難易度★★

ニンジンは根っこを育てる野菜。おいしいニンジンを収穫するためには、水はけ、水持ちの良い土環境を作っておく事が大切です。酸性を嫌う野菜なので、、植え付けの2〜3週間前までには、30センチほど耕して完熟堆肥と石灰を混ぜ込んでおきます。また植え付け1週間前には、元肥として緩効性肥料もすき込んでおきます。プランター栽培する場合は、深鉢を用意して、野菜用の培養土を使用します。根菜であるニンジンは、途中で移植すると、根が真っ直ぐに育たず、又根になったり曲がったりして、食味も落ちるので、育てる場所に種を直にまいて育てるのが基本です。7〜8月上旬までに種をまき、間引きと土寄せを繰り返し、品種によって栽培期間も違いますが、早いものは10月頃から収穫できます。寒くなると成長を止めるので、凍らないように土を首根までしっかりかけておけば、春まで土中で保存しておく事も可能です。

ニンジン栽培一番のポイントは、種まき直後の管理です。乾燥させずにうまく発芽させられるかが、成功の鍵です。種をまく前にしっかりと水をやり土を湿らせておくか、雨の日の翌日に種をまくと良いでしょう。そして、種をまいた後は、不織布を畝にかけたり、わらなどのマルチング資材をかけて極力乾燥しないよう心がけます。プランター栽培の場合は、上に濡れた新聞紙やビニールなどをかけて土の表面が乾かないようにします。それから、種は向光性種子と言い、光を感じて発芽するタイプの種子です。そのため種をまいた後は、うっすら土をかける程度で、土を多くかけすぎないように注意します。種のまき方は、スジまきがおすすめです。割り箸や指ですっと線を引き、そこへ種が重ならないようにまきます。その後うっすら土をかぶせた後、表面をしっかり手で押さえて鎮圧しておきます。そうする事で土と種がしっかり密着し、種が水をしっかり吸える環境となります。筋間は20〜30センチ、（プランターの場合は10センチ）種は1〜2センチ間隔でまきます。種まき後、温度環境によって発芽するまでの日数が違います。通常15〜25度の環境で8〜10日で発芽します。それより低いと発芽にもう少し時間がかかり、35度以上の暑さでは発芽しません。種袋の裏の情報を見つつ、しっかりと時期を見極めて種をまく日にちを決めましょう。

ニンジンは、徐々に間引きしながら選抜して大きく育てていきます。間引き作業は合計2回行います。最初は発芽後、本葉が2〜3枚になった時に1回目の間引きをします。株間3センチほどになるように、成長が遅く小さい物や間延びしているもの、葉が黄色かったり形のおかしいものを間引きます。残した株は株元がぐらつつかないよう、少し土を寄せておきます。2回目は本葉が5〜6枚になる頃、株10センチを目安に間引きします。2回目の間引きをした際に、合わせて畝に肥料をまいて土寄せをします。2回の間引き作業が終わったら、その後は間引きせずに根をしっかり育てていきます。ニンジンの肩が出るようだったら、その都度土を寄せます。鉢植えの場合は、土を少し足してあげても良いでしょう。間引きをする度に、周りに雑草が生えてきていたら、雑草も合わせて抜くようにします。間引きした柔らかい葉っぱは、刻んでサラダや卵焼き、スープなど色々な料理に使えます。

植え付け1週間前にはしっかり元肥を施しておきます。追肥は2回目の間引きの時に、畝にまいたものを土寄せします。肥料は直接根に触れると肥料やけを起こすので、株元ギリギリの根に触れる位置にまかないように気をつけます。また、2回目の間引き、追肥の後、栽培後期に肥料をやりすぎると根が割れたり病害虫の原因になるので、あげすぎには注意します。水やりは、発芽するまでの期間は特に注意して、乾燥するようならば水やりをします。

ニンジンはセリ科の野菜に多くつくキアゲハの食害に気をつけます。成長とともにムシャムシャと葉を食べ尽くしてまうので、見つけ次第、小さいうちに捕殺します。根頭ガンシュ病になると根の表面にコブができたり、ネコブセンチュウの被害に遭うと根が歪んだり穴が開いたりします。黒斑病は葉、葉柄、根が黒くなり軟化します。他にもアブラムシや、白い粉が吹いたようになるうどん粉病など、肥料のあげすぎや、湿った環境など条件が悪いと発生しやすくなります。また梅雨時期にジメジメしすぎても発生しやすくなります。水はけ、日当たり、風通しの良い環境で育てる事で、被害を未然に防ぎましょう。プランター栽培の場合は、梅雨時期に長雨に当たらない場所に移動して育てるなど工夫すると良いでしょう。

ニンジンといえばオレンジのイメージですが、実は紫色のパープルスティック、黄色のイエローハーモニー、白色のホワイトハーモニー、びっくりするような黒色の黒にんじんなど色のバリエーションは豊富です。また長さも様々で、一般的な15〜20センチの5寸ニンジンをはじめ、その倍の30センチ程に成長する金時人参、わずか５センチほどの円型にんじん、ラブリーキャロットなどもあります。他には育てやすい品種や甘味の強い品種など色々な種苗会社が、様々な品種を作っているので、種袋を見て気に入った品種を選ぶと良いでしょう。品種によって、生育期間も多少違って、それによって種のまき時期も変わってくるので、それぞれの品種にあった時期に種まきします。

ニンジンは品種によって生育期間が違い早いもので70日ほど、時間のかかるもので120日ほどかかります。ミニニンジンのような丈の短い品種は比較的早く収穫できます。夏まきの場合、収穫せずにそのまま置いておくと、冬になり地上部分は枯れても2月ごろまで畑で保存できます。その場合、ニンジンの根が霜に何度か当たると、その部分が溶けてきてしまうので、ニンジンの肩がでないように少し厚めに土をかぶせて霜対策をしておきましょう。ただし3月ごろまで置いておくと花芽が上がり（とうが立って）根にスが入っておいしくなくなってしまうので、2月ごろまでには収穫を終えましょう。

春まき栽培の場合、ある程度育ってきたのちに、一定期間の低温（10度程度）に合うと花芽が上がりやすい野菜の1つです。花芽の上がりにくい品種などもあるので、そういった品種を選ぶ、そして種袋に記載されている種まき時期を守るのが、とう立ちを防ぐ方法です。夏まきの方がとう立ちしにくいので、初心者の方は7〜8月上旬に種をまく、夏まきがおすすめです。

ニンジン栽培の最大のキモは発芽。種まき直後に極端に乾燥したり、極端に水が多すぎたりすると、著しく発芽率が下がります。適期に種まきをして、マルチング素材をうまく活用し、乾燥しないよう発芽させる事が、うまく育てるコツです。

自宅で育てると、美味しいニンジンが収穫でき、風味のある間引き菜はパセリのようなすっきりとした味で、薬味や料理に利用十分活用できます。収穫を楽しんだ後、そのまま放置して最後に花を咲かせれば、レースフラワーのような真っ白の可愛らしい花を楽しむ事もできます。多くの春夏野菜や、秋冬野菜の作付け時期と少しずれるので、うっかり種まきを忘れてしまったり、場所を確保するのを忘れてしまったりしがちですが、植え時期をしっかり覚えておいて、是非チャレンジしたい野菜の1つです。