どちらかというとアジサイ”アナベル”の名前の方が馴染みがあるかもしれません。実は、アメリカノリノキもしくはアメリカアジサイという名の北米東部原産アジサイ科アジサイ属の植物です。純白の清楚な花姿、また先進むにつれて花色の変化が大変美しく、さらに育てやすい事からファンが多い花の1つ。今回はその他のアジサイの仲間、カシワバアジサイ、ノリウツギも合わせて紹介します。
アメリカノリノキ
”アナベル”の育て方
Garden&Garden監修
どちらかというとアジサイ”アナベル”の名前の方が馴染みがあるかもしれません。実は、アメリカノリノキもしくはアメリカアジサイという名の北米東部原産アジサイ科アジサイ属の植物です。純白の清楚な花姿、また先進むにつれて花色の変化が大変美しく、さらに育てやすい事からファンが多い花の1つ。今回はその他のアジサイの仲間、カシワバアジサイ、ノリウツギも合わせて紹介します。
INDEX
アナベルの基本情報
アジサイ科アジサイ属
難易度★
開花期:6〜7月、植え替え期:10〜11月、3月
肥料:1〜3月 7〜8月
アジサイ”アナベル”という流通名から、手入れもアジサイと同じだと思う方もいるかもしれませんが、実はこちらの方がもっと簡単です。
新枝咲き
他のアジサイは、前年に伸びた枝に花芽がつくため、花が咲いた後1〜2ヶ月の花芽ができる前の期間に剪定を済ませる必要があります。ですが、このアメリカノリノキは新枝咲きと言い、その年春から新しく伸びた枝の先端に花がつきます。そのため春の芽吹き(だいたい3月頃)までに剪定すればよく、また小さくコンパクトに管理できるので、大変育てやすい植物です。
生育サイクル(開花期)
4月頃から新芽が伸び始め、梅雨の始まる6月頃開花します。花は、初め蕾から開花までの間は爽やかなライムグリーン、その後真っ白な花で満開を迎え、秋になるに従い、シックなアンティークグリーンに変化します。秋には落葉し、冬は枝のみになります。
その他の種類について
その他のアジサイ科アジサイ属の仲間で、ノリウツギやカシワバアジサイも魅力的な落葉低木です。育てやすく、花も美しいことから大変人気です。
ノリウツギ(アジサイ科アジサイ属)
日本や中国を原産とする落葉性の低木で、花の時期は他のアジサイに比べて1ヶ月ほど遅く、品種によっては8月や9月に開花する品種もあります。花穂は円錐形になり、ライムグリーンから白、その後紅葉して薄いピンクに変化します。(品種によっては濃いピンクになる品種もあります)お日様が大好きで、日光の当たる場所で管理する方が、発色が綺麗です。園芸品種の”ミナヅキ”や”ライムライト”が代表的な品種で、真夏の花の少ない時期に開花するので大変人気です。
カシワバアジサイ(アジサイ科アジサイ属)
カシワの葉をさらに切れ込みを深くしたような特徴的な葉は、秋真っ赤に紅葉します。円錐形の大きな花穂が枝垂れるように咲く姿は見事で、人気の落葉性低木です。基本的にお日様が大好きで、陽のあたる環境で育てると、より秋の紅葉が美しく出ます。(日当たりが悪いと花付きが悪く、紅葉もあまりきれいに出ません)ただし、強い西日にあたる環境は葉が傷むので、真夏の午後木陰になるような場所で育てます。
アナベルの植え付けについて
初夏に花の咲いた鉢植えが出回ります。冬の落葉期に根を藁や麻で巻いた「根巻き」と呼ばれる株も出回ります。
庭に植える場合(根巻き苗の場合)
「土決め」という方法で植え付けます。 そうする事で根がしっかりと土に活着して、ぐらつかずに安定して成長します。
@根鉢より1〜2回りほど大きな穴を掘ります。 A掘り出した土に堆肥と腐葉土を2割程ずつ混ぜ込みます。 B根巻きした根鉢は崩さずそのままの状態で穴の中央に置き、土を半分埋め戻し、残りの半分でドーナツ状の土手を作ります。 C中にたっぷりの水を流し込み、一旦水がひくまで待ちます。 根巻きでなくポットから出した株は土が崩れやすいので、水で根鉢をあまり崩さないようそっと水を流します。) D水が引いたら土手にしていた土を埋めもどし、平らに整えます。 ※根巻きしてある材は自然に土に還るので、外す必要はありません。
鉢で楽しむ場合
