用途別にいくつか育てても良いですね。

青唐辛子として収穫し、ゆずの皮とミックスすれば自家製柚子胡椒を楽しめますし、熟した赤唐辛子は乾燥させて細かく挽いて、一味唐辛子を作っても良いですね。また、葉っぱを葉トウガラシの佃煮や炒め物として楽しむ事もできます。ただし、調理するとき、特に辛味の強い品種は素手で作業すると、手がヒリヒリして大変な思いをする事になります。そのような品種を調理する場合、必ずビニール手袋をして刻みましょう。