近年、ファミリークローゼットを取り入れた間取りが人気となっていますが、どんな家具なのでしょうか。ここでは、ファミリークローゼットの意味やウォークインクローゼットとの違いなどをご紹介します。

ファミリークローゼットは別名ファミリークロークと呼ばれており、家族共用のクローゼットのことです。家族全員の衣類や荷物をまとめて収納することができ、帽子やバッグなどの小物類を収納する場合もあります。また、リビングや玄関など共用スペースからアクセスできるのが特徴です。

「ファミリークローゼット」と「ウォークインクローゼット」は、用途や設置場所が異なります。ファミリークローゼットは家族共用で使用するもので、設置場所は共有スペースです。一方で、ウォークインクローゼットは主に個人の衣類や小物を収納するもので、子供部屋や寝室など各部屋に設置するクローゼットのことを指します。

ファミリークローゼットは家族共用のクローゼットのことで、2つのタイプに分けられます。ここでは、ファミリークローゼットの種類をご紹介します。

ウォークインタイプの配置型は、以下の通りです。
・I型
・II型
・L型
・コの字型

ウォークインタイプは別名ウォークインクローゼットと呼ばれており、出入口が1ヶ所なのが特徴です。ハンガー掛けの形状や設置する収納棚によって4種類の配置型に分けられ、配置の仕方によって収納量が変わります。I型は最もコンパクトなサイズで、コの字型は、壁三面を収納スペースとして活用できるため、最も収納量が多い配置型です。

ファミリークローゼットの配置型は4種類あり、間取りに上手に取り入れることで、さまざまなメリットがあります。ここでは、ファミリークローゼットのメリットをご紹介します。

ファミリークローゼットがない場合、洗濯物を各部屋に分散して収納する手間が発生します。一方、設置すれば衣類を一括管理でき、日々の家事が格段に効率化します。 また、ベランダやランドリールームなどに近い場所にファミリークローゼットを配置すれば、洗濯や乾燥・収納などの洗濯に関する一連の作業がスムーズになります。

ウォークスルータイプは出入口が2ヶ所あるため、生活動線が効率化されます。例えば玄関から洗面室・ファミリークローゼット・リビングがつながるように配置すれば、あちこち動き回る必要がありません。また、朝の忙しい時間帯もリビングで食事をして、着替えて身だしなみを整えたらそのまま外出できるためスムーズです。

各部屋にクローゼットを設置するにはかなりのスペースが必要です。しかし、ファミリークローゼットを設置すれば衣類や小物を1ヶ所にまとめて収納できるため、各部屋の収納スペースを有効に活用できます。

また、ファミリークローゼットを設置することで、余ったスペースの使い方が広がります。例えば、ストーブなどの季節家電などを収納することができるため便利です。

朝の忙しい時間帯は、衣類などがリビングに散らかりがちで、そのまま外出すると帰宅後に片付けなければいけません。しかし、ファミリークローゼットを設置することで着替える場所が1ヶ所になるため、各部屋の整理整頓がしやすくなります。また、物が散らかりにくくなることで、生活感が出にくいのもメリットです。

好きな内装を楽しめるのも、ファミリークローゼットの魅力です。ファミリークローゼットは部屋の外から内装があまり見えないため、個性的な壁紙やインテリアなどが楽しめます。リビングでは試しにくい個性的な内装も、ファミリークローゼットなら気軽に楽しめます。

ファミリークローゼットは家事動線が効率化されるなどのメリットがありますが、デメリットもあります。ここでは、ファミリークローゼットのデメリットをご紹介します。

ファミリークローゼットは家族全員分の衣類や小物を収納するため、一定の広さが必要です。平均的には3〜5畳程度の空間が多いですが、どこまでの機能を設けるかや収納量によって必要な広さが異なります。

例えば、ランドリールームや玄関などと合わせて1階に取り入れたい場合、1階で使用する面積が大きくなってしまうため、他のスペースを圧迫してしまいます。このような場合は、2階にファミリークローゼットを設置するなどの工夫が必要です。

朝の通勤や通学前の時間帯は家族の着替えのタイミングが重なるため、ファミリークローゼットが混雑しやすいです。着替えもファミリークローゼットで済ませたい場合は、着替え用のスペースも確保しましょう。広さが取れない場合は、収納スペースを人別に分けて取り出しやすくするなど、スムーズに着替えられるような工夫が必要です。