@今の鉢より1回りほど大きな鉢を用意します。 A培養土と赤玉土を半分ほど混ぜ、適量の緩効性肥料も混ぜます。 B植える鉢によって、鉢底穴が大きいようだったら鉢底ネットと鉢底石を敷き詰めます。底穴がスリット状やネット上のものは鉢底石やネットは必要ありません。 C鉢の底に土を入れ、アジサイをポットから外して、根鉢を崩さずそのままの状態で穴の中央に置き、土を埋めもどし、平らに整えます。 D根鉢の上部が埋まりすぎず浅すぎず、同じ高さになるように気をつけます。 E鉢底から水が流れるくらいたっぷりと水をあげます。 F土が下に下がって隙間ができるようなら土を足します。
庭に植える場合(ポット苗の場合)
庭に直接植える場合、できれば落葉した後の11月〜12月上旬、もしくは寒さが落ち着く2月下旬〜3月がオススメです。
寒い地方では3月以降、芽吹く前にします。
@根鉢より1〜2回りほど大きな穴を掘ります。
A掘り出した土に堆肥と腐葉土を2割程ずつ混ぜ込みます。
(初春に植える場合は、緩効性肥料も一緒に混ぜ込みます)
Bポットから外して、根鉢を少し崩し、土を埋めもどし、平らに整えます。
C根鉢の上部が埋まりすぎず浅すぎず、同じ高さになるように気をつけます。
D十分すぎるくらいたっぷりと水をあげます。
※購入後すぐに庭に植える場合、花ガラを切ってから植え付けます。
アナベルの剪定のポイント
アメリカノリノキは、その年に伸びた枝に花を咲かせるので、新芽が出る前の3月ごろまでに剪定を済ませれば、その年の花付きに影響しません。
地際でバッサリ
初めて剪定するときはドキドキするかもしれませんが、春先に地際5〜10センチくらいのところでバッサリ切ってしまって構いません。 その後新たに新芽が上がってその年の6月には花が咲きます。 樹形がコンパクトになり、花数は減りますが、花は大きくなります。 逆に強く切り戻さないと、枝数が増え花数が増えますが、花は少し小さめになります。数年に一度の割合で株の若返り効果も兼ねて地際でバッサリ切るのも1つの方法です。
花後の剪定
花の後、そのまま剪定せず秋色を楽しみます。ですが、花がらが茶色になってみすぼらしくなったり、枝が倒れてくるのが気になるようであれば、剪定してさっぱりと整えます。花から2〜3節下のあたりを目安に、全体的なバランスを見て軽く剪定し、整えましょう。
間引きで風通し良く
枝が混んで風通しが悪くなると病気や害虫が発生する原因になります。古い枯れ枝や混みすぎた枝は、その枝ごと切って間引きします。
アナベルの肥料・水やり
アナベルの品種紹介
他のアジサイと同様、花に見える部分は実は萼片(がくへん)。実際の花は散ってしまっても、ガクは長く残るので、長く美しい姿を鑑賞できるのです。(アジサイのコラム参照)
下葉かき
実際花のように見るのは装飾花と言われるガクが大きく発達したもの。両性花には雄しべと雌しべがあり、実際に結実するのはこちらの方になります。野生にあったアメリカノリノキは、本来装飾花がまばらにつき、ほぼ両性花と言う姿でしたが、このアナベルが発見された時、装飾花がボール状に固まって咲いた姿でした。実際両性花がない訳ではなく、装飾花の内側に隠れるようについています。
品種
花に対して茎が細いので、雨が降った後はだらんと頭を下げてしまうことも多かったこの花。最近では品種改良が進み、茎のしっかりした品種、ピンクに色づく品種、とても大きな花をつける品種なども出てきています。
ピンク系のアナベル
その名の通りピンク色の「ピンクのアナベル」はその可愛らしい色合いもさることながら、従来のアナベルより茎が丈夫でよりコンパクトな姿が特徴。さらに濃いピンクの「ルビーのアナベル」はアナベルの中では最も濃い赤色が特徴。ルビーもピンクも四季咲き性が強く、花後切り戻すともう1回花を楽しむことができます。
大きな花のアナベル
花がとても大きな「インクレディボール」は、通常のアナベルに比べかなり大きな花で球形が30センチにもなります。しかし茎が強く改良されているので、雨にうなだれる心配がありません。またピンク色の「ピンクのアナベル ジャンボ」ライム色の「ライムのアナベル」は樹形も花も大きいのが特徴。広い場所に植えるのがオススメです。
アナベルの病気・害虫予防
アメリカノリノキ”アナベル”は基本的には大変育てやすい植物です。ですが、枝が混みすぎて群れると病気や害虫の被害を受けることがあります。まずは健全に育てる事。それから病気や害虫の被害を見つけたら症状を悪化させないためにも、早期発見、早期対処できるよう、気にかけて観察する事が大切です。
