扉なしクローゼットは、扉を持たないオープンタイプの収納スペースを指します。「オープンクローゼット」とも呼ばれ、ウォークインクローゼットやファミリークローゼットで採用されるケースが多いです。従来の収納目的に加え、「見せる収納」としてインテリアの一部としても活用される点が特徴。衣類や雑貨をおしゃれにディスプレイし、自分好みの空間を楽しみたい方に人気です。

扉なしクローゼットには、さまざまなメリットがあります。

・風通しが良い
・デッドスペースが少ない
・物を出し入れしやすい
・安全性が高い
・開放感がある
・施工費用を抑えられる
・おしゃれな見せる収納もできる

扉なしクローゼットには、衣類を収納や保管するうえでの長所だけでなく、インテリアの視点においても嬉しいポイントがあります。ここでは、扉なしクローゼットのメリットについて詳しくご紹介します。

扉なしクローゼットは通気性が良く、湿気がこもりにくいのが特徴です。扉つきクローゼットはこまめに換気をして湿気を逃がさないと、カビやダニ、悪臭が発生するリスクがあります。一方、風通しの良い扉なしクローゼットではシビアに湿気対策をおこなう必要がなく、手間がかかりません。

扉なしクローゼットではデッドスペースができにくいため、空間を無駄なく使えます。扉つきのクローゼットの場合、折り戸は扉裏の物を取り出しにくく、開き戸は扉の前に物を置くことができません。一方、扉なしクローゼットでは、扉の前や内部のスペースが塞がることがないため有効活用できます。

オープンタイプのクローゼットは扉を開閉する必要がないため、物を出し入れしやすいメリットがあります。扉がないと、洗濯後の衣類を収納場所に片づける際もスムーズです。些細なことですが家事を効率よくこなせると、日々の負担も軽くなるでしょう。

より高い安全性を重視する方にも、扉なしタイプのクローゼットがおすすめです。扉つきのクローゼットでは扉の開け閉めの際、指を挟む危険性があり、特に小さい子どもがいる家庭ではケガに注意が必要です。扉がなければこのような心配がいらないため安心です。

クローゼットに扉がないと開放感が生まれるので、部屋が広々と感じられます。オープンクローゼットも含めた全体を部屋と捉えてコーディネートすると、スぺースをより広く効果的に使えるでしょう。クローゼットの一部を、インテリア雑貨を飾るスペースに活用するなど、収納の用途以外にも自由に楽しめます。

新築時にクローゼットを設置する場合、扉なしタイプを選ぶと施工費用を押さえられます。扉つきクローゼットの扉本体の値段は開き戸が2〜8万円、折れ戸が3〜10万円が目安とされており、そのほかレールなどの取り付け工賃もかかります。

クローゼットの幅が広いほど扉の有無で価格差が大きくなるため、コストダウンを考えるなら扉なしタイプがおすすめです。

扉なしクローゼットは「見せる収納」として、部屋をおしゃれに演出することもできます。収納棚に素敵な小物をディスプレイしたり、照明でライトアップしたりするとショップのような雰囲気を醸しだせます。洋服やアイテムの配置を少しアレンジするだけで、簡単に模様替えが楽しめるのも魅力です。

扉なしクローゼットには、以下のようなデメリットがあります。

・防虫剤や除湿剤の効果が得られにくい
・収納物にホコリが付着しやすい
・冷暖房の効率が悪い
・常に見た目を意識しておく必要がある
・衣類が傷みやすくなる場合がある

上記のような短所を把握せずに扉なしクローゼットを購入すると、設置後に後悔しかねません。ここからは、扉なしクローゼットのデメリットについて、詳しくご紹介するので参考にしてください。

開放的な扉なしクローゼットに防虫剤や除湿剤を設置しても、高い効果は期待できません。防虫剤や除湿剤は、密閉状態を維持することで大きな効果が得られるためです。なので、ウールやシルクなど害虫に弱い素材の衣類については、防虫剤と除湿剤を入れて収納ケースで保管する、密閉性が低くても効果を発揮するカバータイプの防虫剤を使用する、などの対策が必要です。

扉なしクローゼットは開放的な構造のため、収納物にホコリが付着しやすく、定期的な掃除が欠かせません。特に、リビングや寝室に設置した場合、部屋全体の清潔感にも影響します。収納アイテムを透明な収納ボックスに入れる、またはカーテンを取り付けるなどの対策が必要です。

扉なしクローゼットは部屋のスペースを広く使えますが、その分、冷暖房の効率が下がってしまいます。クローゼットの内部に冷気暖気が流れ込むため、設定温度に到達するまでに時間がかかります。高出力での運転が続くと、電気代の高騰にもつながりかねません。

扉で目隠しができないクローゼットでは、常に見た目を意識しておく必要があります。収納物の整理整頓ができていないと、部屋全体が雑然とした印象になるでしょう。特にリビングなど来客を通す場所に扉なしクローゼットを設置する際は、気を付けてください。

光の影響を受けやすい扉なしクローゼットは、衣類が痛みやすい傾向にあります。特に直射日光があたる場所は日焼けしやすいため、注意が必要です。また、蛍光灯の光でも色褪せは進むので、光のあたる時間や角度を充分に考慮せずに配置を決めると後悔しかねません。

