家具と住まい、地域で奨学生を応援自分らしくいられる「居場所」のために
<このストーリーを話したひとたち> 長谷川 尚美さん 京王電鉄株式会社 広報部長 藤田 博基 ディノス レンタル事業室授業料の値上がりや物価高で、大学生の経済的負担がかつてないほど大きくなっています。そんな中、ディノス・京王電鉄・京王不動産の3社協業による「奨学生応援プロジェクト」が2024年始動しました。家具、住まい、地域の観点から学生さんたちのくらしをサポートするもので、ディノスはレンタル家具サービス「flect」の返却家具の無償提供を行います。プロジェクトの背景や具体的な取り組みについて、ディノスのレンタル事業室の藤田博基と、京王電鉄株式会社広報部長・長谷川尚美さんに伺いました。
高品質なレンタルサービスの家具を
奨学生のために
「『flect』は、家具選びで失敗する方をゼロに、という思いで始めた新品家具のレンタルサービスです」
そう語るのは、ディノスのレンタル事業室の藤田。家具は服のようには試せないため、家具店で実物を見て選んだとしても、いざ自宅に迎えてみるとなんだか違う……となりがちです。しかしflectでは、自分の部屋に合うか、ペットと一緒でも大丈夫か、などなど、2年間かけてくらしの中で試してみて、しっくりこなければいつでも返却が可能。気に入ればもちろんそのまま買い取ることも。
「最近の調査では満足度90%と高評価をいただきました。今は新品をご提供していますが、時代の流れとともに『中古でも問題ない』という声の高まりも感じられるので、今後、お客様のご意見を取り入れながらサービスを発展させていく予定です」
そして今回の「奨学生応援プロジェクト」の中で、戻ってきたレンタル家具で奨学生を応援するという発想はどのように生まれたのでしょうか?
「日頃ニュースで、物価高による学生の経済的困難や、卒業後の奨学金返済の深刻さについて知り、何かしたいという思いがありました。返却された家具の状態は非常に良く、さらに当社できちんと検品しますから、良いものを学生さんに無償で提供できれば喜んでいただけるのでは、と考えたんです」
人々の日常に密接に関わる
企業だからこそできること
そして、ちょうど商談を進めていた京王不動産も奨学生を応援するというコンセプトに賛同し、協業が実現。ディノスが家具の無償提供を、京王不動産が自社貸主物件・管理物件のフリーレント1か月、または仲介手数料の無料、さらに、京王電鉄が大学との連携や沿線の広報媒体を活用した発信を担い、2024年2月に「奨学生応援プロジェクト」として始動します。
「これはまさに『居場所』の話だと感じました」と、京王電鉄の広報部長である長谷川さんは言います。
「自分が自分らしくいられる居場所は、住まいの中のお気に入りのソファの上や、大学のキャンパス、京王沿線のどこかの街の中かもしれません。学生さんたちが心やすくいられる居場所を、微力ながら、みんなで一緒に作っていきたいですね」
もともと京王線は「居心地がいい」という利用者からの声が多いそうで、地域コミュニティとの距離が近いのが特徴です。
「あの路線はおしゃれな街ばっかりあっていいな、と他線を羨ましく思うこともたまにあるのですが(笑)、華やかな非日常だけでなく、くらし全般に関われるのが我々らしさです」
我慢しがちな奨学生に、
少しでも寄り添えれば
当初、このプロジェクトを推進するにあたり、必要とする人にいかに情報を届けるかについてはさまざまな模索が。「家庭の経済状況などが絡むセンシティブな問題でもあり、どこまで立ち入っていいのか、そもそも学生さんのニーズに応えられているのか、手探りでした」と藤田。
「でも、今回のプロジェクトメンバーの中に『実は私も奨学金を借りていて、今も返済中です』という方が何人かいて、『良い取り組みだと思う』と意見があって前向きになれましたし、実際に応募してくれた学生さんの『ありがたかった』という声で、より自信を持てました」
そして、プロジェクトの第2期が始まります。前回は京王線沿線の中央大学・明治大学で公的奨学金を受ける学生さんが対象でしたが、今回は京王線沿線の大学に通う、もしくは京王線利用の公的奨学金を受給する学生さん、と大きく拡大。今後、京王沿線以外にも取り組みを広げる目標もあるのだとか。
経済的な事情で、何かと我慢しがちな奨学生に「応援したいと思っている大人や企業がいることをちょっとでも知ってほしい」と長谷川さんはメッセージを添えます。
家具、住まい、鉄道を含めた地域社会、すべてが「くらし」に欠かせない大切な要素です。それらの要素を一つにつないだ応援の輪が、広がっていこうとしています。