難易度★

ニンニクは25度以上の環境で休眠状態になり、その後涼しくなる事で休眠から目覚めて芽を出し始めます。さらに寒い冬の環境を経て球根を太らせ、翌年の初夏に収穫をします。9〜10月に植え付けてから、収穫する6月まで、ほぼ8〜9ヶ月もの長い栽培期間を必要とします。ですが、真冬の期間は休眠期間という事もあり、常に作業を必要とする野菜ではないので、実際はそれほど手間はかかりません。日当たり、水はけの良い環境で栽培します。植え付け後、芽が出て冬を越し、春から初夏にかけて球根が肥大して、夏前までに収穫します。

暑さがしっかり落ち着いた9〜10月が植え付け適期です。寒冷地は9月下旬から10月初旬までに、暖地はしっかり涼しくなる10月半ばから後半に植え付けを行います。その1ヶ月前までに土づくりをしておきます。家庭菜園のような畑の場合は、晩夏まで楽しんだ野菜を片付けて、完熟堆肥、緩効性肥料、苦土石灰を必要量すき込んで耕しておきます。鉢植えの場合は培養土や野菜用の土（肥料入り）を用意しておきます。植え時になったら、畝を立てて、雑草防止と春先の地温保持のために黒マルチを張っておくと、その後の管理も楽です。　次にお住まい環境にあったニンニクの種球を用意し、りん片を1つずつにバラしておきます。粒が大きく、傷んだりカビたりしていない粒を選別しておきます。植え付けは種球の尖っている方を上に向けて、1つずつ土に植え込み、5〜7センチほど土をかぶせます。株間は15センチを確保します。マルチを使う場合は、15センチ間隔に穴の開いた黒マルチを使います。（ただしジャンボニンニクを植える場合は20センチ以上は株間を取ります）プランター栽培の場合は、特に深いタイプを特別に用意しなくても20センチほどの深さが確保されていれば、問題ありません。

秋に植えたニンニクは1ヶ月もしないうちに芽を出します。中には2本芽を出すものもあります。その場合、今後の成長を考えて、脇芽を抜くのがオススメです。通常葉が3枚程出た時に、脇から出てきる小さな芽を引き抜きます。もう片方が合わせて抜けてしまわないように、残す方の根元をしっかりと押さえて、もう1本を引き抜きます。できればこの芽かき作業は冬に入る前に済ませておきましょう。

暖地系は植え付け後、12月に一度追肥をします。寒地系は冬の期間雪などで覆われてしまうので、そのまま何もしません。ですので、寒地系を栽培する場合は、元肥をしっかり施すのを忘れないようにしましょう。その後春の4月頃、温度と共に芽が伸びてくるタイミングで、再度追肥を行います。この時期の追肥は球根が肥大するための大切な栄養分なので、必ずあげましょう。水やりは乾燥したらたっぷりが基本ですが、あげすぎで加湿にならないよう注意します。

かかりやすい病気として、葉にオレンジや黄色の斑点が出るサビ廟、葉に始め白い斑点ができ、その後茶色く枯れたようになる葉枯れ病、葉や茎が腐敗して腐ったようになる春腐れ病や軟腐病などが挙げられます。温度が上がってくると、病気は発生しやすくなります。窒素肥料過多、加湿、傷ついた部分から病原菌が入るなどの理由から病気が生じやすくなります。まずは傷んだりカビていない種球を植え、加湿などに気をつけ風通しの良い日当たりの良い環境で健全に育てる事が大事です。泥跳ねしないよう、黒マルチをしたり鉢植えの場合は、藁やウッドチップなどでマルチングをするなどの工夫をすると良いでしょう。病気や害虫は見つけ次第取り除く、病気の進行具合が酷ければ、球根ごと掘り上げて他の球根にうつらないよう対処が必要です。

寒地系と暖地系品種があるので、お住まいの環境にあった品種選びが成功の鍵です。寒地系の代表的品種は、福地ホワイト六片です。日本国内のニンニクの中では最も知名度の高い品種です。その名の通り、りん片は6つに分かれ、一粒それぞれがしっかり大きく太って濃厚な味わいが特徴です。他にも、富良野ニンニクやニューホワイト六片などが挙げられます。暖地系の上海早生はホワイト六片にとても似ていますが、りん片は12個ほどに分かれています。少しあっさりとした味わいで、九州や四国などの温暖な地域で栽培されています。他の暖地系として、平戸ニンニク、博多八片などが挙げられます。　暖地系よりもさらに南方で栽培される沖縄早生は冬に休眠せずに成長を続け、3〜4月に収穫できる品種です。（ただし沖縄などかなり暖かい地域での栽培が基本です）変わり種で、ジャンボニンニクや無臭ニンニクなどもありますが、実は西洋ネギの系統で、今まで紹介してきたニンニクとは別種です。関東地方とそれ以南は暖地系、それより上の東北地方、それ以北では寒地系が育てやすいでしょう。工夫によっては暖地で寒地系も育てられますが、特に初心者は失敗の少ない地域にあった品種の栽培がベストです。

ニンニクは収穫適期になると、葉っぱが黄色から茶色っぽく枯れてきます。その少し前に、とう立ちと言って花芽が上がってくるので、それがしっかり上がったらニンニクの芽として収穫し、その大体2週間後を目安にして、ニンニクの収穫をしても良いでしょう。収穫する日は必ず晴天が2〜3日続いたタイミングで行います。取り遅れると、土の中でりん片がばらけてしまい、上手く収穫できなくなるので注意します。収穫したら根っこと、茎を15〜20センチほど残してハサミで切り取ります。それを数個まとめて風通しの良い日陰で1ヶ月くらいかけてしっかり乾かします。

ヒヤシンスなどの水耕栽培のように、育てる事ができます。球根をばらさずにそのまま容器に設置して、下根が生えてくる部分に水が浸かるかつからないかくらいのひたひたの状況すると数日で芽と根が出てきます。葉が伸びたらカットして薬味として使い、その後３回ほど葉の収穫が楽しめます。もしくは。りん片をバラして少しの水に浸かるようにし、芽が５センチ程伸びた段階で根も球根も芽も丸ごといただくスプラウト栽培というのもあるようなので、楽してみるのもありですね。栽培場所は日当たりの良い環境がベスト。秋、芽が動き出すタイミングでやると良いですね！

ニンニクは、料理に欠かせない香味野菜の1つ。よく使う野菜だからこそ、自宅で栽培できると嬉しいですね。コツさえおさえれば、他の野菜に比べると、比較的手間がかからずに栽培できます。

しっかり球根が太ってから収穫したニンニクを楽しむのはもちろんの事、収穫直前に上がってきた花芽はニンニクの芽としていただきます。さらに、まだ球根部分が太り切っていない、葉も柔らかい時期に収穫して葉ニンニクとしていただく事もできます。葉ネギのようでいて、ニンニクの風味の効いた野菜として中華料理の炒め物などで重宝します。また収穫後、乾燥させる前の採れたてのみずみずしい生ニンニクは、すり下ろして薬味にしたり、ホイル焼きにするとより美味しくいただけます。成長過程を余す事なく楽しめるのも、ニンニク栽培の醍醐味、是非お試しあれ。