「ばりかわいかね~!」くらしを彩る国産材のスツールはカラフル&サステナブル!
<このストーリーを話したひとたち> 酒見 智大さん 株式会社酒見椅子店 代表取締役 大谷 光政 ディノス 家具バイヤー思わず「かわいい!」と言いたくなるカラフルで華やかな酒見椅子店の「モナカスツール」。実は、使われている木材「センダン」は成長が早く、その分CO2吸収に優れ地球温暖化の進行を抑えることや、早期伐採ができることで林業の活性化にも役立ちます。優れたデザインと、サステナブルな要素も併せ持つこの椅子から見えてくる、SDGs時代のものづくりとは? 長年、ディノスで国産材家具に携わってきたバイヤー・大谷光政が、家具の産地・福岡県大川市の酒見椅子店の酒見智大さんと考えます。
くらしに彩りを添える
カラフルなスツール
株式会社酒見椅子店とディノスのパートナーシップは、昨年始まったばかり。大谷はこの椅子を初めて見た瞬間、「まず『かわいい!』、そして『これは人気が出る!』と思いましたね」とその出会いを振り返ります。
もともと、酒見椅子店が加盟する協同組合福岡・大川家具工業会とのつながりから、足を運んだ展示会でのことでした。ディノスで販売が開始されると、毎日のように注文が入る好調な売れ行きに。
「これまでスツールの需要といえば、キッチン周りでの用途が多いのか、背の高いタイプが売れる傾向があったんです。でも、モナカスツールの場合は背の低い方がよく売れて、おそらく玄関先や部屋の中に置いて使いたいということではないかと思っています。酒見さんのショールームにいらしたお客様の中には、仏壇前に座るため買われた方もいるようです」
カラフルでポップな色合いのモナカスツールが、インテリアのアクセントとしてくらしの色々な場面に彩りを加えている様子が見えてきます。今後は、この商品が様々なライフスタイルに寄り添う提案を、Webを通じてもっとできればと大谷は考えています。
アイディアの源泉となった和菓子を
食べながら作戦会議
酒見椅子店の3代目社長・酒見さんによると、モナカスツールが生まれたきっかけは、自分たちの未来を見据えたからでした。
「当社はこれまで、病院やホテル、飲食店、商業施設などの事業者さんのご要望で商品をデザイン・販売するビジネスを展開してきました。しかしながら創業から長い時間を経て、やはりうちの『顔』となる商品も作りたい、と思ったんです」
そしてモナカスツールのアイディアの源泉となったのは、何と「和菓子」だったとのこと。
最中、蕎麦ぼうろ、もみじ饅頭、練りきりなど、形も色合いも可愛らしい和菓子にインスパイアされ、実際に和菓子を買って食べながら作戦会議を行ったそう。そこへ、日本古来の花(桃・梅・椿・桜・桔梗・菊)とされる「六花」のイメージを掛け合わせました。
「正面と横の平面図だけだと社員もピンときていませんでしたが、職人さんと一緒に立体的な形に仕上げた時には、うちの女性社員たちが『ばりかわいかね〜!』と評価してくれて、『これはよかばい!』と自信が持てました(笑)」
作り手とバイヤーの思い入れが詰まったモナカスツール。実は、樹木として針葉樹よりも硬く家具に適し、さらに多くのCO2を吸収する国産早生樹のセンダンという広葉樹が使われていたり、座面の張り地素材には再生ポリエステル等も用いていたり、SDGsの観点からもこだわっているのです。
買ってから気づく、
「実は環境にやさしい商品だった」
「日本は広葉樹の人工林が少なく、家具に使用する木材は輸入に頼っている現状があります」と大谷は話します。そんな中、ディノスはSDGsが登場する前の2011年頃から、国産材を用いた家具の取り扱いにも力を入れてきました。そして現在は商品企画や販売だけではなく、脱炭素アクションの一つとして「森づくり」も行っています。
酒見椅子店の地元である福岡県大川市でも、協同組合福岡・大川家具工業会の地域材開発部会が中心となって、2018年からセンダンの植樹会を開催しています。森林組合・家具メーカー・工務店・消費者をつなぐ持続可能なサイクルを構築するためのこの取り組みに、ディノスも参加しています。
このように一つの商品の背景には大きな企業努力がありますが、大谷は「お客様に対して『環境にやさしい素材だから』と打ち出すだけでは響かない」と冷静に分析します。
「やはり、まずは見た目や値段などで満足していただくような商品を提供するのが、我々の基本だと思うんですよね。まさにモナカスツールのように、その上で環境にも配慮する視点を持つ。家具は比較的長くくらしの中に置いていただける商品なので、使っていただいているうちに、どこかのタイミングで『実は環境にやさしい商品だったんだ!』って気づいてもらえるかもしれない。そういうメッセージの届け方が良いのかな、と最近思っています」