俳句
津田 啓仁さん
文化人類学研究者
俳句
半年ほど前から地域の俳句会に参加している。15人ほどの集まりで、月に5句作り、持ち寄ってみんなで評し合う。ほとんど素人同然で入会し、これをきっかけに日々の暮らしのなかで句を詠むようになった。とはいっても、すぐにできるようになるわけではない。見よう見まねでそれっぽい句を作ってみる。スマホのカメラロールを見て、今月は何に心が動いたっけなと思い出しながら、使いたい2、3の言葉を書き出して何度も並べ替えてみる。そうして行きつ戻りつ苦労して捻り出す。最近、歳時記という季語の辞典のようなものを買った。ぱらぱらめくってみると、その季語が用いられた代表的な句が並んでいる。それらの句は意外にもシンプルで、ああこんなふうに肩の力を抜けばいいのか、と思う。ある出来事の瞬間をじっと見ている印象に近い。1つの場所にとどまるような感覚だ。そうした世界への態度は、俳句会のメンバーがみな持ち合わせているように思う。俳句を何年、何十年とやってきたからなのだろうか。俳句のように進む人生が面白そうだ。