お風呂があるから
石川 泰弘さん
大学教授/作家/温泉入浴指導員/睡眠改善インストラクター
お風呂があるから
「お風呂」の歴史や文化、生体反応や睡眠への影響など調べる程にその奥深さを感じる。6世紀に仏教の伝来とともに日本にやってきたとされるお風呂の文化、一般的に広まったのは江戸時代に銭湯が出来たことによる。しかもこの時代は混浴が中心。日本人の「おおらかさ」を感じる。一方、「お風呂」がもたらす身体への影響は意外と知られていない。身体を綺麗にすることは言うまでもないが、実際には「浮力」・「水圧」・「温熱」の3の効果がある。これらの組み合わせに「時間」と「温度」を加えると更に効果を発揮する。肩までつかることで水圧がかかり心拍数が増える。また、心地よい温度につかると副交感神経が優位となり血管は拡張する。その結果、血液循環が良くなるのである。疲れた時は栄養や酸素を全身に送る必要がある。心地よい湯温に15分程度浸かると筋までしっかりと血液が運ばれる。また浴後には体温がスムーズに下がるため良質な睡眠をもたらし結果として疲労回復するのである。お風呂を知り、日々活用することで健康で活力ある暮らしを送ることができる。