里山暮らし
後藤 義国さん
陶芸家
里山暮らし
大学進学に行き詰まった時に思い切って今の世界に飛び込んだのは、たまたま見たドラマの陶芸家の生活が、子供の頃の「魚が透けて見える川のある所に行きたい」という思いを実現できると考えたからだった。夢は叶った!ものの、大小様々な蛾の乱舞、なかなか引かないブヨ・アブに刺された痒み、日々伸びる雑草・雑木の枝や秋の大量の落葉の始末、毎朝夜マイナスになる冬の寒さ等、毎年繰り返えされる里山暮らしの現実に疲れて呆然となり、つい愚痴をこぼしがちになる。でもよくよく考えてみれば日々暮らすというのはこういうこと。毎日、毎月、毎年同じ事の繰り返し。去年の話か二年前の話か分からなくなる事も多いが、今年もしんどい草刈りで切らないでおいた季節の草花を愛で、汗かき集めた落葉の焚き火で芋を焼き、春秋の陶器市に振り回されるだろう。そうして季節を感じ、いつもと同じ時を過ごし暮らす。いつの間にか一年前の事でも二年前の事でもどちらでも良くって、変わらず日々過ごせる今の生活が合っているみたいだ。