「フライドポテトをサクサクに揚げるコツは、水にさらして、十分にデンプンを取ること」。

薄切りにして水にさらし、細切りにして、さらに水にさらす。さらしている間に鉄の揚げ鍋に油を入れて温める。

「弱めの中温に熱します。じゃがいもをひとかけら落とすと、静かにシュッと音を立てるぐらいの温度です。じゃがいもを入れます」。

一度に揚げる量は、じゃがいもが気持ちよく油に広がるぐらい。何度かに分けて揚げたほうが上手にできます。

「じゃがいもを油に入れると、ワーッと泡立ちますが、すぐに泡が静まってきます。くっつかないように途中で箸で何度か混ぜながら揚げていると、泡も音も徐々に弱まり、そのうちにウンともスンとも言わなくなるんです。『これ、本当に火がついてるの？』と思うほど静かになる。そうしたら揚がっている証拠です。引き上げて、角バットにあげて油を切ります。揚がったら、軽く塩をまぶして、器にリース状に丸く盛り付けます。花びらのようにヒラヒラに揚がったにんじんを飾って、ローズマリーを添えればできあがり」。

フライドポテトのリースは冷めてもサクサクで、シャンパンとの相性も抜群。

「山の家でのおもてなしには、地元のリンゴで作られたシードルをお出しすることも。じゃがいもも、サラダのクレソンも、地元の道の駅で調達するんです」

メインの肉料理は、にんにく、ハーブ、塩、オリーブオイルでマリネした豚肉を、鉄のフライパンで香ばしく焼き、多めのマスタードと少々のビネガーをからめた「豚肉のマスタード焼き」。これがまた、作るのは簡単なのに美味。

「じゃがいも、にんじん、豚肉……、まるで肉じゃがを作るような材料でしょう。でも、そういうふだんのものでも、おもてなしの食卓は作れるんですよね」


インテリアのセンスも抜群の有元さん。おもてなしの食卓を素敵に演出する方法は？

「華やかに見せようとして、照明を煌々とつけて部屋全体を明るくすることがよくあると思うんです。でも、逆です、これは。天井から部屋全体を照らす照明がついているとしたら、もう、それは消してしまいましょう。その代わりにテーブルの上にキャンドルですとか、テーブルの上だけを照らすスポット的なライトをつける。そうやって明暗を作った方が、食卓に雰囲気が出ますし、不思議と人の心も和むみたい。みんなが心を開いてゆったりとするので会話も弾むし、食事もおいしくいただけます。ゲストにも『今日は楽しかったね』と言ってもらえる。照明はすごく大事な要素です」