梅雨の代名詞でもある紫陽花。夏の季語にもなっており、日本人にとても馴染みのある植物の1つです。咲き始めから終わりまで色の変化が美しく、花色や姿のバリエーションも豊富で多くの世代から愛されている花木の1つです。近年日本でも品種改良が進み、さらに多くの品種が毎年のように登場しています。母の日の
ギフトとしても人気で
4月頃からたくさんのアジサイが店先に並びます。
アジサイの育て方
Garden&Garden監修
梅雨の代名詞でもある紫陽花。夏の季語にもなっており、日本人にとても馴染みのある植物の1つです。咲き始めから終わりまで色の変化が美しく、花色や姿のバリエーションも豊富で多くの世代から愛されている花木の1つです。近年日本でも品種改良が進み、さらに多くの品種が毎年のように登場しています。母の日の
ギフトとしても人気で
4月頃からたくさんのアジサイが店先に並びます。
INDEX
アジサイの基本情報
アジサイ科アジサイ属
難易度★★
開花期:6〜7月、植え替え期:3月、11〜12月(鉢は購入直後)
肥料:9月、12〜2月(鉢植えは開花期も)
紫陽花は梅雨時期に咲くアジサイ属に属した花を総称した呼び名です。その中に「アジサイ(学名Hydrangea macrophylla)」と呼ばれ装飾花が手まり状に咲くガクアジサイの品種があります。江戸時代末期、医師で博物学者のシーボルトが植物図鑑「フローラヤポニカ」(Flora Japonica)で紹介したアジサイの1つです。その後西洋に渡り品種改良の元にもなったこのアジサイを、西洋アジサイ(ハイドランジア)と区別をするために、ホンアジサイという名で呼ぶ事もあります。
アジサイはその花期が長いのも魅力の1つ。ですが、一般に花と思われている箇所は、実は萼片(がくへん)です。花は萼片の中央部に小さくついています。そのため花が終わってもガクが残り、長い間楽しめます。
アジサイの咲き方
咲き方は2種類あり、「ガク咲き」と「手まり咲き」です。密集した両性花の周りに、華やかな装飾花の縁取りのある咲き方をがく咲きと言い、手まり咲きは装飾花が手まりのように半球形に咲きますが、内側に両性花がつく場合もあります。
アジサイの種類について
・西洋アジサイ
元は日本に自生するガクアジサイが西洋に渡り品種改良されて大正時代に逆輸入されたもの。ハイドランジアとも呼ばれます。
豪華な印象の花が多くあります。
・ガクアジサイ
伊豆や房総半島の太平洋岸に自生するアジサイで、葉に光沢があり、樹形も大きくなります。中央に両性花があり、周りに装飾花のつくタイプが多いですが、品種改良の元になったホンアジサイのように全てが装飾花でテマリ状のものもあります。
・ヤマアジサイ
関西以西の湿っぽい山地に自生するアジサイ。全体的に小型で、葉も小さく葉に光沢はありません。小型で楚々とした雰囲気が魅力です。
外国で品種改良され逆輸入されたアジサイを元に、日本でも多くの品種改良が行われ、世界的にも評価されています。
青、青紫、赤紫、ピンク、赤、白など様々な色合いが楽しめるアジサイ。色の入り方も、ほんのりグラデーションがかったり、覆輪、2色の色が混じり合うなどバリエーションが豊富。花も一重から八重、花弁は丸みを帯びたもの、細く尖ったものから、切れ込みの入るものまで本当に様々。毎年のように新たな品種が発表されています。
アジサイの植え付けについて
4月頃からお店に出回る花鉢は、母の日のギフト用に早く花を咲かせるように温室で育てて開花を調整したものです。翌年からは、通常通りの生育サイクルになります。
生育サイクル
品種によって前後しますが、本来は6月から咲き始め、7月末頃まで花を楽しむことできます。品種や植えられている環境によって、花の紅葉を楽しめ、冬は枝のみになります。
購入したらすぐに植え替えましょう
花が咲いている鉢を買った場合、たいていポットで売られています。花を豪華に見せるために小さめの鉢に植えられ、根はすでにびっしり回っていることが多いので、買ってきたらすぐに植え替えをオススメします。そうする事で、長く美しい姿を楽しめます。
鉢で楽しむ場合
