うちの玉子焼き、とは？

「玉子焼きには思い出があります。子どもの頃、母と一緒に築地へ行くと、母が買い物をする間、私はずっと玉子焼き屋さんの前で、焼く様子を夢中で見ていたんです。真っ黒い玉子焼き器がずらりと並んでいて、その中で黄色い卵が飛んだり跳ねたりして焼かれる様子が、すごく面白くて。いつかは自分も焼いてみたいな、って思っていました」

「私が愛用するラバーゼの鉄の玉子焼き器は、一般の家庭用よりも大ぶりです。なぜかというと、築地の玉子焼き屋さんのように、大きくていかにもおいしそうな玉子焼きを作りたかったから。この玉子焼き器なら、卵３〜４個で玉子焼きを作ることもできるし、慣れてきたら卵８〜９個を使って、立派な玉子焼きを作ることもできます。大きな玉子焼きはそれだけでご馳走です。人に差し上げても喜ばれます。玉子焼きを作るのは楽しいですから、ぜひ上手になってください」

「うちの玉子焼きは、甘くて、ちょっとしょっぱい関東風の玉子焼き。お酒もたっぷり入ります。私の好きな味で作っているので、築地のものとはちょっと味が違います。焼きたてを、大根おろしにしょうゆをちょっとたらした染めおろしで食べるのが最高です。もちろん子どもも好きですし、お酒の肴にもうってつけです」

卵　７個
日本酒　1/3カップ強
メープルシロップ　大さじ3 1/2ぐらい
塩　小さじ1/2
太白ごま油　適量
〈染めおろし〉
大根おろし　適量
しょうゆ　少々

道具と材料をきちんと揃える

「玉子焼きはとてもシンプルなお料理。シンプルな料理ほど、よい素材を使うことが大切です。まず卵。おいしい卵を使わないと、おいしい玉子焼きはできません。日本酒は調理用ではなく、飲んでおいしい日本酒を使ってください。甘みとして私はメープルシロップを使います。築地などの玉子焼きは、上白糖で蜜を作って入れるのですが、その代わりにすっきりとした甘さのメープルシロップを使っています。そして塩を少し入れます。油も良質なものがいいです。私は太白ごま油を使います」

「そして、玉子焼きはつきっきりで、集中して作らなければいけませんから、最初に道具を全部用意しておくことが重要。玉子焼き器、中サイズのボウル、菜箸。それからシリコンヘラがあると、卵焼きがはりついたときもサッとはがすことができます。小さめの薄い木板（小さなまな板）もあると重宝。焼き上がった玉子焼きを切るときに便利なんです。お菓子の木箱のふたのようなものは、小さいまな板として使えます。ラバーゼのまな板でも結構です」

鉄の玉子焼き器（フライパン）の使い始め

「鉄の玉子焼きは、久しぶりに使うときや初めて使うときに、くっつかないように油ならしをします。これは鉄のフライパンでも同じこと。玉子焼き器（またはフライパン）に油（サラダ油のようなものでもOK）を、深さの1/3ぐらいまで注いで、弱めの中火にかけます。そして油が熱くなり、鍋に浸透するのを待ちます。つきっきりで見ていてください。玉子焼き器が温まって、下から熱が上がってくると、油の表面が揺れてきます。目で見て、油が十分に熱くなったのを感じたら、ボウルに油をあけます。玉子焼き器の角から油をたらすようにすると、油切れがいいです。これで玉子焼き器の準備ができました。ボウルに卵を溶き、調味料を加えて混ぜたら、卵を焼き始めます」

『メイドインジャパン、上質、基本の料理道具』をコンセプトに、有元葉子さんが料理研究家として培ったアイデアをもとにプロデュースしたキッチンウェアブランド。

『la base』シリーズは、全てが日本製。その大半が、世界に誇るステンレス加工の聖地『新潟県・燕三条地域』で作られています。 「良いものをつくりたい」というこだわりをカタチにするために、有元葉子さん自らが燕三条地域の工場を巡り、職人たちと出会い、打合せと試作を繰り返して、ひとつひとつ、完成させてきました。 使いやすさ、美しさ、耐久性、手入れのしやすさのすべてを兼ね備えた台所道具が、『la base』なのです。