沈船ダイビング

沈船ダイビング

横田 圭介 さん
レック(沈船)ダイブガイド
横田 圭介 さん

沈船ダイビング

日本ではスクーバダイビングといえば「熱帯魚を見る」というイメージだろう。チュークでダイブショップを開業してから6年は、私もこのイメージにとらわれ続けた。私が住むミクロネシア連邦チューク州は、先の大戦では日本軍の一大拠点であり、その時に沈められた日本の艦船がダイビングスポットとなり、沈船を目当てに多くの欧米人ダイバーが訪れる場所だ。そんな場所でも「熱帯魚を見る」ことにとらわれていた私は、他のダイブショップのアメリカ人ガイドにダイビングに誘われた。「沈船で小さな瓶を見つけたけど日本語が読めない。一緒に潜ってそれが何か教えてくれ」。2メートルはあろうかというそのアメリカ人は2本のタンクを背負いながらも真っ暗な狭い船内を苦も無く進んでいく。これまで私が見たこともないようなテクニックで、私が入ったこともない光の届かない沈船の奥深くへ・・・。79年前に沈んだ船の奥深くには当時の船上での生活がまだ残っていた。それから10数年、私は今も沈船ダイビングの虜だ。暗い船内で当時の人々の生活に思いを馳せる。

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