1.今の鉢より1回りほど大きな鉢を用意します。 2.培養土と赤玉土を半分ほど混ぜ、適量の緩効性肥料も混ぜます。 3.植える鉢によって、鉢底穴が大きいようだったら鉢底ネットと鉢底石を敷き詰めます。底穴がスリット状やネット上のものは鉢底石やネットは必要ありません。 4.鉢の底に土を入れ、アジサイをポットから外して、根鉢を崩さの状態で穴の中央に置き、土を埋めもどし、平らに整えます。 5.根鉢の上部が埋まりすぎず浅すぎず、同じ高さになるように気をつけます。 6.鉢底から水が流れるくらいたっぷりと水をあげます。 7.土が下に下がって隙間ができるようなら土を足します。
庭に植える場合
1.庭に直接植える場合、できれば落葉した後の11月〜12月上旬、もしくは寒さが落ち着く2月下旬〜3月がオススメです。 寒い地方では3月以降から芽吹く前にします。 2.根鉢より1〜2回りほど大きな穴を掘ります。 3.掘り出した土に堆肥と腐葉土を2割程ずつ混ぜ込みます。 (初春に植える場合は、緩効性肥料も一緒に混ぜ込みます) 4.ポットから外して、根鉢を少しだけ崩し、土を埋めもどし、平らに整えます。 5.根鉢の上部が埋まりすぎず浅すぎず、同じ高さになるように気をつけます。 6.十分すぎるくらいたっぷりと水をあげます。 ※購入後すぐに庭に植える場合、花ガラを切ってから植え付けます。
アジサイの挿し木・剪定のポイント
挿し木にチャレンジ
新芽が伸びる頃、挿し木のベストシーズンです。 挿し木したポットは明るい日陰で管理します。 秋には培養土のポットに植え替え、翌春に庭などに植えます。
1.きれいに洗った黒ポットと、土(肥料分の少ない培養土に赤玉土を半量づつ混ぜる)を用意し鉢に入れます。 2.今年新しく伸びた枝を3〜4節ほどを切り取り、下の2段の葉を取ります。 3.一番下の葉を取った節少し下でカットし、あらかじめ箸などで穴を開けた箇所に深く差し込みます。 4.地上部分に出た葉は半分ほどに切ります。 5.たっぷりと水をやった後、衣装用のプラスチックケースに入れるもしくは、ビニールをかぶせるなどして乾燥させないよう管理します。乾いたらたっぷり水をあげます。 6.新しい芽が出てきたら成功!うまくできない場合も考えて何枝かチャレンジするといいでしょう。
アジサイの剪定
アジサイは地面に下ろすと、毎年どんどん大きく成長していきます。数年に一度バッサリ刈り込むとコンパクトに維持できます。お庭にスペースがない場合は、ヤマアジサイの矮性品種を選んで植えてもいいでしょう。
・毎年の剪定
花が終わったら剪定のベストタイミング。秋以降に切ると花芽も切り落としてしまうので注意します。花のついた枝をよく見ると葉の脇に小さな芽が待機しています。花から数えて2〜3節下の大きな芽の控えている少し上で切りましょう。
・株を小さくする強剪定
大きくなりすぎた株を小さく仕立て直す場合、花が終わったら地面から30〜50センチほどでバッサリと刈り込む方法もあります。ただし、翌年の花は咲かきません。
アジサイの肥料・水やり
水やりについて
庭に植えた場合、根付いてさえすれば、特に水やりしなくても大丈夫です。極端に乾いて葉がだらんとなるようなら水をあげます。鉢植えの場合は、乾いたらたっぷりが基本です。 冬場も枝のみですが、乾燥したら水をやります。
肥料について
・地植えの場合
芽が動き出し春先に1回、花が咲き終わり、9月に入ったらにもう1回緩効性肥料を施します。春先の成長用として、12月〜2月の間にも肥料をあげます。葉の先端部分ほどの離れた箇所に数カ所浅く土を引っ掻いて、肥料を混ぜ込みます。
・鉢植えの場合
開花中にも肥料が必要なので、購入後植え替えする場合はそこで1回、花が終わり9月に入ったらもう1回、春に新芽が動き出したらもう1回緩効性肥料を鉢の縁の土を少し引っ掻いて耕してからあげましょう。
編集部からのおすすめ
アジサイの花色の秘密
花色変化
この花の特徴に花色の変化があります。それは土の性質からくる変化もありますが、それと合わせて咲き進むにつれて現れる色の変化もあります。
土の酸度による色変化
色の変化はアントシアニン色素が関係します。土が酸性になると土中のアルミニウムが溶けやすくなります。それをアジサイの根が吸収し、花に含まれるアントシアニン色素と結合することで、青色が出ます。逆にアルカリ性土壌ではアルミニウムが溶け出しにくく、それを吸収できない花は赤くなるという訳です。紫になる理由はその中間の環境だという事です。ただし、白花はアントシアニン色素を持っていないので、酸度は影響しません。また、元から土の酸度に影響しない品種もあります。
赤(ピンク)にするには?