うどんこ病
枝が混み合い、風通しの悪い場所にあると葉に白い粉を振ったようなうどん粉病になることがあります。見つけ次第その葉を取り除けば、全体に広がるのを防げます。うどん粉病が出たら、混んで蒸れている証拠なので、まずは枝を数本切るなど間引いて風通しを良くします。どうしてもうどん粉病が広がるようであれば、薬剤を散布します。
カミキリムシ・コウモリガ
幼虫が、枝の中の組織を食べながら成長をするため木くず状のフンが目立つ時にはかなり枝の中を食べられていると言う事が多くあります。枝がしおれたようになって気付く事も多いのですが、まず見つけ次第、開いた穴から殺虫剤を入れるか、針金などで幼虫を掻き出します。その後樹木保護剤などで穴を埋めます。(すでに枝がかなり食べられている場合は、その箇所を切り取ります。まずは株元に虫が生息しないよう、風通しよく健全に育てる事が大切です。
アナベルの置き場所
耐寒性について
耐寒性、耐暑性共に強い植物。水が大好きなので、水切れしやすい鉢よりは、地植えの方が管理は簡単です。午前中たっぷりお日様が当たり、午後は木陰になるような落葉樹の下などの環境が適しています。
積雪地域の冬の管理
日本全国、屋外で育てる事ができます。積雪のある地域では晩秋に地際で切り戻すと、雪による枝折れを防ぐと同時に、雪囲いの心配がなくなります。冬にあげる肥料は雪解け後に行いましょう。
植える場所の選び方
基本的にお日様が大好きな植物です。どちらかというと、真夏の午後の西日が当たらないよう、午後だけ木陰になるような場所がとても適しています。とは言え、なかなか完璧な場所を探すのも難しいところ。かなり性質上強いので、北庭の西日しかあたらないような環境下でも育っている株は多く見かけます。真夏に過酷な環境下では、乾燥と地面の気温上昇を防ぐためにも、ウッドチップや堆肥、腐葉土などでマルチングをしてあげます。
アナベルの由来・歴史・これから
由来・歴史
アメリカイリノイ州アンナ郊外で、有名な陶芸家ファミリーのハリエット カークパークが森で馬に乗っていた時、白いボール状にかたまって咲くこの花を見つけ、一緒にいた義理の妹エイミーに知らせました。その後、彼女たちはそれを持ち帰って庭に植えました。その後は、この素晴らしい花を隣人や友人などで分け合い楽しんだそうです。時は経ちその50年後、そこから20マイル離れたアーバナガーデンで植物学者で育種家のJ.C.マクダニエル教授が発見し、その後世界中で育てられるように尽力しました。当初バレリーナという名を付ける予定でしたが、それを発見したアンナの美女(Belles of Anna)に敬意を評して「Annabelle」として世界に発表したとされています。
今後のアナベル
「インクレディボール」など大きな花房の品種は今までの品種よりも太い茎を持ち、雨の重みで枝垂れる事のないよう改良されています。赤花品種の中でも「ルビーのアナベル」や、「ピンクのアナベル2」は切り戻すとさらに返り咲きをして長期で花を楽しめ、アナベルコンパクトは大きくならず小さくコンパクトに収まるサイズ感の品種です。花の美しさはもちろんですが、このようにニーズに合わせて改良され、より育てやすく、より花を楽しめるようになっているアナベル。今後も目が離せません。
アナベルの育て方・Q&A
咲き終わった花をドライフラワーにしたいのですが、どうしたらいいですか?
真っ白に開花した後に、シックな緑に変化します。その色が変わったタイミングが、ドライフラワーにするのにベストなタイミングです。切った花は1時間ほど花瓶で水を吸わせます。その後逆さまにして風通しの良い場所で乾かします。直射日光の当たる場所では茶色になってしまいますので気をつけましょう。また雨の日に切らずに、晴れた日に切りましょう。
生け花で楽しみたいのですが、なかなか水揚げが難しくて、、、簡単に出来る方法はありますか?
まず葉は全部取ってしまいます。茎は斜めに大きく切った後、中のワタのような組織を掻き取って取り除きます。その後水につけて楽しみます。また短くカットしし小分けにした花房を水に浮かべても、涼しげできれいですよ。他の植物と合わせるとより白い花色が生きてきます。お試しを。
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