一般的に洋服や食器などを収納する家具のことを、チェストやタンスといいますが、どのような意味の違いがあるのでしょうか。本記事では、チェストとはどのような家具のことか、タンスとの意味の違いについて解説します。

チェスト（chest）とは、日本語で引き出し収納を意味します。隠す収納とのイメージが強いチェストですが、元々は大きい蓋が付いた箱を意味していました。英語で引き出し付き収納はChest of drawers（チェストオブドロワーズ）と表記し、後にその名称が省略されて、日本では引き出し収納をチェストと呼ぶようになりました。

タンスとは、たくさんの引き出しが付いた引き出し収納のことで、チェストと同じ意味です。約350年前、箪笥（タンス）は商人の帳簿や薬屋の薬を収納する高級家具でした。江戸時代後期に入ると庶民がたくさんの衣服を持ち始めるようになり、家具職人も増えたことから、タンスは身近な収納家具となりました。

基本的にチェストとタンスは大きな違いがありませんが、以下の通りに区別する場合もあります。

・設置場所は洋室か和室
・収納物は洋物か和物
・脚は有りか無し

チェストは海外から伝わったため洋室に、タンスは日本伝統の家具のため和室に置くのが向いています。また、洋服やティーカップなどを収納する場合はチェスト、着物や茶碗などを収納する場合はタンスと区別することも可能です。さらに、チェストは脚が有り、タンスは脚が無しとも分けることができます。

高さの低いものから高いものまで、チェストにはさまざまな種類があります。ここでは、それぞれの特徴を踏まえながら、チェストの種類を5つ紹介します。

ベンチチェストとは、下部の収納スペース、上部がベンチタイプの収納家具のことです。おもちゃや雑貨類などを収納するだけでなく、腰掛けて休憩することもできます。また、ベンチチェストはチェストの中でも高さが低いため、部屋中を広く見せたいリビングや子供部屋に向いています。

以前は、膝くらいの高さのものをローチェストと呼んでいましたが、現在は腰くらいの高さのものを指します。また、奥行きのあるものが多く、上部は物置台としてテレビやインテリア雑貨などを置けるのが特徴です。下部は衣類や小物類などを収納できる引き出しになっています。

ハイチェストは、高さ100cm前後の収納家具を指します。普段使いしやすいサイズ感で、毎日出し入れする洋服を収納するのに便利です。ただし、高さのあるハイチェストは、狭い部屋に置くと圧迫感が出てしまう場合があります。配置する部屋に馴染むカラーのチェストを選んだり、人の出入りが少ない部屋に置いたりするのが良いでしょう。

高さ200cm以上の収納家具のことをタワーチェストと呼びます。引き出しは人間の身長よりも高い所にあるため、季節外れの洋服やパーティードレスなどを収納するのに向いています。ただし、タワーチェストは設置面積が広いため、購入する前は設置スペースがあるか確認するようにしましょう。

ランドリーチェストは、その名の通り洗面所や脱衣所などで使える収納家具です。基本的にランドリーチェストは水に強い素材が使われています。ラタン風のランドリーチェストは樹脂製のものが多いです。ランドリーチェストは、大きいサイズから小さいサイズまで幅広くあるため、バスタオルやフェイスタオルなど収納物の大きさに合わせて選べるのも魅力です。

整理ダンスや洋服ダンスなど、タンスはさまざまな種類がありますが、どのような特徴があるのでしょうか。ここでは、タンスの種類について、特徴を踏まえながらご紹介します。

整理ダンスは、服や小物類などを収納することが多い収納家具です。扉が付いた収納スペースなどはなく、スライド式の引き出しのみで構成されているのが特徴です。なお、整理ダンスは婚礼家具のひとつにも分類されています。

その名の通り、洋服ダンスは、洋服を収納するための簞笥を指します。整理ダンスと似ていますが、洋服ダンスは引き出しの上や横に扉があり、その中にはスーツやコートなどを掛けられるハンガーパイプが備えられています。また、奥行きが60cmほどあるものが多いのも特徴です。