ファミリークローゼットは家族全員分の衣類や小物を収納するため、プライバシーの確保がしにくいのがデメリットです。自分以外の家族にも衣類や小物が見えてしまうため、思春期の子供などは嫌がる可能性があります。

また、子供が同じ場所で着替えるのを嫌がってしまうこともあり、別の部屋で着替える可能性もあります。さらに、ファミリークローゼットと着替え部屋が離れていると、かえって動線が複雑になることもあるため不便です。

ファミリークローゼットは、湿気に注意が必要です。クローゼット内は湿気がこもりやすく、放置するとカビが生えて衣類がダメージを受けます。特にランドリールーム付近にファミリークローゼットがある場合、より湿気がこもりやすいため注意が必要です。

また、頻繁に洗えないコートなどのアウターや小物は臭いが発生しやすいです。また、他の衣類に匂い移りしてしまうこともあります。そのため、こまめに換気したり、調湿建材を使用したりするなどの湿気対策を行いましょう。

ファミリークローゼットの広さや大きさは、何畳が良いのでしょうか。ここでは、ファミリークローゼットのおすすめの広さや大きさをご紹介します。

ファミリークローゼットの広さ・大きさは「人数×1畳+1畳」がおすすめファミリークローゼットが何畳必要かは、家族の人数によって異なります。大まかな基準は人数1人につき1畳で、そこにプラス1畳です。例えば3人家族の場合、3畳プラス1畳で4畳、5人家族の場合は5畳プラス1畳で6畳です。

ただし、3畳を超えると管理が難しくなります。また、広さによって形も異なり、2畳の場合は正方形で、3畳以上は縦長の長方形です。通常長方形の方が使いやすいとされていますが、家族の人数や着替えスペースなどを考慮した上で、広さを決めてください。

ファミリークローゼットは便利ですが、設置してから失敗したと感じる方もいます。ここでは、ファミリークローゼットが「いらない人」と「必要な人」を解説します。設置してから後悔したくない方は、参考にしてみてください。

ファミリークローゼットが向いていない家庭の特徴は、以下の通りです。
・衣類の量が少ない
・ファミリークローゼットを置くことで、他のスペースが圧迫されてしまう
・子どもが思春期

ファミリークローゼットは家族全員分の衣類や小物が収納できて便利ですが、衣類の量が少ない場合は個別のクローゼットを設置しましょう。また、ファミリークローゼットを置くことでリビングや玄関など他のスペースが圧迫されてしまう人は、本末転倒になってしまうため不要です。

さらに、子どもが思春期の場合、ファミリークローゼットで着替えるのを嫌がるケースもあります。そういった場合は、各部屋にクローゼットを設置する方が良いでしょう。

ファミリークローゼットが必要な家庭の特徴は、以下の通りです。
・収納スペースを最小限に抑えたい
・家事効率をアップさせたい
・部屋をできるだけ散らかりにくくしたい

ファミリークローゼットは衣類などが多く、収納スペースを最小限に抑えたい方に向いています。また、1ヶ所に収納することで家事効率がアップしたり、部屋が散らかりにくくなったりもします。このように、家事効率を向上させたい方は、ファミリークローゼットの導入を前向きに検討してみてください。

ファミリークローゼットは、設置場所によってさまざまな使い方ができます。ここでは、ファミリークローゼットの主な設置場所をご紹介します。

部屋干しする方は、洗面所の隣にウォークスルータイプのファミリークローゼットを設置するのがおすすめです。乾いた洗濯物を、すぐにファミリークローゼットに収納することができて、家事の負担が減ります。収納する場所が1ヶ所になることで、寝室などの各部屋が散らかりにくくなります。

リビングの隣にファミリークローゼットを設置すると、外出までの動線がスムーズになるためおすすめです。忙しい朝の時間帯も食事をして着替えをしたら、そのまま玄関に向かうことができます。また、ウォークスルータイプのファミリークローゼットを使用すると、移動がよりスムーズになるため使い勝手が良いです。

玄関の隣にファミリークローゼットを設置すると、外出までの動線がスムーズになります。コートなどの衣類やバッグなどの小物、外で使うアウトドア用品などを収納する際に重宝します。

出かけて忘れ物をした場合も、帽子やコートをファミリークローゼットに収納しておけば、すぐに取り出せて便利です。また、帰宅時に玄関の隣のファミリークローゼットで着替えれば、部屋の中へホコリやウイルスを持ち込みにくくなります。