日本の土は酸性に傾きやすいので、青っぽくなったり紫がかる事が多いかもしれません。ピンクの花のはずが地面に植えたら、なんとなく色が濁ってしまったなんて事を聞いた事があります。 買った時の色をキープしたい時には、専用の土や液肥が売られているので、そのような材料を使うのも1つの方法です。より綺麗な青を出すためにミョウバンをまいたり、赤くするために苦土石灰が有効という話もありますが、土中のphや水分量、品種が持っている特性や土中のリン酸の量など様々な事が関係し、思うような色を出すというは難しいかもしれません。ですので、そういった色変化も含めて大らかに楽しむのも1つの方法かもしれません。
花色の経年変化
咲き始めから、満開、その後気温の変化で花の色合いも変化します。七変化の別名があるのはそのためでしょう。「秋色アジサイ」という言葉もあるほどで、秋にシックなアンティークカラーに変化した花は、最盛期の雰囲気とはまた違いとても綺麗です。秋に特に美しくシックな色合いに色づく品種も出てきています。
アジサイの病気・害虫予防
アジサイは基本的には大変育てやすい植物です。ただし、虫に葉を食べられたり、茎の中に幼虫が入ってしまうことも。このような被害は何よりも早期発見が大切。日頃の観察が大切です。
コウモリガ
茎の内部に侵入し、中を食べてしまうので、その枝ごと枯れてしまうという被害が出ます。この幼虫は小さいうちは雑草を食べて育ち少し大きくなったところでアジサイの茎に侵入するので、まずは周りを草ぼうぼうの状態にしない事が大切です。また虫が侵入したような穴を見つけたら切り取り、被害の拡大を防ぎます。
コガネムシ
近年コガネムシが大量に押し寄せて食害するようなこともあるようです。この場合、見つけ次第取り除くしかありません。コガネムシは幼虫の時には根をかじってしまうので、卵を産ませないよう、草に覆われたような環境や、未完熟の腐葉土を使用しないなど、コガネムシが好む環境を作らないようにします。
アジサイの置き場所
耐寒性について
寒さにつよい紫陽花ですが、雪の多い地域や、雪がなく土が凍るようなエリア、北風が直接吹きつけるような環境では対策が必要です。
・北海道や東北の冬対策
日本全国、アジサイは育てられます。ただし雪の多い地域は、雪による枝折れを防ぐために、他の樹木同様枝を縄などで縛って冬を越します。
また北風が直接吹きつけるような場所だと、冬芽が傷んで花翌年花が咲かない事もあります。北風の当たらない場所に植えるか、株全体を不織布で包むなどの工夫をします。土が凍るような地域は藁やウッドチップなどを土の上にかぶせるマルチングが必要です。
置き場所について
シェードガーデンの代表選手とも言われるアジサイ。でも全くの日陰ではうまく育ちません。
シェードガーデンに合う植物とは、耐陰性があるという事。
つまりは日陰環境に耐えるという意味です。
そういう観点で言えば、午前中3〜4時間程日光が射すような環境であれば持つという事です。
基本的にはアジサイはお日様が好きなのですが、強すぎる日差しや真夏の強い西日は苦手です。真夏の午後少し影になるような環境がベストです。鉢植えで管理するときは真夏に西日の当たらない場所に置く、そのような場所がなければ、寒冷紗をかけるなどの工夫をします。
アジサイの由来・歴史・これから
由来
アジサイを語るときに、必ず登場するのが、ドイツ人医師で博物学者のシーボルトです。
シーボルトが日本植物誌「フローラヤポニカ」でホンアジサイをHydrangea otaksa(ハイドランジア オタクサ)と紹介しています。後に、すでにHydrangea macrophylla(ハイドランジア マクロフィラ)という名がついている事が判明し、オタクサの名前は認められなかったようです。このオタクサは彼の日本人妻であった楠本滝(おたきさん)から取ったとされていて、そのような神聖な学名に、情婦の名をつけるとは何事だと、後に日本の植物学者である牧野富太郎が激怒したという逸話も残っています。
歴史
アジサイが初めて日本の書物に登場したのは飛鳥奈良時代の万葉集でした。その後も歴史の中では存在しますが、人気になったのは近年になってからです。
アジサイが注目されたのは、1910年ロンドン万国博。フランスにて品種改良されたアジサイが出品、紹介されてからと言われています。その翌年には、西洋アジサイが日本に輸入された記述も残っていますが、今のような人気の植物ではありませんでした。実際は1960年頃からお寺などで植えられ始め人気が出たようです。
日本が誇るアジサイ
桜色の美しいアジサイ「ミセスクミコ」は国内登録第1号品種であり、今のような鉢物アジサイのパイオニア。発表から30年以上も不動の人気を誇る美しいアジサイです。また10年に1回開かれる花のオリンピック「フロリアード」では日本のアジサイが金賞を受賞するなど、日本のアジサイ育種家は世界でもトップの技術を誇ります。
アジサイの育て方・Q&A
購入した時には小さく可愛かったアジサイは、庭に植えたら大きくなってしまいました。なぜでしょうか?
ギフト用に仕立てられた多くの商品が、矮化剤という薬品をかけて小さく小型の姿を保つように仕立てられています。大きくなったのはその効果が切れて本来の姿に戻ったという事です。コンパクトに維持したい場合は、3〜4年に一度、花後にバッサリと切り戻し小さく仕立て直す方法もあります。(剪定のコラムを参考にして下さい)ただしその翌年の花つきは諦めます。
剪定の時期は間違っていないはずなのに、花が咲きません。置き場所も日陰のはずなのですが、なぜでしょうか?
アジサイは日陰すぎると花が咲きません。最低3時間、できれば西日でなく午前中の光が当たるような環境で管理します。アジサイもお日様が好きです。ただ強すぎる真夏の西日は好みません。(置き場所のコラムを参考にして下さい)
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