衣装ダンスは、着物や帯などを収納するのに特化した種類です。畳んだ着物を収納するスライド引き出しの衣装盆や、帯などを収納する引き出しが備えられています。洋服ダンスと同じく、奥行きが60cmあるのも特徴です。

茶ダンスは小さいサイズの和簞笥で、細かい引き出しがあります。茶碗やお盆、お茶菓子などを収納するのに使われることが多く、収納部に盆や棚版といった蓋が付いていないのが特徴です。また、ディスプレイ棚として見せられるガラス戸が付いているため、ダイニングやリビングなどに置くのに向いています。

ローチェストよりも小さいサイズの収納家具のことを、用ダンスと呼びます。小物類や生活雑貨など、身近なものを収納するのに便利で、ベッドやテーブルの横に置いておくのがおすすめです。一人暮らしで部屋が狭いという人も使いやすいでしょう。

水屋ダンスは、食器を収納する家具のことです。収納物は茶ダンスと似ていますが、水屋ダンスは設置場所が台所と決められています。しかし現在は設置場所の指定がなく、茶ダンスと同じで、飾り棚としてリビングに置かれることも多くなっています。

自分の欲しいチェストやタンスを選びたい時には、どのような点に注目したら良いのでしょうか。ここでは、チェストやタンスの選び方のポイントと注意点を4つご紹介します。

チェストやタンスを選ぶ上で、1番大切なのが購入する目的を明確にすることです。誰が、どこで、どのようなものを収納するのかを明確にすると、チェストやタンスのサイズと引き出し数が決まります。

成人男性が寝室で洋服を収納するならハイチェストや洋服ダンス、成人女性がリビングで生活用品や小物類を収納するならベンチチェストや用ダンスが適しているでしょう。

チェストやタンスを購入するにあたって、引き出しの深さや使いやすさで選ぶのも大切になります。利用目的によって、チェストやタンスの引き出しは深すぎても浅すぎても使い勝手がよくありません。洋服や下着類を収納するなら引き出しの深いもの、小物類を収納するなら引き出しの浅いものを選ぶと使いやすいでしょう。

メーカーや種類によって、チェストやタンスの引き出しの構造はさまざまです。引き出しには前板を付けたタイプと、前板を使わないタイプがあります。前板を使っている場合は外観がすっきり見えるという特徴があります。

また、引き出しの前板と側板の組み方によって、チェストやタンスの強度は異なります。重たいものを収納するなら強度が優れている蟻組接（ありぐみつぎ）や刻接（きざみつぎ）のもの、軽いものを収納するならボンドで固定している太柄接のものを選びましょう。

ここからは、チェストのおすすめ商品を紹介します。おしゃれなデザインのチェストや、整理整頓しやすい便利性の高いチェストなどを取り揃えているため、購入時の参考にしてください。

多段引き出しチェストは、衣類や下着類などを収納するのに便利です。チェストの引き出しは奥行き45cm、引き出し数も多いため、整理整頓しながら収納できます。また、寝室や衣装部屋など、どのような雰囲気の部屋でも馴染みやすいシンプルなデザインなのも特徴です。

小さなヘアアクセサリーや時計などをきれいに収納したい時には、グリシャジュエリーチェストがおすすめです。チェストの中の仕切りは、収納物に合わせて取り外しが可能です。また、小さいサイズのため、ウォークインクローゼットの中に設置したり、おしゃれをするのに欠かせない姿見の隣に設置してドレッサー代わりにできます。

薄型ランドリーチェストは、キッチンや洗面所などで使うのにおすすめです。本体には水はねに強いポリエステル化粧合板と、汚れに丈夫な人工大理石が使われています。化粧品をこぼしても、布巾やティッシュなどで拭き取れるので、お手入れが簡単です。

家具のチェストとは引き出し収納のことで、基本的にタンスとの意味の違いはありません。しかし、洋物はチェストに、和物はタンスに収納するなど、利用目的に合わせて区別することができます。まずはチェストやタンスの意味の違いを理解し、用途に合わせたものを選んでみましょう。