片付けのしやすさを重視する人は、寝室と子供部屋の隣にファミリークローゼットを設置するのがおすすめです。家族全員分の衣類や小物だけでなく、布団などかさばるものも収納できます。また、1階だと他のスペースを圧迫してしまうという方にもおすすめの設置場所です。

ファミリークローゼットを設置する時は、いくつか注意点があります。ここでは、ファミリークローゼットを設置する時の注意点をご紹介します。実際に設置する時の参考にしてみてください。

ファミリークローゼットを設置する時は、収納する物の量を確認しましょう。ファミリークローゼットは、家族全員分の衣類や小物を収納するスペースのため、ある程度の広さが必要で収納量によって必要な広さが変わります。

収納量が不足すると使い勝手が悪くなり、物が散らかりやすくなってしまいます。そのため、家族構成や収納量を確認してから設置しましょう。

ファミリークローゼットを設置する時は、使用目的を明確にしましょう。洗濯などの家事を楽にしたい、朝の外出や帰宅後の動線をスムーズにしたいなど使用目的は人によって異なります。そのため、事前に生活動線や家事動線をシミュレーションしておくと、間取りが決めやすいです。

ファミリークローゼットは、ウォークインとウォークスルーの2種類があり、使用方法に合わせたタイプを選びましょう。1つの部屋として使用したい人はウォークインタイプがおすすめです。

また、配置型をL型やコの字型にするとより多くの衣類や小物を収納できます。一方で、家事をスムーズにしたい方は、他の部屋からアクセスしやすいウォークスルータイプがおすすめです。

ファミリークローゼットを設置する時は、将来的な使用人数も考慮しましょう。将来、子どもが増える予定の場合は、収納できるスペースを多めに作っておく必要があります。

一方で将来、子どもが就職して独立したら、ファミリークローゼットが必要なくなることもあります。そのような場合は、家事をする部屋や書斎など別の目的で使用できるように、汎用性の高い作りにしておくのがおすすめです。

ファミリークローゼットは、家事動線や生活動線をイメージして設置しましょう。ここでは、洗面所の隣にファミリークローゼットを設置した間取りをご紹介しますので、レイアウトの参考にしてください。

この間取りがおすすめの場面は、以下の通りです。

おすすめの場面
・使用する人：家族全員
・使用方法：着替えや収納
・収納するもの：衣類や小物、家電など

洗面所とキッチン、寝室の間にファミリークローゼットを配置すると、家事動線が効率化されます。朝起きたら着替えて、洗面所で顔を洗い、キッチンで朝食を準備するなどの一連の流れがスムーズになります。また、着替えだけでなく掃除機などの家電を収納するスペースとしても使えて便利です。

この間取りがおすすめの場面は、以下の通りです。

おすすめの場面
・使用する人：家族全員
・使用方法：着替えや収納、作業スペース
・収納するもの：衣類や小物、アイロンなど

洗濯物を外干しすることが多い方は、洗面所とベランダの間にファミリークローゼットを配置するのがおすすめです。洗面所で洗濯をして、ファミリークローゼットを通り、ベランダに干すことで洗濯に関する家事がスムーズにできます。また、乾いた洗濯物をファミリークローゼットで畳んだり、アイロンがけができたりします。

この間取りがおすすめの場面は、以下の通りです。

おすすめの場面
・使用する人：家族全員
・使用方法：収納
・収納するもの：衣類、オムツやおもちゃなど

幼い子供がいる家庭では、和室と洗面所の間にファミリークローゼットを配置するのがおすすめです。和室でおむつ替えをしたり、子どもが遊んでいる間に畳に座って洗濯物をたたんだりできます。また、たたんだ洗濯物をすぐに片付けることもできるため、使い勝手が良いです。

リビングは生活の中心で、家族がくつろぐ場でもあります。ここでは、リビングの隣にファミリークローゼットを設置した間取りをご紹介します。1階にファミリークローゼットを設置したい方は、参考にしてみてください。

この間取りがおすすめの場面は、以下の通りです。

おすすめの場面
・使用する人：家族全員
・使用方法：収納や着替え、作業スペース
・収納するもの：衣類や小物


リビングと洗面所の間にファミリークローゼットを配置することで、リビングで物が散らかりにくくなります。また、ファミリークローゼットで洗濯物をたたんだり、アイロンがけをしたりすると洗濯に関する一連の流れがスムーズになります。そのため、家事の効率をアップさせたい方におすすめの設置場所です。

