カトラリーを作り、世界と関わる
樫原 ヒロさん
カトラリー作家
カトラリーを作り、世界と関わる
私はフォークやスプーンなど、「カトラリー」と呼ばれる道具を作るアーティストとして活動している。しかし芸術を専門的に学んだことは一切ないし、数年前まで普通のサラリーマンだった。そんな普通の人の日常が、あるとき"一目惚れ"から180度変わってしまった。きっかけをくれたのは妻。器の収集が趣味の彼女へ世界にひとつだけのプレゼントをしようと一本のフォークを手作りしたことから、その役割や芸術性に惹き込まれた。カトラリーは食べ物と体を直接繋ぐ大切な道具でありながら、テーブルの上では脇役。食事や器を引き立たせる額縁のような存在。その在り方に心打たれ、カトラリーの魅力をもっと多くの方に伝えるため、気がつけば制作に没頭する日々を送っている。今では国内だけでなく海外のショップやレストランでも使われるようにまでなった。カトラリーが私と家族、そして世界中の人と、言葉や文化を超えて繋いでくれている。日々カトラリーを作るのが本当に楽しい。そしてそれを手にした人のくらしにも一匙の幸せを届けるために、これからも作り続けたい。