扉なしクローゼットで後悔・失敗しないよう、以下のようなポイントを押さえましょう。

・カーテンやロールスクリーンで目隠しする
・日当たりを考慮した間取りにする
・衣類を十分洗濯してから収納する
・扉なし・扉あり混合のクローゼットを選ぶ
・コンセントを設置して用途を増やす
・レンタルしてから選ぶ

扉なしクローゼットを自分の暮らしに合うように使いこなすには、工夫や対策が必要です。ここでは、扉なしクローゼットで失敗しない、快適空間を作るコツをご紹介します。

すぐにホコリが付く、冷暖房が効かない、衣類が日焼けするなど扉なしクローゼットに不満を抱えている方は、カーテンやロールスクリーンを取り入れてみましょう。ロールスクリーンとは、1枚の布地を上下に昇降させて開閉するアイテムで、部屋の仕切りや目隠し、日差しの調整などに使われるカーテンの一種です。

オープンクローゼットに扉の代わりになるものを設置すれば、デメリットの解消につながります。また、クローゼット内が片付いていない時もロールスクリーンやカーテンを閉じれば見た目もすっきりし、いつでも来客を迎え入れられるでしょう。

前述した通り、扉なしクローゼットは衣類が日焼けしやすいため、他の家具とのバランスを取りつつ日当たりを考慮した間取りにすることが重要です。ショールームや展示場では、たくさんの施工事例を見学することができます。実際に部屋の間取りを見ると、レイアウトのイメージが膨らみ失敗が少ないでしょう。

洗濯が不十分なまま収納すると、大切な衣類が虫食いの被害に遭うかもしれません。温度15〜25度、湿度60％以上の環境下に、皮脂や食べこぼしなど栄養の条件が加わると虫食いが発生しやすくなります。

通気性の良い扉なしクローゼットなら大丈夫と油断してはいけません。衣類害虫はホコリもエサとするうえ、現代の家屋は密閉性が高くて暖かく、衣類害虫が住みつきやすい環境です。後悔しないために、衣類の汚れをしっかり落として、適切に保管しましょう。

クローゼット選びに迷う時は、扉なし・扉ありの混合型を選ぶのがおすすめです。扉つきクローゼットはホコリや汚れから保護しやすく、収納物が隠れるため整然しやすいことがメリットです。

扉なし部分には、スーツやワンピースなどをハンガー掛けし、扉あり部分には散らかりやすいトップスや下着類を畳んで収納するとすっきりします。混合型ではそれぞれのメリットを取り入れて活用できるので、使い勝手の良さを感じやすいでしょう。

新築時にウォークインクローゼットを作る時は、コンセントを設置しておくと想定以上に役立ちます。ウォークインクローゼット内のコンセントは、コードレス掃除機を収納しながら充電できたり、衣類スチーマーをかけられたり幅広い用途で使えます。特に、ウォークインクローゼット内に書斎を設けたい方は、コンセントがないと作業がはかどらず失敗したと感じやすいです。

実際に使ってみないと扉なしクローゼットが自分のライフスタイルに合うか判断できないと考えている方は、レンタルを試してみると良いでしょう。ソファや収納などの大型家具は、購入後に後悔したケースが少なくありません。サイズや使い心地などをしっかり確かめてから決めると、失敗が少なくて済みます。

ここからは、おしゃれな扉なしクローゼットのおすすめ商品をご紹介します。組み合わせ自由なものから、日焼け対策も充分な商品まで豊富に揃っているので参考にしてください。

高さ200cmの大型ワードローブで、自宅の空き部屋をウォークインクローゼットに改造したい時におすすめの商品です。ハンガータイプでオープンクローゼットにするだけでなく、「引き出し＆棚タイプ」と組み合わせて混合のクローゼットにすれば、日焼けや防塵対策にもなります。

角パイプ式のハンガーラックで、壁一面にスタイリッシュなクローゼット収納が作れます。高さや幅が変えられるため、部屋のスペースに合わせて設置可能です。サイドもオープンなので、開放的で広々とした心地よい空間作りに最適です。

「ハンガー＆引き出し」「棚＆引き出し」「棚」の3タイプのワードローブを自由に組み合わせてオリジナルのクローゼットが作れます。オーソドックスな色味ながら、おしゃれなバイカラーでトレンド感も取り入れられます。便利なキャスター付きで、簡単に移動可能なことも魅力です。

カーテン付きのオープンクローゼットは急な来客時の目隠しのほか、日焼け対策にも対応します。カラーはダークグレーとベージュの2色展開ですが、部屋の雰囲気に合わせて市販のカーテンに取り替えることも可能です。幅が伸縮するので、リビングから寝室までどの部屋にもマッチします。

「チェストタイプ」「ハンガータイプ」「ラックタイプ」の3種類のワードローブで作る高級感溢れるクローゼットです。オープンラックにバッグや靴をディスプレイすれば、アパレルショップのような素敵な部屋が作れます。

扉なしクローゼットは実用性があるうえ、部屋をおしゃれに彩ることもできます。ただし、日焼けや雑然となりやすいなどのデメリットがあり、対策が必要なことも確かです。設置後に後悔しないようしっかり考慮し、自分のライフスタイルにピッタリな扉なしクローゼットを見つけてみましょう。