この間取りがおすすめの場面は、以下の通りです。

おすすめの場面
・使用する人：家族全員
・使用方法：着替えや収納
・収納するもの：衣類や小物、生活家電など

ファミリークローゼットをサンルームとリビングの間に配置すれば、洗濯家事がスムーズにできます。サンルームで部屋干しした洗濯物を、そのままファミリークローゼットに収納することができます。また、リビングからもファミリークローゼットが行き来しやすいため、リビング収納としても使えて便利です。

この間取りがおすすめの場面は、以下の通りです。

おすすめの場面
・使用する人：家族全員
・使用方法：外出時や帰宅後の着替え、収納、作業スペース
・収納するもの：衣類や小物など

家の中心にファミリークローゼットを配置することで、リビングや洗面所、寝室などからのアクセスがしやすくなります。特にウォークインタイプにして玄関側からは出入りできないようにすれば、家族のプライバシーを守ることができます。

玄関の隣にファミリークローゼットを配置すると、使い勝手が良いです。ここでは、玄関の隣にファミリークローゼットを設置した間取りをご紹介します。

この間取りがおすすめの場面は、以下の通りです。

おすすめの場面
・使用する人：家族全員
・使用方法：外出時や帰宅後の着替え
・収納するもの：衣類や小物など


上記の配置にすると、インナーガレージから玄関を通り、ファミリークローゼットで着替えるといった帰宅時の動作がスムーズになります。また、リビングに物が散らかりにくくなるため、整理整頓が苦手な方にもおすすめの配置です。

この間取りがおすすめの場面は、以下の通りです。

おすすめの場面
・使用する人：家族全員
・使用方法：外出時や帰宅後の着替え、収納
・収納するもの：衣類や小物、アウトドア用品など


玄関とリビングの間にファミリークローゼットを配置すれば、帰宅時の動作がスムーズになるだけでなく、外出時の準備にも重宝します。特にキャンプなどのアウトドアをする方におすすめで、衣服だけでなくキャンプ用品の収納スペースとしても活用できます。

この間取りがおすすめの場面は、以下の通りです。

おすすめの場面
・使用する人：家族全員
・使用方法：インテリア感覚、アウターなどの着替え
・収納するもの：衣類や小物など


一般的には、玄関の隣には家族のプライバシーを守るために、ウォークインタイプのファミリークローゼットを配置することが多いです。しかし、あえて見せる収納にすることで、ショップのような雰囲気が演出できます。また、普段着る服だけでなく、お気に入りの服を飾っておくだけで生活感を隠すこともできます。

2階の寝室や子供部屋の隣にも、ファミリークローゼットを設置する方がいます。ここでは、寝室や子供部屋の隣にファミリークローゼットを設置した間取りをご紹介します。2階にファミリークローゼットを設置したい方は、参考にしてみてください。

この間取りがおすすめの場面は、以下の通りです。

おすすめの場面
・使用する人：兄弟、姉妹
・使用方法：着替えや収納
・収納するもの：衣類や小物など


兄妹や姉妹がいる場合、2つの子供部屋の間にファミリークローゼットを配置するのがおすすめです。同性の場合、子供同士で服の貸し借りができ、友人を呼んでもファミリークローゼットに一時的に物を隠せます。また、子供のプライバシーを守ることができます。

この間取りがおすすめの場面は、以下の通りです。

おすすめの場面
・使用する人：家族全員
・使用方法：着替えや収納
・収納するもの：衣類や小物など

2階の子供部屋と寝室の間にファミリークローゼットを配置することで、収納できる量が増えます。そのため、大容量のファミリークローゼットが欲しい方におすすめの設置場所で、衣類だけでなく布団などの季節物も収納できます。

この間取りがおすすめの場面は、以下の通りです。

おすすめの場面
・使用する人：夫婦
・使用方法：着替えや収納
・収納するもの：衣類や小物など

パートナーのいびきなどが気になり、夫婦で寝室を別にしている方もいます。そういった場合は、ファミリークローゼットを2つの寝室の間に配置すると、適度な距離感を保ちながらも、ある程度のコミュニケーションは取れるため便利です。